星野国賠 手術担当した医師を追及 医療放棄の実態暴く

週刊『前進』04頁(3333号04面02)(2024/02/26)


星野国賠
 手術担当した医師を追及
 医療放棄の実態暴く


 2月19日、星野国賠訴訟の第19回口頭弁論が東京地裁民事第14部(村主隆行裁判長)で開かれ、2020年2月21日の提訴以来最大の勝負を迎えた。
 東日本成人矯正医療センターの医師2人の証人尋問が行われた。星野文昭さんの肝臓がん切除手術の助手を務めた外科医と当直を務めた麻酔科医の2人が証言台に立った。
 被告代理人は遮蔽(しゃへい)措置を求めたが採用されず、星野さんを死亡させた直接の責任者が目の前に現れた。
 午前中は外科医の証言。
 被告代理人が「回復室」について質問すると、「血圧や脈拍等はスタッフルームからモニターで監視していた」「専任の医師はいなかった」と恥ずかしげもなく答えた。
 手術は外部から招聘(しょうへい)した執刀医と外科医、麻酔科医2人、看護師3人の体制で行った。注目すべきは「術後管理は私が主要に行った」と証言したことだ。
 原告代理人が反対尋問に立ち、執刀医との関係について追及した。執刀医との打ち合わせは電話とメールのみで対面では一度も行っていないこと、術後管理は医療センターが引き受け、執刀医は手術後すぐに帰ってしまったこと、連絡先も聞いていなかったことが次々に明らかになった。
 問題は星野さんの血圧が急降下した午後6時50分の対応だ。星野さんはナースコールをして「息が苦しい。白い馬が何頭も見える」と訴えた。その時外科医は連絡を受け、回復室に行って診察したと証言した。しかし、術後出血やショックに関する危機感はまったく持っていなかった。
 術後のエコー検査では腹腔内の出血は確認できないなどとでたらめなことを主張し、血液検査をしようにも臨床検査技師が帰宅していたことも暴露された。
 午後は麻酔科医の証言。
 星野さんの手術中に大量の出血があったことを質問されると「多いとは思わない。生命の危機があったと思わない」と答えた。
 麻酔科医は単に麻酔をするだけではなく、術後の患者に関する責任を持つ。しかも手術後医療センターに残った医師は彼1人しかいない。それが「じわじわとした出血はあったかもしれないが、自然に止まると思った」と居直りの証言を繰り返した。
 裁判終了後、弁護士会館に移り弁護団の説明を受けた。具体的な内容を聞いて怒りが燃え上がる。獄中医療は受刑者の命を守るものではないことが一層明白になった。星野さんの命を奪った医療センター、徳島刑務所、法務省、国家権力を絶対に許さない。
 次回は3月8日、徳島刑務所医務課長の尋問。さらに注目し、法廷内外の闘いで必ず勝利しよう。
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