日帝のウクライナ参戦許すな 日ウ復興会議粉砕・岸田打倒を

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週刊『前進』04頁(3332号03面01)(2024/02/19)


日帝のウクライナ参戦許すな
 日ウ復興会議粉砕・岸田打倒を


 ウクライナ開戦2周年を前に、日本帝国主義・岸田政権は、2月19日に東京で開催する「日ウクライナ経済復興推進会議」を全面的な参戦国化の突破口としようとしている。この動きは同時に、中国侵略戦争のための官民挙げた戦時体制構築を狙うものとしてある。2・19日ウ経済復興推進会議粉砕闘争―2・24ウクライナ開戦2周年国際反戦共同行動への大結集をかちとり、「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いを切り開こう。

「復興支援」の旗振る日帝

 戦後世界体制の基軸国であったアメリカ帝国主義は大没落し、国内支配の崩壊が激しく進む中でウクライナ支援をめぐる支配階級内部の分裂が露呈している。欧州でも自国政府のウクライナ支援反対・パレスチナ連帯の巨大な闘いが巻き起こり、支配階級の政治危機は深まっている。米欧帝をはじめとする各国のウクライナ支援は大きく停滞・後退し、ドイツ調査機関の統計によると昨年8~10月の新規援助額は前年同期から9割近く減少。開戦以降最低水準となった。こうした中で日帝は、ウクライナ支援の旗振り役を買って出ることで帝国主義としての存在感を示そうとしている。
 岸田政権は、昨年3月の岸田のウクライナ訪問を皮切りに、5月の主要7カ国(G7)広島サミットを契機として本格的なウクライナ戦争参戦国化に乗り出した。今年1月には上川陽子外相がウクライナを訪問。北大西洋条約機構(NATO)の信託基金に約54億円を拠出してドローン検知システムを供与することを約束した。上川は「強力な支援継続により同志国が結束を示す必要がある」「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化を」と語り、続いてポーランド、フィンランド、スウェーデン、米国、ドイツなどを歴訪してウクライナ支援の継続を呼びかけた。

中国侵略戦争準備と一体

 日本政府は〝(法的制約から軍事支援はできないが)技術力でウクライナの経済復興に貢献し、国際社会での存在感発揮を図る〟などとしている。しかし、戦争を続けながらの「復興支援」、頭上をミサイルが飛び交う中で一方の交戦国に対して行う「復興支援」などあり得ない。その内実はウクライナの支配階級を支え、対ロシア戦争を後押しするものに他ならない。
 日帝・岸田は2022年2月24日の開戦以来、中国への敵意をむき出しにして「今日のウクライナは明日の東アジア」「ウクライナ侵攻は対岸の火事ではない」と繰り返し強調してきた。22年末に改定された国家安全保障戦略には「ロシアによるウクライナ侵略により、国際秩序を形作るルールの根幹がいとも簡単に破られた。同様の深刻な事態が、将来、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいて発生する可能性は排除されない」との記述が盛り込まれた。日帝は「ウクライナ支援」を中国侵略戦争―世界戦争政策の一環として位置づけている。この間、帝国主義としての生き残りをかけて武器輸出と国家を挙げた軍需産業の育成を推進してきた日帝は、2・19日ウ経済復興推進会議を決定的な突破口に「オールジャパン」の戦時体制づくりを加速させようとしている。米日帝による中国侵略戦争を絶対に阻止するためにも、2・19闘争は決定的だ。

政府主導で資本投下促す

 経団連会館で開催される日ウ復興会議には、岸田とウクライナのシュミハリ首相に加え、経団連の十倉雅和会長をはじめ両政府と企業の関係者計約300人が参加する。また、ゼレンスキーがビデオメッセージを寄せるという。この場で日本政府は「緊急復旧支援」「経済復興・産業高度化」「基盤的環境整備」を3本柱とし、「地雷対策・がれき処理」「デジタル・ICT(情報通信技術)」などの7分野(表参照)で官民を挙げた協力を打ち出す。20以上の協力文書に署名し、地雷除去機や仮設橋などを提供するための無償資金協力として158億円を計上する予定だ。住友商事や楽天グループなどの民間企業や国土交通省などが、30社以上来日を予定するウクライナ企業・当局と覚書を交わす見通しだという。
 岸田政権は昨年5月から内閣官房副長官を議長とする省庁横断的な「ウクライナ経済復興推進準備会議」を開催。外務省や経済産業省、総務省をはじめ、まさに国家総がかりのプロジェクトとして「復興支援」に向けた準備を進めてきた。
 経団連もこれと連動して「ウクライナ経済復興特別委員会」を立ち上げ、企業に参加を呼びかけた。昨年11月には外務副大臣がIHIなどの日本企業を引き連れてウクライナに乗り込み、ゼレンスキーらと意見交換。国際協力機構(JICA)を通じて日本製地雷探知機50台がウクライナ非常事態庁に供与され、供与式にはウクライナ副首相や内務大臣が出席した。

戦争継続と労組の破壊・民営化推進

 「ウクライナの復興需要は莫大(ばくだい)」(岸田)「日本の優良投資先になる」(外務省幹部)。——日帝政府は、10年間で約61兆円と見込まれる巨額のウクライナ復興費用のもとに民間資本を動員しようと全力で動いている。
 帝国主義と資本による「復興支援」とは、戦争で荒廃したウクライナの社会を丸ごと資本が食いものとするものでしかない。帝国主義は、2年にわたり地獄の戦場にたたき込まれているウクライナ人民にさらなる塗炭(とたん)の苦しみを負わせながら延々と戦争を継続させつつ、戦争で破壊されたウクライナの「復興支援」と称して資本投下を進めようとしているのだ。
 昨年11月に経団連の特別委が開催した説明会では、ウクライナ貿易保険機構の役員が「海外からの投資の誘致に向けて300以上ある国有企業の民営化を進めている」とアピールした。ウクライナの労働組合が闘ってかちとってきた権利の一切を奪い取る攻撃だ。
 2003年からのイラク戦争では、米英占領軍のもとで石油産業をはじめとする国営企業が民営化され、人民の生活基盤が徹底的に破壊された。同じことがウクライナで繰り返されようとしている。また、進出を予定する医療ベンチャー企業は「遠隔医療体制の構築」をうたい、ウクライナを戦時体制構築のために日帝が推進する医療デジタル化の実験場にしようとしている。日帝資本によるウクライナへの経済侵略は、日本の労働者に対する攻撃としてもあるのだ。怒りを集め、2・19―2・24闘争の大爆発をかちとろう。
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