杉並 洞口区議、「ガザ決議」弾劾 「停戦」語りイスラエルを免罪する 岸本区政はパレスチナ人民に敵対

週刊『前進』04頁(3333号02面02)(2024/02/26)


杉並 洞口区議、「ガザ決議」弾劾
 「停戦」語りイスラエルを免罪する
 岸本区政はパレスチナ人民に敵対

(写真 一般質問に立つ洞口朋子区議【2月15日 東京都杉並区】)

 2月15日、杉並区議会の「ガザ決議」を弾劾して洞口朋子杉並区議が行った一般質問と、岸本聡子区長の答弁を受けての再質問の要約です。(編集局)
一般質問 区長の見解問う
 イスラエル軍によるガザ侵攻から4カ月。ガザでの死者は2万8千人(犠牲者の大半が女性と子ども!)を超えました。イスラエル軍は南部のラファへ侵攻し、さらなる大虐殺を強行しようとしています。また、イスラエル政府は「国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)職員とハマスとの関係」をあげつらい、人道救援物資すらストップし、米日欧各国もただちにUNRWAへの資金拠出を止めてパレスチナ人民を丸ごと餓死にたたき込もうとしています。イスラエルの恐るべきジェノサイドとそれを支える各国政府に対し、全世界でパレスチナ連帯の闘いが空前の勢いで拡大しています。
 1月25日の杉並区議会臨時会で「パレスチナ自治区ガザ地区における人道目的の停戦等の実現に関する決議」が採択されましたが、これを徹底弾劾します。
 決議は「人道目的の停戦」を求めると言いながら、イスラエルのジェノサイドを一言も非難していません。また決議は、ガザでの事態を「イスラエルとハマスの軍事衝突」と事実をねじ曲げて描き、イスラエルとそれを支える各国政府を免罪し、パレスチナ連帯を訴えて立ち上がっている人々を抑えつけています。そして、イスラエルに「戦闘の即時停止」という最低限の要求すら提示せず、ハマスには「人質の即時・無条件の解放」を強い口調で迫っています。この決議はイスラエルに肩入れし、パレスチナ人民に屈服を迫るものです。
 イスラエルはガザ大虐殺を「自衛」と称して正当化する一方、昨年の10・7蜂起の「残虐性」を宣伝します。しかしこれは欺瞞(ぎまん)です。問題の出発点は、1948年の一方的なイスラエル「建国」とパレスチナ人民の土地強奪、75年を超える占領と虐殺にあります。「イスラエルの虐殺は許されないが、ハマスらのテロも許されない」という主張は、イスラエル「建国」以来の暴虐を容認し、その上にある自分たちの「平和」を当たり前とする偽善です。パレスチナ人民の闘いは、イスラエルの民族抹殺攻撃への百パーセント正当な反撃です。絶体絶命の地点から立ち上がった蜂起者たちに対し、自らの身を絶対安全な場所に置いてなされる一切の説教は、帝国主義の抑圧民族の立場にどっぷり浸(つ)かった度しがたい腐敗です。
 岸田政権は「イスラエルの自衛権支持」の立場だが、日本政府の対応について区長の見解を伺います。また、1月25日の「ガザ決議」について区長の見解を伺います。
再質問 誰との「対話」か
 岸本区長は施政方針演説で、「武力による衝突の対極にあるのが外交努力と対話であり、対話によって問題を乗り越える文化を醸成していくことが重要」と述べていますが、そもそも対話とは対等な立場にあるもの同士で成り立つものであって、権力者が既成事実を盾に対話を求めることは現状を承認せよという恫喝でしかありません。対話が重要と言うのであれば、イスラエルに占領をやめさせ撤退させること。話はそれからでしょう。それ抜きに「対話」が成り立ちますか? 区政でも同じです。「対話」とは、誰と誰の対話を言っているのでしょうか? パレスチナの民衆に、イスラエル首相・ネタニヤフや各国の帝国主義者たちと対話しろとでも言うのでしょうか? 外在的に「対話」を求めるのは、何か言っているようで何も言っていないに等しく、日本の私たちにはイスラエルを支援する日本政府・企業を許さない責任があるはずです。
 ハマスの戦闘を「強く非難」する一方、イスラエルのとった措置は「問題がある」などと述べるにとどめ、「双方は最大限の自制をすべき」とする傲慢(ごうまん)な「どっちもどっち」論があふれています。その規模も、目的も、階級的性格もまったく異なる両者の「暴力」を同列に論じること自体が欺瞞であり支配階級の論理です。圧倒的な暴力を独占する支配者・抑圧者の暴虐は免罪し、被支配者・被抑圧者に対しては、どんなささやかな抵抗も放棄するよう要求するものでしかありません。
 そういう社会のあり方が76年にも及ぶ占領・抑圧・虐殺を許しているのではないのか。「10・7蜂起」がなかったら、パレスチナ人民がどんな状況に置かれているか、世界中が知ることもありませんでした。
 岸本区長は首長として、政治家として、イスラエルとそれを支える日本政府に明確な抗議をすべきです。見解を求めます。
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