2・11国鉄集会 戦争阻む階級的労働運動を

週刊『前進』04頁(3332号02面01)(2024/02/19)


2・11国鉄集会
 戦争阻む階級的労働運動を

(写真 久留里線と地域を守る会が登壇し、三浦久吉会長が「戦争体制づくりを狙う廃線は許さない」と訴えた【2月11日 千葉市】)

 2・11国鉄集会の主な発言と11月労働者集会への3労組共同アピールを紹介します。(編集局)

基調報告

国鉄千葉動力車労働組合委員長
 関道利さん

反戦春闘かちとり労働者の力示そう

 国鉄分割・民営化による不当解雇から37年、分割・民営化反対のストライキから39年を迎えます。私たちは、国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回・原職復帰を闘ってきました。それは、動労千葉の組合員だけでなく、全労働者の権利と労働組合の未来のかかった闘い、改憲と戦争を許さない闘いだったからです。
 当時の首相・中曽根は分割・民営化の狙いを「国労を潰して、総評を解体し、社会党を解体する」「お座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と語りました。たしかに総評は自ら解散し、連合が結成され、日本労働運動は後退を強いられました。しかし、国鉄1047名解雇撤回闘争が継続し、その力関係の中で「産業報国会」としての連合の完成を阻んできました。

日本の参戦国化許さない

 今の時代を見れば、私たちはこれまで経験したことのない世界戦争情勢の中にあります。ガザでは許しがたい大虐殺が隠されることもなく続けられています。すでに犠牲者は2万8千人を超えています。ウクライナ戦争は長期化・泥沼化し、「反転攻勢」と称して劣化ウラン弾やクラスター弾が次々に投入され、おびただしい犠牲を出しながら、膠着(こうちゃく)状態に陥っています。
 こうした世界戦争を生み出しているのは、アメリカ帝国主義の世界支配の危機と、その中での対中国の戦争への突進です。そして、日本はこのアメリカの国家安全保障戦略の中に深々と組み込まれています。
 麻生は今年に入ってもまた「台湾有事は日本の存立危機事態」だと発言し、台湾総統選の過程で候補者らに「台湾海峡有事の覚悟を持て」とまで言っています。しかし、台湾有事で戦争をするということは、あの沖縄戦を再びやろうということです。私たちに中国や韓国、世界の労働者と、労働者同士で殺し合いをさせるということです。こんなことは絶対に許すわけにはいきません。
 岸田政権の戦争国家化への突進は世界的にも突出しています。今国会では防衛費8兆円という大軍拡予算や、「有事」に国が地方自治体に指示を出せるという地方自治法改悪などが狙われています。裏金問題でグラグラになりながらも、任期内の改憲まで宣言しています。昨年に続き激しい戦争国会です。
 中国侵略戦争は日本の全面的な参戦抜きに成立しません。だからこそ、日本の私たちが東アジアにおける戦争を絶対に阻止する、岸田政権の戦争国家化攻撃と対決して大きな反戦闘争をつくりあげていくことが求められています。
 伊藤忠はイスラエルの死の商人と結んだ協力関係の覚書を今月で終了すると発表しました。国際司法裁判所の判決を理由にしていますが、私たちも抗議行動に立ち上がり、多くの怒りの声が上がる中で、撤回に追い込まれたということです。
 岸田政権が防衛産業育成にかじを切る中で、一斉に戦争経済化が進んでいます。三大重工業の一角であるIHIは、イギリス・イタリアとの戦闘機の共同開発のために防衛省の目と鼻の先に新しい事務所を構えて、防衛部門の体制を1・5倍にすると言っています。さらに大きな反戦闘争をつくりあげていかなければなりません。

スト復権させ連合倒そう

 改めて階級的労働運動をつくりだしていく闘いが必要です。労働組合は本来「反戦の砦(とりで)」であり、本当に戦争を阻止する力が労働者の団結した力の中にあるからです。
 こういう時に連合は何をしていますか? 「雇用の確保だ」と言って原発と核武装推進に手を貸し、広島サミットでは「ロシアを最大限非難しろ」と要求し、大会には岸田を呼んで政府にすり寄っています。会長の芳野が先頭に立って、「春闘の方向性は政府や自民党と同じ」「政府の力を借りたい」だとか、経団連に対してさえ「基本的な考え方や方向性は同じ」だと言っています。
 今年の経労委報告は、「構造的な賃金引き上げ」「23年以上の熱意を持って臨む覚悟」など、異常なまでに「賃上げ」を連呼しています。岸田も含めて「賃上げ」を叫んでいますが、そもそも誰がこの30年賃金を引き下げ続けてきたんですか? 自民党と財界の連中じゃないですか。こんなことを言わせていること自体、許せないことです。
 経労委報告ではもう一方で、「労使は闘争関係ではなく、価値共創に取り組む経営のパートナー」と語っています。労働組合の闘いに対しては、「日本の労働組合はストの多い海外とは違うんだ」「労使一体で企業を発展させるんだ」と語っています。これと芳野も一致していて、連合が今の状況を生み出した「もう一人の共犯者」です。
 連合結成以来、賃金闘争は事実上放棄されてきました。新自由主義が労働者の権利も社会そのものも破壊してきました。岸田や財界が「賃上げ」を叫ばざるを得ないのは、その現実が支配の崩壊に行き着こうとしているからです。
 やっぱり、ここに労働者の団結した闘いを登場させなければなりません。こんな春闘のあり方も連合も粉砕し、生活破壊への怒り、戦争への怒りを爆発させる反戦春闘を闘いとりましょう。ストライキの復権をかちとりましょう。

飛躍かけ11・3日比谷へ

 私たちは昨年の11月集会の過程でその可能性をつかんできたと思います。何より、11月集会に参加した仲間の組合が相次いで一時金をめぐるストに立ち上がったことです。11月集会翌日には港合同昌一金属支部やJAMの日本機械労働組合がストに立ちました。千葉の二和病院労組は1週間で2波のストに立ち上がり、北海道のSKさくら交通労組もストに立ち上がっています。
 この世界戦争情勢の中、みんな自らの職場から必死に闘いに立ち上がったわけです。それが11月集会を出発とした一連の闘いのように実現したのは、やはり闘いの機運があり、労働運動再生の新たな可能性が生まれているということです。
 11月集会の大きな成功をかちとったのは、全国の仲間が全力で闘ってきてくれたからです。一昨年の2月の国鉄集会で、11月集会に向けた3労組共同アピールを発してから、2年にわたる努力の中で「一歩」を切り開いてきました。
 昨年は特に、「戦争反対」を訴える闘いに全力で立ち上がり、反戦デモを次々に闘いとって、闘いに次ぐ闘いの中で集会へと向かいました。その中で「10・7」があり、すさまじいガザ虐殺の中で情勢が一変しました。戦争を絶対に阻止するという真剣さが、街頭からこれまでにない人たちの決起を生み出し、デモへの大きな合流も生み出してきました。
 日韓連帯20周年の11月集会でしたが、民主労総とともに東アジアにおける戦争を絶対に阻止するという決意も込めて韓日共同声明を発しました。国際反戦集会としての成功もかちとり、国際連帯は本当に大きな前進をかちとったと思っておりまます。
 もうひとつ特筆すべきことは、産別を代表した労働者たちの発言です。発言に立ったのは職場の先頭で日々真剣に闘っている仲間たちです。その仲間たちが反戦闘争の先頭にも立ち、だからこそ力ある発言となって集会の成功につながりました。
 国際連帯闘争としても、闘う労働運動建設の闘いとしても、反戦闘争としても大きな前進をかちとったからこそ、今年の闘いが問われています。
 世界では何百万という労働者が戦争反対で立ち上がり、物価高に対して巨大なストが次々に闘われています。アメリカでは昨年のスト参加者は22年の3倍にもなり、21年と比べると4倍ほどに増えています。
 世界中で労働者の巨大な決起が生み出されている情勢と、日本の労働者が置かれている現実もつながっています。日本でも近年にないほど「ストライキ」や「労働組合が権利をかけて闘う」ということへの支持や注目が高まっています。労働者の巨大な闘いを、日本で、私たちの手でつくりだしましょう。
 本日、改めて今年の11月集会に向けた「3労組共同アピール2024」を発表します。11月3日、日比谷野音への大結集に向けて、11月集会のもう一段の飛躍に向けて、みなさんの力をぜひ結集していただき、本日からさらに闘いを開始したいと思います。

ダイ改阻止へ全力で闘う

 私たち動労千葉は、まず3月ダイ改・春闘の闘いに打って出ます。
 JRは「鉄道を持つIT企業」になると言って鉄道業務を投げ捨て、不動産や金融などで利益を上げることだけが「大事なこと」としています。その中で、考えられない事故が続発し、安全は完全に崩壊していっています。つい先日には新幹線で架線のトラブルで停電し、復旧に当たった作業員が感電する事故まで起こっています。
 京葉線の通勤快速廃止が大きな話題になっていますが、その背景にあるのも、鉄道業務の専門的な技術や経験を持った労働者を育てようという発想もなくなり、飛行場でいえば管制官にあたる指令員まで素人化するという深刻な問題があります。また、もう一つの狙いは、車掌をなくしたワンマン化です。
 鉄道崩壊というべき事態が、JR東でも進んでいます。もう一方でやられようとしているのは、ローカル線の全面的な切り捨てという形で進む戦争国家化、国家改造攻撃です。それは、例えば東日本で言えば羽越本線や奥羽本線の赤字額は、焦点にされている久留里(くるり)線の30倍以上です。戦時の輸送のためならどんなに赤字でも残すが、地方はいくら切り捨ててもいいという攻撃です。久留里線の廃線に反対する闘いは、地域と職場を守り、戦争を阻止する闘いです。
 新たな久留里線廃線阻止の署名へのご協力を呼びかけさせていただきます。当面、3月末までに全力での取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 春闘も、特にグループ会社の仲間にとって本当に切実な問題です。JRがグループ会社に「何億円コスト削減しろ」と言って、その矛盾が仕事が回らないような要員削減と最低賃金に張りつく超低賃金として、グループ会社の仲間に押しつけられています。一方で、管理者や役員はJRからの天下り連中ばかりで、現場の何倍ももらっていくわけです。このふざけた体制に労働者の怒りをたたきつけて、大幅賃上げをかちとる闘いと組織拡大に挑戦します。
 私たち動労千葉は、この3月ダイ改・24春闘を、「反合・運転保安確立、鉄道崩壊粉砕、組織拡大実現、反戦春闘」と位置づけ、ストライキを構えて全力で闘いに立ち上がります。3月16日には、3月ダイ改・春闘決戦の総決起集会を千葉市民会館小ホールで開催します。仲間の皆さんにもぜひ結集いただき、ダイ改粉砕・春闘勝利へ闘いたいと思います。ともに闘いましょう。

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1047名解雇撤回へ

動労千葉副委員長
 中村仁さん

JRを追及し謝罪させる

 国鉄分割・民営化に反対する動労千葉の1985年と86年の2波のストライキに対する処分攻撃として、千葉運転区青年部長だった中村に対する計2回、停職6カ月の処分があります。この不当処分がJRの採用基準とされ、国鉄清算事業団に送られたんです。
 同じように闘った先輩や同僚が解雇されたり、駅や売店に強制配転されました。非常に悔しい思いもしましたが、この悔しい思いが私をここに立たせています。敵の攻撃が激しい時こそ、労働者は自らの力で立ち上がるのです。
 国鉄分割・民営化攻撃は、労働運動を右傾化させ、翼賛化させるものでした。そして、改憲して戦争できる国にするものでした。私たちは、闘う労働運動をよみがえらせる展望をもって解雇撤回を闘い、JRと対決してきました。
 新自由主義は大崩壊し、鉄道や医療福祉、教育などの公共サービスを破壊し、戦争と改憲に突進しています。この中で、連合は経団連と一体化して労働運動を歪曲(わいきょく)し、ストライキを圧殺し、戦争と排外主義を推し進めています。こんな状況はぶっ飛ばさなければなりません。
 私たちは、労働者の闘う力で「生きさせろ」の声を上げましょう。全ての労働者が心を一つにして職場での闘いを押し広げ、労働者の団結をつくり出す、その目で、その感性で、ガザやウクライナ、世界戦争の帝国主義を暴き出しましょう。世界戦争絶対反対の立場に立ち切り、戦争を止めるのは世界の労働者階級の団結した力です。
 解雇撤回・JR復帰を皆さんの団結した力で必ずかちとります。
 井手正敬、深沢祐二に真実を証言させ、不当労働行為の責任をJRに取らせ、国鉄分割・民営化が間違っていたと謝罪させなければいけません。ともに闘いましょう。

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