原発汚染水の海洋放出弾劾 核武装狙う日帝の国家犯罪 9・23大デモで岸田を倒せ

週刊『前進』04頁(3308号01面01)(2023/08/28)


原発汚染水の海洋放出弾劾
 核武装狙う日帝の国家犯罪
 9・23大デモで岸田を倒せ


 8月24日、岸田政権と東京電力は、福島第一原発から排出される放射能汚染水の海洋放出を強行した。これまで政府・東電は、放出に反対することは「福島復興への妨げ」であるかのように宣伝して現地の人々を恫喝してきたが、これに屈せず放出反対を訴える声が高まる中、ついに岸田は「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とした2015年の「約束」をほごにしたのだ。今や核戦争にまで行き着く世界戦争が始まり、日本帝国主義は核武装と独自エネルギー源確保の原発推進へなりふり構わず突き進んでいる。汚染水放出はそのための福島圧殺攻撃にほかならない。福島の怒りを先頭に汚染水放出即時中止へ闘おう。9・23反戦デモの爆発で岸田を倒そう!

福島の怒りで即時中止を

 政府・東電は、トリチウムをはじめおびただしい放射性核種を含む汚染水を今後30〜40年にわたり放出し続けるとしている。これは全人類への「核攻撃」であり、極悪の国家犯罪だ。
 8月21日に全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長らと官邸で面会した岸田は、「たとえ今後、数十年の長期にわたろうとも全責任を持って対応することをお約束する」などと述べた。一体誰がこんな言葉を信用するというのか! そもそも「全電源喪失はありえない」(安倍)と強弁して地震対策すら拒否し、3・11福島原発事故を引き起こしたのはお前たち自民党政府ではないか! この事故がもたらしたとてつもない被害、被災者の想像を絶する苦しみに対して、今まで日帝政府がほんのわずかでも「責任をとった」ことがあるのか!
 8月3日現在、汚染水の総量は約134万㌧。廃炉完了目標は2051年とされ、この全過程で汚染水を放出し続けるという。だがこの計画自体が机上の空論だ。地下水や雨水は日々、建屋に流れ込み、汚染水は増加する一方だ。東電は放出によって空になったタンクを撤去し、その跡地を核燃料デブリの保管場所に使うというが、福島第一原発1〜3号機に合計約880㌧あると推定される核燃料デブリの本格的な取り出し時期などは全く見通せない。当初は21年度中に2号機から試験的な取り出しを始める予定だったが、装置開発の遅れなどで2度も延期に追い込まれている。今年度後半の開始をめざしているが、取り出す量は耳かき一杯分で、「取り出し」ではなく「採取」だと言われているレベルだ。
 これまで歴代の自民党政府は、核武装というどす黒い意図をもって、うそと金と暴力で原発政策を強引に推し進めてきた。その果てに「3・11」を引き起こしておきながら、今またその全責任を居直ってうそと金と暴力に物を言わせた核・原発政策の推進に突き進み、福島の人々をはじめすべての労働者階級人民に屈服を迫っているのだ。
 だが、日本の労働者階級人民は二度と戦争を繰り返さないと誓ったように、二度と「3・11」を繰り返さないと固く決意している。24日には福島・浪江町で緊急現地闘争(4面に速報)が行われた。闘いはこれからだ。岸田を打倒し、放出を即時中止させよう。

日米韓で「核共有」を画策

 岸田が24日の放出強行を最終的に「決断」する直接の契機となったのは、18日(日本時間19日未明)に米メリーランド州キャンプ・デービッドで行われた日米韓首脳会談だ。
 会談は、成果文書として「キャンプ・デービッド原則」「キャンプ・デービッド精神(日米韓首脳共同声明)」「日米韓の協議に関するコミットメント」の3文書を採択。「原則」は、「自由で開かれたインド太平洋を推し進める。力または威圧によるいかなる現状変更の試みにも反対する」と明記し、「対中国」で日米韓が一体化して行動することを確認。また「精神」は、「日米同盟と米韓同盟の間の戦略的連携を強化し、日米韓の安全保障協力を新たな高みへと引き上げる」として、文字通りの日米韓3カ国軍事同盟の形成を公然と宣言した。具体的には、日米韓の首脳・外相・防衛相・安全保障担当高官による協議の毎年開催や3カ国共同軍事演習の毎年実施などを確認した。
 重要なことは、北大西洋条約機構(NATO)がそうであるように、日米韓軍事同盟は核軍事同盟となり、日帝の核共有や核武装に道を開くということだ。すでに米韓は4月の首脳会談で採択した「ワシントン宣言」で、核戦力の運用を話し合う「米韓核協議グループ(NCG)」の創設を決め、5月の日韓首脳会談ではユンソンニョルがNCGへの日本の参加を「排除しない」と語った。日帝は2010年から米帝と「拡大抑止協議」を行っており、さらに踏み込んで日米韓の核兵器の運用協議、さらに本格的な核共有へ進もうとしている。すでに韓国には、ワシントン宣言に基づき今年7月から核ミサイル搭載可能な米軍戦略原子力潜水艦が42年ぶりに寄港している。
 まさに今回の日米韓首脳会談は、中国との戦争が核戦争になることを想定し、その遂行のための新たな軍事同盟の構築を決めた核戦争会議にほかならない。

世界戦争阻む国際連帯を

 日米韓首脳会談の終了直後、8月21〜31日の予定で米韓合同演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド」が始まった。演習規模は過去最大で、「北朝鮮による局地的な挑発が全面戦争にいたる従来のシナリオから、平時に一気に全面戦争に突入するシナリオに改定された」(8月22日付朝日新聞)という。ユンソンニョルは「真の平和は圧倒的な力によって守られる」と叫び、核兵器を含む米韓軍の圧倒的な軍事力で北朝鮮への重圧を強めている。
 これに対抗して北朝鮮が24日未明に衛星を発射すると、日本政府は沖縄県を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令、午前3時台に人々をたたき起こして沖縄全域を「戦時体制」さながらの状態へと追い込んだ。その前日に次期戦闘機や殺傷能力のある武器の第三国への輸出を容認する政府見解を示したことと併せて、岸田はかつてないペースで戦争に向かっての大転換を急いでいる。
 ウクライナ戦争をめぐっては、6月以来の「反転攻勢」の行き詰まりに焦るゼレンスキーが8月20日、オランダとデンマークを続けて訪問、両国が保有する米国製戦闘機F16のウクライナ供与決定が発表された。17日に米国務省が両国からの供与を正式認可したことを受けたものだ。
 無数の人民を犠牲にしながら破滅的に激化するウクライナ戦争に対して、「今すぐ戦争をやめろ!」の声は全世界で拡大している。9・23反戦デモの爆発をかちとり、戦争を内乱に転化する闘いを切り開こう。世界戦争を阻む国際連帯の構築へ、11・19労働者集会の歴史的成功をかちとろう!

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