6・18国鉄集会に集まろう 1047名の不当解雇撤回へ井手と深澤を法廷に出せ

週刊『前進』04頁(3297号02面01)(2023/06/05)


6・18国鉄集会に集まろう
 1047名の不当解雇撤回へ井手と深澤を法廷に出せ

(写真 原告本人尋問が行われた4月14日の裁判前に東京地裁に向けこぶし)

 国鉄闘争全国運動の6・18集会は、国鉄決戦を軸に階級的労働運動をよみがえらせるために開かれる。国鉄1047名解雇撤回闘争は最終盤の決戦を迎えた。解雇撤回を否定した中央労働委員会の反動命令の取り消しを求めて動労総連合が起こした行政訴訟で、4月14日、動労総連合の田中康宏委員長や動労千葉の中村仁副委員長らの原告本人尋問が行われた。田中委員長らは、解雇の責任がJRにあることを、事実と体験に基づき全面的に明らかにした。
 動労総連合は、解雇を実行したJR西日本元会長の井手正敬とJR東日本現社長の深澤祐二の証人尋問を求めている。だが裁判長は不当にも、彼らの証人採用を拒んだ。動労総連合の代理人弁護団は直ちに裁判官全員に忌避をたたきつけ、裁判は停止している状態だ。井手と深澤を尋問すれば、解雇の責任がJRにあることは明白になる。闘いは「勝利まであと一歩」のところに来た。だから反動も大きい。これを打破する力を6・18国鉄集会でつくり出そう。

労働者反乱の突破口

 1987年の国鉄分割・民営化は、労働運動を解体して改憲と戦争国家化に道を開くために強行された。だが国鉄闘争は、労働運動の絶滅を許さず、中曽根政権以来の改憲のたくらみを阻み続けてきた。岸田政権は今、労働者階級の反戦意識と闘いを根絶できないままウクライナ戦争に参戦し、中国侵略戦争に突進している。そこに支配の危機がある。G7広島サミット粉砕闘争は、世界を核戦争の惨禍にたたき込んでも構わないとする帝国主義への労働者の怒りを根底から解き放った。これは、戦争をしなければ延命できない資本に対する職場からの反乱に必ず転じる。11月労働者集会を見据え、その闘いを意識的に組織しよう。
 国鉄分割・民営化以来の連合支配の下、日本は世界でも例のない「ストライキがほとんどない国」になった。労働者の権利は売り渡され、実質賃金は三十数年にわたり下がり続けた。労働者の約4割が非正規職という現実をつくったのも連合だ。その連合は、23春闘でさらに崩壊の度を深めた。
 23春闘は他方で、労働運動がよみがえる予兆も示した。動労千葉は「労組なき社会」化を許さず、JRダイヤ改定に対し戦時下のストライキを貫徹した。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部は、産業別労働運動の正当性を認めた和歌山広域生コン協組事件の逆転無罪判決を武器に、さらなる反転攻勢に立っている。反動の原点にある国鉄分割・民営化を1047名解雇撤回で打ち砕けば、労働運動は必ず階級的に再生する。

最後の壁うち砕こう

 分割・民営化を前にした87年2月冒頭、労組を憎悪する国鉄職員局次長の葛西敬之(後にJR東海会長)と国鉄総裁室長の井手が、JR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)と密談し、斎藤は不採用基準の策定を指示した。基準は「6カ月以上または2回以上の停職処分を受けた者はJR採用候補者名簿から外す」とされた。85年11月と86年2月の分割・民営化反対ストで停職処分を受けた動労千葉組合員らをJRから排除することが、その目的だった。
 これはあからさまな不当労働行為だ。だがJRは、労働委員会や裁判で「国鉄とJRは別法人。国鉄がしたことはJRとは関係ない」と居直った。最高裁もその理屈を採用し、解雇撤回を否定する反動判決を出し続けた。
 国鉄を引き継ぐとされた鉄建公団を相手に動労千葉が起こした裁判は、この状況に風穴を開けた。動労千葉組合員の排除を目的にした不採用基準の策定は不当労働行為になるという判決が、2015年6月の最高裁決定で確定した。
 この当時、国労は10年4月9日の政治和解で解雇撤回のないまま闘争を終わらせていた。これに抗して動労千葉は同年6月、国鉄闘争全国運動を立ち上げて闘いを継続した。解雇撤回判決を求める署名運動が展開され、10万筆の署名が最高裁に突きつけられた。
 この裁判の過程で動労千葉は、葛西と井手の進言を受けた斎藤JR設立委員長の指示で不採用基準が作られたことをつかんだ。ならば不当労働行為による解雇の責任はJRにある。これは従来の最高裁判決を覆す重大な事実だ。当初は記載されていた組合員の名前を名簿から削る作業を深澤が担ったことも、会社側証人が明らかにした。これらに直接関与した者たちが、「国鉄とJRとは無関係」と言って真相を隠してきたのだ。
 この事実をもとに、動労総連合は18年5月、組合員のJR採用を求めて新たな労働委員会闘争を起こした。それは初めから困難が予想された闘いだった。87年の解雇から31年がたっている。また、分割・民営化直後に起こした裁判や労働委員会で、解雇撤回を否定する最高裁判決がすでに出ている。
 千葉県労働委は冒頭から「最高裁判決に反した命令は書けない」と言って一切の審理を拒否し、却下決定を出した。中労委は調査もせずに申し立てを棄却した。
 中労委命令の取り消しを求める行政訴訟でも、中労委は、動労総連合の訴えは時効で門前払いにするべきだから、事実がどうだったかは関係ないとして、事実の認否さえ拒んだ。裁判所がその尻馬に乗って、一切の事実審理を拒否してくる可能性も大いにあった。
 だが動労総連合は、裁判所を事実審理に踏み込ませ、原告本人尋問を勝ち取った。田中委員長らの陳述を聞けば、次は井手や深澤を証人尋問するしかないはずだ。
 だが裁判所はそれを不当に拒否している。彼らに事実を語らせれば、解雇を撤回するしかなくなるからだ。闘いはそこまで到達した。6・18国鉄集会に集まり、最後の壁を打ち砕こう。

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