オンライン義務化は医療の破壊 医師274人が国を提訴 保険証廃止・マイナカード一体化とめよう

週刊『前進』04頁(3290号04面03)(2023/04/17)


オンライン義務化は医療の破壊
 医師274人が国を提訴
 保険証廃止・マイナカード一体化とめよう


 岸田政権は、4月1日からマイナンバーカードを使用してオンラインで患者さんの資格を確認すると息巻いています。「社会保険診療報酬支払基金」によると、4月2日現在の参加率は病院81・3%、医科診療所59・8%、歯科診療所59・0%という状況です。医科診療所における資格確認方法の累計(2023年1月診療分)は、保険証2289万7396件、マイナカード38万511件です。マイナカードによる件数は保険証による件数の1・7%に過ぎず、オンラインシステムは、実際は実施できません。困り果てた厚生労働省は約半年間の猶予申請条件を緩和していますが、それで解決するものではありません。
 システム導入が困難で廃業せざるを得ない小さな医療機関が全国的に発生し、地域医療が成り立たなくなります。災害発生時やシステム故障時に保険診療が継続できず、ランサムウェアなどの攻撃が繰り返されており、深刻な事態が発生するでしょう。
 来年10月からは健康保険証を廃止しマイナカードに統一するといいますが、それは健康と命を守る国民皆保険制度を破壊し、中国侵略戦争を遂行する国内戦争体制づくりを容易にするためのものです。マイナカードの取得は任意なので、取得しない方には1年間有効な「資格確認書」を発行するというのです。現行通り健康保険証の目視で資格を簡潔に確認できるのに、大変手間のかかる「資格確認書」は全く不要です。
 保険診療を行う多くの診療所が加盟している東京保険医協会会員の医師ら274人が2月22日、オンライン資格確認の義務化は違憲・違法であるとして、医師らには公法上の実施する義務は不存在であることの確認を求めて国を相手に提訴しました。
 提訴の理由は次の通りです。①健康保険法第70条〔保健医療機関等の責務〕1項が、厚生労働省令(療養担当規則)に委任しているのは「療養の給付」であり、被保険者の「資格確認」方法については委任の内容に含まれていない。また、省令でオンライン資格確認を義務付けるのは、憲法41条〔国会の地位、立法権〕違反であると指摘しています。②保険医の医療活動は、労働者人民の生命・身体などの権利保障を含む憲法(25条、13条)上の権利である。オンライン資格確認の義務化は、医師の憲法(22条)上の権利を侵害しているということです。
 保険医協会は、「受診時には、健康保険証を提示しよう」と呼び掛けています。健康保険証を肌身離さず使用しましょう。オンライン資格確認の義務化をやめさせ、健康保険証の廃止のための法案を撤回させましょう。
(東京 医療労働者・鈴木健一)
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