戦時下のストへ闘う動労千葉 実力闘争復権させる23春闘へ

週刊『前進』04頁(3285号02面01)(2023/03/15)


戦時下のストへ闘う動労千葉
 実力闘争復権させる23春闘へ


 動労千葉が3月18日のJRダイヤ改定を焦点に構えるストライキは、戦時インフレ下で大幅賃上げを獲得し、「業務融合化」と対決する闘いだ。そして、労働組合の本質的課題として戦争絶対反対を貫く闘いだ。同時に、労働者が団結し実力で資本と闘う階級的労働運動の原点をよみがえらせストを復権する闘いだ。

鉄道の軍事利用許さない闘いを

 動労千葉が構えるストは戦時下での実力ストだ。昨年3月にはウクライナ戦争が始まる中でストに立ち、6月の定期委員会で「新・戦争協力拒否宣言」を発し、反戦闘争を労働組合の基本任務に位置付けた。
 中国侵略戦争と大軍拡に突進する岸田政権は、社会のすべてを軍事優先にする国家改造に乗り出している。JR資本と国家が進める在来線4割廃止は、その攻撃の切っ先にある。動労千葉は、その観点から、住民と結んだ廃線阻止の闘いを全力で推し進めてきた。
 JR資本と国家は今や、鉄道の軍事利用を公然と叫び始めた。昨年、国土交通省は「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」を設置し、そこに防衛省を招いて、鉄道による武器輸送を主張させた。同検討会が出した中間とりまとめを受けて、JR貨物は昨年10月、「公共インフラとしての新たな社会的要請」に応じるため「自衛隊との定期的な意見交換」を実施する方針を打ち出した。国鉄分割・民営化の大破産を軍事輸送で乗り切ろうというのだ。
 この攻撃との対決が、現実の課題に浮上してきた。

戦時インフレへの怒り解き放て

 23春闘は、資本と国家を挙げた労働組合絶滅攻撃の中にある。岸田首相が年始に「インフレ率を上回る賃上げ」を資本に求め、ファーストリテイリングやイオンなどは、資本が自ら賃上げを打ち出した。トヨタやホンダは2月下旬に労組の要求に満額回答を出し、春闘の形骸化は一層進んだ。これは「賃上げ」という形をとった労組解体攻撃だ。
 他方で中小企業は7割が賃上げの予定はないとし、非正規職労働者の時給も、生きていけない水準に押しとどめられたままだ。
 企業や産別を超えた労働者の統一行動で大幅賃上げを獲得する春闘本来のあり方は、破壊されている。この事態を生み出したのは、崩壊の度を深める連合だ。連合は「『人への投資』で成長と分配の好循環をつくる」と言う。これは経団連の言い分と全く同じだ。
 事実、経団連の2023年版経営労働政策特別委員会(経労委)報告は、連合の「基本的な考え方や方向性、問題意識などの多くは経団連と基本的に一致している」と述べ、「労使は、『闘争』関係ではなく、価値協創に取り組む経営のパートナー」だと強調する。資本は階級的なものを一掃しようと必死なのだ。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧と、JRの「労組なき社会」化の攻撃はその先端にある。
 この中で闘われる動労千葉のストライキは、インフレによる生活苦にあえぐ労働者の怒りに火をつけ、実力闘争を一気に復権させる可能性を秘めている。

反合理化・運転保安確立かけて

 JR東日本は3月1日、2024年度にジョブ型雇用を導入し不動産やSuica(スイカ)、データ分野で最大100人を採用すると発表した。鉄道部門で4千人を削減し、不動産や流通部門に異動させる合理化が本格的に始まるのだ。
 3月ダイヤ改定でJR東日本は、運転士や車掌の行路に「その他時間」を設ける。運転士や車掌に、企画業務や車両の清掃、駅の券売機の案内、駅内無人コンビニの品出し、乗務員詰所の消毒、JRが収益拡大を狙って始めた旅客特急列車による農水産物の商品輸送業務などをやらせるということだ。労働者を別の職種に強制的に移す攻撃もさらに強まる。
 乗務員は乗務に専念することで鉄道の安全を保ってきた。JRの攻撃は、安全を根本的に破壊する。
 3月2日、JR東日本の川越線の単線区間に上り下り双方の列車が入り、約600㍍まで接近して赤信号で急停車した。正面衝突寸前の重大事態だ。運行は約3時間停止し、乗客は車内に閉じ込められた。深刻なのは、上下双方の列車が青信号に従って駅を出発し、正面衝突寸前に至ったことだ。JRはAI化で自動運転はできるというが、その無謀性と危険性が、この事故で突き出されたのだ。
 2月28日にはギリシャで旅客列車と貨物列車が正面衝突する事故が起きたばかりだ。列車は大破・炎上し、少なくとも57人の命が奪われた。JR西日本が2005年4月25日に起こした尼崎事故を思わせる大惨事だ。背後にあるのは欧州連合(EU)がギリシャに強いた緊縮財政と民営化だ。ギリシャ鉄道労組は抗議のストに入り、首都アテネでの事故弾劾行動は暴動的な決起になった。
 JRはこの惨事を繰り返すのか! 「業務融合化」には何の合理性もない。JRは、いったん始めた新自由主義攻撃を、自分では止められなくなっている。
 動労千葉は、反合理化・運転保安確立をかけて闘いに入る。3月18日には動労千葉春闘総決起集会が開かれる。戦時下に反戦を貫く階級的労働運動を、ここからよみがえらせよう。動労千葉の闘いを支えよう。

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動労千葉春闘総決起集会
 3月18日(土)午後1時
 DC会館2階ホール

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