戦争のための大阪万博中止を 軍事輸送インフラに6兆円 大阪港の軍事拠点化を推進

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週刊『前進』04頁(3330号02面03)(2024/02/05)


戦争のための大阪万博中止を
 軍事輸送インフラに6兆円
 大阪港の軍事拠点化を推進


 アメリカ帝国主義=イスラエルによるガザ侵攻は中東全域の戦争に拡大しようとしている。世界戦争・核戦争が迫っている。日本の労働者階級の総力を挙げて「連帯し、侵略を内乱へ」、中国侵略戦争阻止の大決戦に入る時だ。その一角をなす闘いとして、戦争のための大阪万博絶対反対の闘いに立ち上がろう。

万博反対多数でも開催の強行を叫ぶ

 世論調査では大阪万博反対が圧倒的多数だ。日本維新の会支持層ですら反対が65%。しかし維新代表・馬場伸幸は「絶対にやめない。世界から信用を失う」、万博担当大臣・自見英子は「中止・延期は考えていない」と強弁し、関西経済連合会は「前売り入場券を300万枚買う」と、開催に必死である。「経済効果」の議論は吹き飛び、「他国との競争に勝てない」と絶叫する世界戦争参戦と一体の動きとなった。
 万博は2013年、大阪都構想と共にぶち上げられた。都構想は「道州制の一丁目一番地」と称する改憲と戦争のための国家改造計画である。約1800ある自治体を300に減らしてあらゆる地域的な紐帯(ちゅうたい)を破壊し、労働組合を潰すために自治体労働者・教育労働者の首を切り民営化する攻撃だ。
 しかし11月労働者集会を呼びかける3労組の闘いと一体の「橋下打倒」「道州制反対」の反撃が、地域の闘いと結合して二度の都構想住民投票を否決に追い込んできた。都構想―道州制を否定されたため、今度は岸田政権と一体で万博を強行しようとしているのだ。

「災害対策」は口実地方自治破壊狙う

 万博関連予算約9兆7千億円のうち6兆円は「大規模災害等に備えた強靭(きょうじん)な国土づくり」のための「広域的な交通インフラの整備」に注ぎ込まれる。それは自衛隊基地の地下化などに5年間で4兆円を投じる「基地強靭化」と一体のものだ。鉄道については大阪市周辺のみを強化する一方、道路については近畿だけでなく鳥取や徳島・高知まで対象にされ、多くが自衛隊の駐屯地・分屯地付近に集中している。「有事」に自衛隊・米軍の移動に使う道路網だけは強化し、不要な鉄道は切り捨てるということだ。
 一方で防災のための予算は激減させられ、地域住民にとって本当に必要な鉄道や道路が切り捨てられたために、能登半島地震では悲惨な事態になっている。
 1月17日、「非常時に国が自治体に必要な指示をできるようにする」地方自治法改悪案が判明した。辺野古新基地の代執行工事強行に続き、能登半島被災地支援の破綻を開き直って地方自治破壊に使う許しがたい策動だ。道州制でやろうとしたことであり、万博はこれと一体である。

労組破壊を許さず戦争を阻止しよう

 鉄道網のない万博会場の夢洲(ゆめしま)のために、淀川左岸線の整備や橋梁(きょうりょう)の拡幅を行い、北ルート、南ルートを整備する。それはカジノを含む統合型リゾート(IR)を整備するという面もあるが、戦時下の軍隊の移動・物資輸送ルートとして大阪港を軍事転用可能にするための計画だ。
 大阪港は第2次大戦時、全国から兵士、武器弾薬、軍馬、軍事物資などが集結するアジアへの一大出征基地だった。女性らが兵士を見送ったことから、港区は国防婦人会の発祥の地ともなった。軍事施設や軍需工場が集中したからこそ、大阪空襲で攻撃が集中した。
 すでに大阪港を再び軍事拠点化する計画が動き出している。22年5月、地対空誘導弾PAC3展開訓練が舞洲(まいしま)で行われた。近畿地方では13年の万博記念公園に続く2度目の実施だ。大阪府の「広域的支援部隊受入計画」では災害時の陸上自衛隊の結集拠点の第一に万博記念公園が指定され、もう一つの拠点である久宝寺(きゅうほうじ)緑地では昨年6月に自衛隊ヘリが降下する戦時訓練が行われた。夢洲は大阪港における海上自衛隊の結集の最大拠点に指定されている。
 大阪港は日米軍事同盟の重要拠点として、戦闘機を満載した米強襲揚陸艦「アメリカ」や海自イージス艦「こんごう」が入港している。それに対し港合同、全港湾、関西地区生コン支部や大阪市労連傘下の労働組合を中心に軍事利用反対の闘いが継続されてきた。大阪において国を挙げた労組破壊が続くのはそうした闘いを潰すためでもあり、それを打ち破って闘い抜いてきた地平が、これからいよいよ戦争を止める闘いと一体で爆発する時だ。
 万博の目玉とされる「空飛ぶクルマ」は米軍によって軍事利用の開発が進められている。主要機種の一つは事故が相次ぐV22オスプレイと全く同じ飛行様式を採用しており、現実性はない。中国侵略戦争のための国産垂直離着陸機の開発そのものである。
 岸田は1月30日、施政方針演説で被災地復興と万博成功へ国全体で対応すると表明した。岸田打倒、維新打倒へ闘おう。連合も自治労本部も実質「万博賛成」の中で、現場の労働組合から工事強行のための「労働時間規制」適用除外の動きに絶対反対の声が上がっている。労働者の怒りで戦争のための万博を中止に追い込もう。
(革共同大阪市委員会)
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