3・11反原発福島行動23へ 福島はけっしてくじけない 全国農民会議共同代表 鈴木光一郎さん

週刊『前進』04頁(3284号03面02)(2023/03/07)


3・11反原発福島行動23へ
 福島はけっしてくじけない
 全国農民会議共同代表 鈴木光一郎さん


 まず最初にはっきりさせておきたいのは、市東孝雄さんの農地強制執行に対して猛然たる怒りがある。このだまし討ち的な強制執行。これを徹底して弾劾しておきたい。市東さんも言っているけれども、ちゃんと執行官が来てかくかくしかじかで執行しますというのが当然じゃないか。そういう手続きもできない。これで法治国家なのか? という正体を表している。これをまさに出発点として、これからも大きな闘いを我々は権力にしかけていかなければならない。このことをまず申し上げておきたいと思います。
 酪農の現状を言えば、牛乳は簡単に、蛇口をひねるように出てくるというものではないんです。子牛のときから良質の草を食べさせて大きく育てて、そういう環境を作って初めて出てくる。そういう作業なんです。農作物というのはちゃんとしたことをやらないとできないんです。今日本の農業は、農民自体が三里塚と同じように生存権を完全に破壊されるところにまで来ています。生きるか死ぬかという瀬戸際にあるんです。金策に歩いて何とか食いつないでいる、そういう状態なんです。
 そういう状態を一体国はどうしようというのか。農業政策なんて全くデタラメ極まりないわけで、それをまず弾劾したい。それは子牛の値段にも反映されていますが、それこそ千円でも売れない。これはもう牛も農民も虫けらのように扱われているということ。許しがたい。
 そして、皆怒りを感じている。あらゆる生産資材が高騰してるのに何もしないのが岸田だ。その一方で、トマホークを買うというような戦争政策をどんどん進めている。とんでもない話です。
 今回のウクライナ戦争で見えてきたものの一つが原発の怖さです。ザポリージャの原発はヨーロッパ最大の原子力発電所なんです。チェルノブイリ以上の危機が迫っているんです。これ以上激しくなって核戦争に進んだら、それこそウクライナだけじゃなくヨーロッパ全体が核の脅威にさらされるわけですから。トルコ、シリアの大地震のことも、どうするつもりなのか。ただちに戦争をやめて、全世界が結集すべきなんです。そういうことさえできなくなってきたということ自体、帝国主義の破産だと思います。
 もう少しで12年目の3・11になります。血のにじむような心の傷や痛み、そして不安と恐れがあります。また大きく爆発するんじゃないかと、12年間もです。しかしながら、ここで生きていかなきゃならないんです。今もって約3万人が避難しているという状況の中ですし、故郷を追われた人もいる。そういう中で我々は本当に生き延びるために必死になってやってきました。
 それに対して、じゃあ政府の示す方針にこれからどういう展望があるんだと問いたい。この間も魚のスズキから1㌔あたり85・5ベクレルの放射性セシウムが出たんです。これが汚染水の海洋放出となってくれば、これはもうどんどん出てくる可能性は十分にある。ましてや青森県六ケ所村の核燃料再処理施設のトリチウムの1年間の放出量は、福島第一原発のタンクにたまっている総量の10倍と聞きました。巨大な海洋汚染、放射能汚染です。もう全世界から糾弾の的になるのではないかと思います。
 当然、福島県の漁師、東北地方の漁師は生活していけません。漁業者は、せっかくここまで努力して頑張ってきたのに何をするのか、と弾劾しています。ところが岸田は、再稼働を始めとしてさらに原発政策を大きく転換しようとしているわけです。許しがたいことです。
 非常に心強いのは、札束ではもう解決しないんだということを漁民の方も考え始めていることです。「そんな金なんかいらないから、もとに戻せ。とにかく海洋放出をやめろ」と。そういう声が心の底から出ているということなんです。全国闘争として3・11反原発福島行動があることは、この大きな闘いの出発点だと思います。
 最後になりますけれども、やっぱり福島県民はけっしてくじけていない。全国の仲間と共に絶対に汚染水海洋放出を阻止して、将来に向かって一歩一歩新たに決意を固めています。全国の仲間の皆さん、よろしくお願いします。

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