焦点 「国民負担」激増 大軍拡・戦争財政へ絶望的突進

週刊『前進』04頁(3304号03面04)(2023/07/24)


焦点
 「国民負担」激増
 大軍拡・戦争財政へ絶望的突進


 今や「国民負担率」(所得に占める税と社会保険料の割合)は、「ごまの油と百姓は搾れば搾るほど出るもの」とされた江戸時代の「五公五民」の水準(5割)に迫る。労働者階級の困窮は、この30年にわたる〈賃金下落〉と〈増税・負担増〉に〈物価高騰〉がかけ合わさり、食事と生活すら困難なレベルにまで深刻化している。
 給食がない夏休み中の子どもに食事の支援をする団体への保護者の申請が増え、その理由として「十分な食料を買うお金がない」が7割を超えた。多額の奨学金返済の重圧が青年労働者を絞め上げている。公的福祉の解体でヤングケアラーや「老老介護」が激増。高齢者は「体が動く限り」働くことを強いられている。
 岸田政権やマスコミの「(負担増は)高齢者が増えたから」というデマと分断攻撃を許してはならない。全世代にわたる貧困は、国鉄分割・民営化と階級的労働運動の後退、非正規職化・強搾取と1989年消費税導入、2000年介護保険制度創設をはじめ強収奪・社会保障破壊の結果だ。対極で巨大資本と資本家らは過去最高益を上げ、資産を積み増し続けている。階級矛盾の爆発的表れだ。
 産業報国会へと雪崩打つ連合本部を打倒する闘う労働組合の再生とストライキの復権が叫ばれている。資本主義を打ち倒す労働者階級の反乱の時だ。

「無限増税」が始まった

 貧困と怒りが社会を覆う中で、岸田政権は日本帝国主義の延命をかけて戦争に突進し、5年で43兆円の大軍拡と軍事費調達に全てを注ぎ込む戦争国家財政になりふり構わず踏み切ろうとしている。岸田は労働者の怒りを恐れて軍拡増税の全体像をいまだに示せないが、大軍拡はすでに始まっている。その矛盾は、より破滅的な形で労働者に押し付けられる。
 6月16日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2023」に続き、政府税制調査会は6月30日、「厳しい財政事情」をあげつらって労働者への例外のない増税に踏み出す中期答申をまとめた。退職金増税や配偶者控除削減に言及。現行の給与所得税制をフリーランスや副業の収入と比べ「相当手厚い仕組み」と強弁して所得控除の引き下げを求め、通勤手当や社宅の貸与まで課税対象にリストアップした。労働者の総フリーランス化が狙いだ。
 復興特別所得税は軍拡財源化されて取り続けられる。10月インボイス制度導入による売り上げ1千万円以下の免税事業者に対する消費税課税は消費税大増税の突破口とされる。年金保険料引き上げ、高齢者の医療費窓口負担2倍化に続く医療保険料の限度額引き上げ、介護保険料の引き上げと介護負担の2倍化が公言されている。「無限増税」の始まりだ。

戦時国債とマイナ制度

 岸田は無際限の国債発行にまで踏み込もうとしている。かつて日帝は中国侵略戦争からアジア・太平洋戦争に至る戦費調達のために大増税と戦時国債の乱発に突き進んだ。最高税率は物品税が120%、遊興飲食税が300%に上った。国債は際限ない日銀引き受けと民間消化、隣組制度などでの購入の強制で膨張し、敗戦で紙くずと化した。今マイナンバー(個人番号)制度にこだわる岸田の真意が戦時の徴兵・徴用と共に強制徴収の準備であることは明らかだ。
 戦争に絶対反対し、8・6広島―8・9長崎闘争に総決起して日帝・岸田政権打倒へ闘おう。
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