階級的労働運動を再生し新自由主義終わらせよう

週刊『前進』04頁(3300号02面01)(2023/06/26)


階級的労働運動を再生し新自由主義終わらせよう

6・18国鉄全国集会の発言

 国鉄闘争全国運動6・18全国集会はG7広島サミット粉砕に続く8・6広島―8・9長崎への総決起、国鉄闘争と11月労働者集会の大結集を誓う感動的集会となった。主な発言の要旨を紹介します。(編集局)

基調報告

戦争絶対反対貫く闘いを
 国鉄千葉動力車労働組合委員長 関道利さん

 5月19日から21日、G7広島サミットが行われ、ゼレンスキーまで呼んでウクライナへのさらなる武器供与を約束し、戦争を拡大することが宣言されました。「G7広島ビジョン」はロシアや中国、北朝鮮の核を非難する一方で、「自分たちは責任ある核保有国だ。核抑止力は正当だ」と書き込んでいます。
 国家の存続や国益のために労働者同士が殺し合わされる戦争を「広島」の名で正当化する、まさに世界戦争・核戦争会議です。「核と人類は相いれない」と訴えてきた被爆者を踏みにじり、全てを戦争に動員していく攻撃に対し、サミット粉砕を掲げてデモを闘った皆さん、とりわけ現地から闘いをつくり上げた8・6ヒロシマ大行動、先頭で闘った全学連の仲間に心から敬意を表します。
 今、戦争に反対して声を上げることが本当に必要です。防衛産業支援法は防衛産業に政府が直接金を出し国有化までして軍需産業を守るというものです。軍拡財源確保法が焦点ですが、大軍拡には与党も野党も賛成なわけです。
 マイナンバー法では保険証廃止やカードの利用拡大が進むとされます。次々と不備が出る、しかしさらに突き進もうとしています。なぜなのか。マイナカードは現代の赤紙です。国民の資産も情報も全て国が把握して軍拡のための税金を取り立て、兵隊を調達していくためです。自治体による自衛隊への名簿提出が問題になっていますが、それと一体の戦争国家化に向けた攻撃です。
 入管法の改悪も強行されました。ウィシュマさんが亡くなったことを契機に入管体制と改悪法案に怒りが集まり、廃案になった法律です。都合の悪いことは全て隠し、まともに説明できなくても難民の命を奪う法律を強引に成立させたのです。戦争国会の姿が表れています。連日数千人が国会前に集まり、廃案を訴えて声を上げました。
 広島ビジョンに対して多くの被爆者、被爆者団体から怒りの声が上がっています。ヒロシマ・ナガサキの闘いが日本の労働者階級にとってどれほど大きいのかということです。
 この怒りを組織して8・6広島―8・9長崎闘争を闘い、反戦・反核・反原発の闘いを広範につくり出しましょう。
 GX(グリーントランスフォーメーション)法は「脱炭素」という名目で原発推進を国の責務とする、とんでもない改悪法です。150兆円と言われる巨大投資が動き始めています。あの原発事故から何を学んだのか。どこまで福島の思いを踏みにじれば気が済むのか。GX法は連合会長・芳野友子がGX実行会議に参加し「雇用の確保になる」という形で推進し、立憲民主党も賛成して成立しました。原発推進とは労働組合が核兵器と戦争に加担していくという問題です。

闘いも権利も捨てた連合

 今年の春闘は労働運動をめぐる大きな転機でした。岸田は「30年ぶりの賃上げだ」と語り、政府のおかげと言わんばかりです。しかし実際に起こったことは事実上の大幅賃下げです。非正規職の賃金は最低賃金レベルに固定され、格差はさらに拡大しています。どんなに物価が上がろうが賃金は上げなくていいとなれば、非正規職化はさらに進みます。岸田は「異次元の少子化対策」と言いますが、どうやって子どもを産み育てていけますか。
 この現実を生み出したのは連合です。連合は自民党にすり寄ってお願いするばかりで、闘いによって賃上げを勝ち取るというあり方も、労働者の権利という考え方もなくなっています。連合の最大労組であるUAゼンセンには187万人の組合員がいて、パートなど非正規職労働者を組織しています。本気になって「生きていける賃金をよこせ」と闘えば、状況が全く変わるはずです。しかし資本と一緒になって労働者支配をするために組織された組合です。改憲を唱え、徴兵制にも賛成しています。これが日本最大の労働組合という現実が、今の労働者の状況をつくっています。
 だからこそ闘う労働運動、階級的労働運動を再生させなければなりません。国鉄分割・民営化反対の闘い、1047名解雇撤回を掲げて闘い続けてきたことの意義は非常に大きなものがあります。
 連合を生み出し、2100万人を非正規職に突き落とし、労働者の階級意識を解体し、社会を崩壊させるところまで行き着いた新自由主義の出発点となったのが国鉄分割・民営化です。国鉄労働運動を潰すことで総評を解散に追い込み、社会党を解体し、労働運動全体を解体することを狙った攻撃でした。連合は資本主義を擁護する産業報国運動としてつくられました。
 そこから本格的に開始された新自由主義は雇用や権利をはじめ社会全体を破壊しました。その矛盾が社会の至るところで噴き出しています。鉄道では、分割・民営化の際に膨大な数のローカル線が廃線にされ、JRには廃線にすべき路線は残っていないはずでした。しかし現在、JR路線の57%が廃線基準以下だとか、人口減少で鉄道は利益が上がらなくなると言われています。これ自体、鉄道を民営化し新自由主義で地方を破壊してきた結果です。国とJRによる全面的な廃線化攻撃は、この民営化、新自由主義の破綻を逆手にとり、軍事を全てに優先させる国家に転換する大攻撃の一環です。
 沿線住民を中心に「久留里線と地域を守る会」が結成されました。国土交通省が検討会を開くと、JR各社は前のめりに廃線に向けて動き出しました。しかし会の皆さんの努力で地域の怒りの声を引き出し、正面からの対決に持ち込んでいます。
 職場では、民営化とその後の業務外注化の矛盾と破綻の中で、業務融合化と組織大再編の攻撃が吹き荒れています。JR東日本も鉄道会社ではなく鉄道も経営するIT企業にするということが打ち出されています。鉄道部門は4千人削減するとか転籍や副業を促進すると言われています。2日前、内房線で電力設備の作業中に下請け労働者が感電死しています。JRの外注化によって殺されたことは間違いありません。この間、列車が正面衝突しそうになったり、旅客列車が貨物の線路に進入したりといった事故が相次いでいます。これが民営化と外注化、新自由主義のもたらしたものです。公共インフラの鉄道を民営化して金もうけの道具にしたことが根本的に間違っていたんです。

全てを11月労働者集会へ

 国鉄1047名解雇撤回の闘いが継続していることが、新自由主義攻撃に対抗する大きな力になっています。総評解散と連合結成後も、連合傘下も含めて広範な支援陣形がつくられ、新自由主義攻撃も簡単には貫徹できない力関係を築いてきました。2010年4月、1047名解雇撤回闘争を終わらせようという政治和解に対して国鉄闘争全国運動が出発し、本日も集会を勝ち取っています。困難な中でも闘いを継続したことで、隠されてきた国家的不当労働行為の真実を暴き、それがJR自身による不当労働行為であったことも明らかにしました。関西生コン支部、港合同との3労組共闘も1047名闘争から始まりました。
 私たち3労組が闘う労働組合の全国ネットワークを呼びかけて11月労働者集会を毎年開催し今年で26年目を迎えます。切り開いてきた地平は決して小さくありません。改めて国鉄闘争を軸に階級的労働運動の再生を勝ち取る闘い、11月労働者集会にかけてほしいと思います。新自由主義の生み出した矛盾と破綻は放っておけばなくなるようなものではありません。これに抗する労働組合の闘いが必要です。連合を乗り越えて闘いを生み出す可能性も生まれています。連合内部の労働者にも未組織の労働者の中にも怒りが積み上がっています。
 11月19日の日比谷野外音楽堂への結集にかけてください。一人一人がオルグ団になってほしい。11月集会については、戦争に反対し、新自由主義を終わらせる力を持った労働組合・労働者の闘いをつくりあげること、あらゆる労働者の怒りの声を結集する場にすること、労働者の国際連帯として勝ち取ることを掲げました。
 関西生コン支部への大弾圧との闘いは、血を流して闘いとってきた労働基本権、労働者と労働組合の権利を根こそぎ解体しようという攻撃との対決です。仲間たちは湯川裕司委員長への実刑4年という重刑攻撃に屈することなく闘っています。和歌山事件では逆転無罪という、産業別労働組合の権利を全面的に認めさせる画期的な判決を勝ち取り、反転攻勢に打って出ています。この大弾圧を絶対に打ち破りましょう。
 動労千葉はCTS(千葉鉄道サービス)での職場代表選を闘い、幕張事業所の職場代表として私が6回目の当選を勝ち取りました。1日にはCTSから新たな仲間が1人、動労千葉に結集しています。地道に闘いを進めることが重要です。それが一挙に事態を動かす力になります。
 一歩ずつ、しかし大胆に全てを11月集会結集につなげて闘いましょう。

関生弾圧打ち破ろう

勝利判決活用し組織化を
 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部書記次長 武谷新吾さん

 3月6日、大阪高裁は関西生コン支部執行委員3人に対する「威力業務妨害」「強要未遂」事件について、一審の和歌山地裁の有罪判決を取り消し、全員に無罪を言い渡しました。検察側は上告することなく無罪判決が確定します。
 一審判決は、和歌山広域生コン協組の理事長に対する組合員の発言は脅迫や威力を用いた行為に当たり、手段として許容される限界を超えていて、正当行為として違法性が阻却されることはないと判断しました。
 今回の事件の発端は、暴力団関係者が関生支部の事務所付近から組合関係者をビデオ撮影し、「在籍確認や」「武谷おるか」などと発言した出来事です。高裁判決はこれを「組合員らが団結権に対する脅威と感じたのも無理はない」と指摘しています。また「組合員らが声を荒らげたのは、理事長が虚偽の説明をしたことに立腹した場面であった」ことなどを丁寧に認定し、「強要未遂罪、威力業務妨害罪の構成要件該当性を認めることには疑問がある」としました。
 違法性阻却事由について一審判決は、「関生支部の組合員の中に理事長または広域協に雇用されている者がいなかったことから、許容される行為には相応の限界がある」と判断しました。しかし高裁判決は、「産業別労働組合である関生支部は業界企業の経営者・使用者、あるいはその団体と労働関係上の当事者に当たるというべきだから、憲法28条の団結権等の保障を受け、これを守るための正当な行為は違法性が阻却される」としました。
 これは当たり前ではあるけれど非常に重要な判示です。日本では数の上では企業別組合が主流です。だからといってそれを前提としてしか憲法28条を理解しないとすれば、大きな誤りを犯します。海外とりわけ欧米では産業別労働組合こそが代表的な組織形態とされています。産別労組の意義に深く理解を示した判決は珍しく、重要な判決と言えるのではないでしょうか。
 その上で高裁判決は「理事長のもとへ抗議に赴くことも、それが暴力の行使を伴うものでない限り、労働組合が団結権を守ることを目的とした正当な行為として労組法1条2項の適用または類推適用を受ける」とし、無罪としました。労組法1条2項は労働組合の行為で正当なものは罰しないと定めています。
 全国の仲間、労組交流センターの仲間の支援によってこの判決は勝ち取れたと思います。引き続き刑事事件の無罪判決を勝ち取るために全力を尽くします。
 この判決を労働現場でしっかり活用していただき、闘う労働組合を拡大しましょう。そして11月集会では日比谷野外音楽堂を労働者であふれさせましょう。

(写真 会場で集められた署名とカンパが関生支部・武谷さんに手渡された)

1047名解雇撤回へ

井手と深澤を法廷に出せ
 動労千葉副委員長 中村仁さん

 4月14日に東京地裁で行われた1047名解雇撤回の行政訴訟で、国鉄分割・民営化に反対した動労千葉や国労の組合員が排除された過程が田中前委員長から明らかにされました。反論の余地は全くありません。JR採用候補者名簿から私たちの名前を削除した下手人の井手JR西日本元会長、深澤JR東日本社長を法廷に出させる必要が絶対にあると思っています。
 私たちが36年間、解雇撤回闘争を続けているのは、国鉄分割・民営化は労働運動を潰して改憲し戦争ができる国にする攻撃だったからです。国鉄分割・民営化で労働運動は後退し、連合は「原発が雇用を生む」と日本の核基地化の担い手となっています。私たちは3・11福島原発事故を絶対に忘れない。福島の絶望と共に生き、それを希望に変えると決めています。
 国鉄分割・民営化の破綻がJRの労働者に業務融合化として、住民にローカル線の廃止として襲いかかっています。久留里線の廃線を狙う住民説明会では「鉄道はインフラではない」という暴論まで出ています。
 改めて労働運動の変革と再生を呼びかけます。よい戦争、よい核兵器があるというのがG7広島サミットの結論です。広島の名で核と戦争を正当化し、ウクライナ戦争を激化させ、台湾有事をあおることを絶対に許さない。職場の闘いを基軸に8・6広島―8・9長崎を全力で闘い、日比谷野外大音楽堂からあふれる11・19集会への大結集をつくりましょう。その先頭に動労千葉は立ちます。

11月集会へ特別アピール

本気の討論巻き起こそう
 動労千葉前委員長 田中康宏さん

 11月19日に開催される労働者集会の成功に向け、全ての力を集中してほしい。
 私たちは歴史の分岐点に立っています。社会のあらゆる機能が戦争に総動員され、労働者の生活や社会がなぎ倒され破壊されようとしています。第3次世界大戦など絶対に起こしてはなりません。そのために必要なのは闘う労働運動です。
 11月集会は今年26回目を迎えます。悪戦苦闘と涙の26年間かと思います。11月集会あるいは3労組の闘いは国鉄分割・民営化との闘いに端を発した取り組みでした。闘う労働運動の全国ネットワークをつくろう、階級的労働運動をよみがえらせようと訴えた頃は、あらゆる勢力がそう訴えていました。今は私たち以外に一つも存在しません。
 なぜやり続けることができたか。国鉄分割・民営化という最大の労組破壊、国家を挙げた新自由主義の攻撃に勝ち抜いたからです。その後の1047名解雇撤回闘争を、連合の完成を許さない闘いと位置づけました。闘いの全てを引き継いだのは私たちです。
 春闘を見てほしい。連合は崩壊し、決定的な変質が始まっています。軍需産業、原発産業の守り手になり、大軍拡と核戦争、原発推進という形で生きる。4割の労働者が非正規職という現実をつくり上げた資本と一体となって非正規職の反乱をさせない。自治労や日教組、JP労組が戦争に向かって教育、国家、行政機構の守り手になって進む----。ナショナルセンター崩壊の大きな転換点で階級的労働運動をよみがえらせる条件が成熟した。新しいものが生まれ出る。26年間の闘いが今こそ生きる時です。
 もう一点。後の歴史にはG7広島サミットと今国会が転換点だったと書かれるでしょう。戦争に向かって全てが雪崩を打っていく時代が始まっています。G7サミットにゼレンスキーが登場し、ウクライナ解放の先頭に立っているかのようにマスコミが描き出している。バイデン政権やNATOが最新のミサイルとか軍需産業全てを総動員してやっている戦争が、労働者階級解放の戦争ですか。日本がかつて中国侵略戦争を開始し泥沼に陥って日米戦争に突き進んでいったような帝国主義の戦争の危機が、再び目の前に広がっているように思えてならない。
 新自由主義の全面的な崩壊が始まっている。鉄道も教育も、人間が生きていくために必要なもの全部が崩壊しようとしています。国家財政も日銀も全部破綻、それでも戦争する。労働者の賃金は30年間下がり続けました。この春闘、賃金が上がったかのように言われていますが、実質賃金はマイナス。非正規職に至ってはもっとひどい状況です。ヨーロッパ全土、アメリカや世界中で起きていることは労働者の大反乱です。戦争に反対し、戦争がもたらす生活破壊に反対し、こんな社会は変えないといけないと立ち上がっています。
 何から始めるのか。自身の殻を打ち破ることです。闘いを求めている労働者がたくさんいます。労働者は自動的に立ち上がるか、そんなことはありません。組織する人間、火花を起こす人間がいて初めて闘いになるのです。だから本気になって討論を巻き起こしてほしい。必ず10人に1人は組織する側になってくれる。広く深く全力を尽くして組織化に入りましょう。
 サミットの闘いをやりぬき被爆者を先頭とした怒りと結びつきました。戦後労働運動の柱は戦争反対の闘いです。これが今や崩れ落ちようとしている。この間の闘いで広島の怒り、原水禁運動の闘いと僕らの闘いを発展させた。8・6広島―8・9長崎の闘いは、これまでの次元を超えなくてはいけない。職場からの闘いと戦争反対の闘いを一つのものとして、戦後労働運動の一番いいところを継承し乗り越えていく。
 11月集会がイラク戦争反対闘争の中で国際連帯闘争となって20年。韓国の民主労総とは、日韓連帯20年の記念事業を行おうと思います。戦争を止めるのは労働者の国際連帯です。鉄道労組ソウル地方本部との連帯が韓国鉄道労組本部との連帯に広がりました。アメリカ、イタリア、トルコの同志、あらゆる方々が集会に結集してくる。日比谷野外音楽堂を立錐(りっすい)の余地なく埋める大結集が必要です。
 私たち3労組は関西生コン支部に加えられた大弾圧を絶対に粉砕します。JRでかけられている「労組なき社会」化攻撃を絶対に粉砕する決意です。この二つを粉砕できれば労働運動はよみがえるきっかけをつかめる、こういう確信をもって闘っています。これまでの水準を本当に乗り越える力として11月集会を成功させましょう。

(写真 奈良市従とコンビニ関連ユニオン、8・6ヒロシマ大行動実行委員会、全学連が決意を表明【6月18日 江戸川区】)

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