入管法改悪案の閣議決定弾劾 戦時下の治安管理狙う悪法

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週刊『前進』04頁(3285号03面03)(2023/03/15)


入管法改悪案の閣議決定弾劾
 戦時下の治安管理狙う悪法


 岸田政権は3月7日、入管法改悪案を閣議決定した。一昨年に廃案となった改悪案をほぼそのまま国会に提出するというのだ。
 今回の改悪案は以下のように難民申請者をはじめ、「在留資格がないだけの外国人」を虐げ、迫害する許しがたいものだ。
 ①在留資格のない外国人に対する、司法審査を経ない無期限・長期収容制度を見直すことなく維持する。②帰国すれば命の危険がある難民や、日本にしか生活基盤がないなど、帰国できない事情がある人に退去を命じ、従わない場合には刑事罰を科す。③極端に低い日本の難民認定率のもとで、何度も難民認定申請を繰り返さざるを得ない人に対し、難民申請が3回目以降の申請者や、3年以上の実刑判決を受けた人は、強制送還を可能とする。④「監理措置制度」を新設し、収容せずに「監理人」の監視のもとで強制退去の手続きを進める。
 すでに国会では軍事費倍増の予算案が衆院通過するなど急ピッチで軍備拡大・参戦準備が進められている。岸田政権は、G7議長国としてウクライナ戦争に介入し、さらにアメリカ・バイデン政権と歩調を合わせ中国侵略戦争に踏み込もうとしている。外に向かっての戦争攻撃と一体で国内の治安管理を図る入管法改悪が強行されようとしているのだ。
 2017年秋、安倍政権が改憲・戦争策動を強める中、副総理・麻生太郎が、朝鮮半島から大量の難民が日本に押し寄せる可能性があるとして「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか」(9月23日 宇都宮市)などと北朝鮮に対する排外主義をあおった。これは、戦争を狙う麻生にとって難民問題が死活的だということであり、同時に労働者階級の国境を越えた反戦闘争にこそ、支配階級を最も震え上がらせる力があるということだ。
 昨年上半期時点で世界の難民は1億300万人に達したという(国連難民高等弁務官事務所)。半年で1300万人以上増えている。ウクライナやミャンマーをはじめ労働者人民が命の危険にさらされているのだ。
 閣議決定の前日3月6日は2年前、スリランカ人女性ウィシュマさんが、点滴すら受けられず名古屋入管の収容施設で殺された(飢餓死!)日だ。ウィシュマさんを殺したのは誰なのか、真相究明を求めて遺族が起こした国家賠償請求訴訟では、証拠ビデオの開示すら拒んできた。ビデオの一部を法廷で調べることが決まったが、その期日が決まらないままだ。入管法改悪案の審議に影響を与えることを恐れているのかと憶測が飛ぶほどだ。
 入管収容施設で「詐病」と判断され医療を受けられずに亡くなった被収容者は、ウィシュマさんだけではない。2017年以降、少なくとも18人が、非業の死を遂げている。「在留資格」という日本国のお墨付きがなければ、人間ではないとでもいうのか! 新たな戦前に突入したこの国で、入管法・入管体制、入管収容所への怒りを戦争への怒りそのものとして爆発させよう! 入管法改悪を絶対に阻止しよう!
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