マイナカード推進の狙いは戦争 制度廃止の大運動で岸田政権うち倒そう

週刊『前進』04頁(3301号02面04)(2023/07/04)


マイナカード推進の狙いは戦争
 制度廃止の大運動で岸田政権うち倒そう


 6月2日のマイナンバー改悪関連法成立後も、連日マイナカードをめぐるトラブルが報じられている。そもそも政府は口座の誤登録を2月には把握しながらこれを隠ぺいし、改悪法成立後に明らかにしたのだ。
 12日には岸田首相自身が「陳謝」し、21日には秋までにデータやシステムを総点検するとして「マイナンバー情報総点検本部」を設置した。相次ぐトラブルを受けて7月5日に衆院で閉会中審査が行われることも決まったが、根本的な解決にはほど遠い。何より、具体的な手法も基準も示されない自治体への「総点検」丸投げは、恒常的な人手不足を強制されている現場にさらなる矛盾を押し付けるものであり、あくまで来年秋の現行保険証廃止・マイナ保険証への一本化を強行するためのパフォーマンスでしかない。強引な制度推進の張本人であるデジタル相・河野が点検本部長を務めること自体が茶番だ。

社会生活への浸透狙い利用範囲拡大

 政府がぼろぼろのマイナンバー制度を絶対に廃止しないのは、労働者民衆の情報の一元化—監視国家化が、戦時体制構築を急ぐ日本帝国主義にとって決定的な意味をもつからだ。
 現行保険証廃止・マイナ保険証への一本化を筆頭に、対象はあらゆる分野へと押し広げられている。政府が運営する行政手続きのためのウェブサイト「マイナポータル」では、すでに医療や税・所得・口座、年金、子ども・子育て、世帯情報、福祉・介護、雇用保険・労災に関わる29項目の情報を取得できる状態だ。
 6月9日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、「安全・安心で便利な国民生活に向けたマイナンバーカードの機能拡充」がうたわれ、行政手続きでのマイナンバー利用範囲拡大のほか、預貯金口座とのひも付けなど制度自体の拡大、マイナカードと各種証明書との一体化などが柱とされている。保険証、運転免許証に加えて母子手帳などとも一体化し、「市民カード」として社会生活のさまざまな場面に入り込ませようというのだ。ハローワークの受け付けや携帯電話などのオンライン契約の際の本人確認を原則マイナカードにする方針も盛り込む。
 在日外国人が携帯させられる在留カードと一体化されようとしていることも重大だ。これ自体が入管体制強化にほかならない。
 教育も狙われている。まずは大学をターゲットに「キャンパスのデジタル化」を掲げ、特に国立大学の運営交付金について、授業の出欠確認でマイナカードを使うなどの「活用実績」を考慮して配分するなど、予算を人質にとって圧力を強めようとしている。

政府への不信からカード返納が増加

 情報漏えいのリスクはマイナンバーが多くの情報とひも付けられるほど増大し、同時に国家は労働者民衆の監視と統制を進めやすくなる。今や多くの人々がこの狙いを見抜き、各自治体ではマイナカードの自主返納が相次いでいる。「トラブルばかりで信用できない」「個人情報の漏えいが心配」というのが圧倒的多数の労働者民衆の声だ。6月17、18日に共同通信が行った世論調査では、マイナ保険証に一本化する政府方針の延期や撤回を求める声が計72・1%に上った。
 6月8日には大阪府保険医協会が「『保険証廃止法』にわれわれ医師は服従しない」と題した理事会声明を発し、マイナ改悪法廃止を求めた。マイナンバー制度廃止を求める闘いは、医療と社会保障を破壊し、なりふりかまわず戦時体制づくりに突進する岸田政権を打ち倒す闘いそのものとして発展している。
 闘いはこれからだ。マイナ保険証・マイナンバー制度の廃止へ、現場の怒りを集めよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加