詰め迎えた三里塚耕作権裁判 元空港公団職員を尋問 NAAの文書偽造暴く正念場

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週刊『前進』04頁(3333号04面04)(2024/02/26)


詰め迎えた三里塚耕作権裁判
 元空港公団職員を尋問
 NAAの文書偽造暴く正念場

(写真 裁判に先立ち「農地強奪阻止、戦争反対、自民党裏金問題弾劾、ガザ虐殺許すな」の声を響かせ市内デモに出た【2月19日 千葉市】)

 三里塚耕作権裁判が2月19日、千葉地裁民事第2部(齊藤顕裁判長)で開かれた。裁判所の呼び出しを無視し逃亡を決め込んでいた元空港公団職員の法理哲二の証人尋問が、弁護団の奮闘によりついに実現した。
 法理は原告・成田空港会社(NAA)側の主尋問で、用地部職員として土地買収に関わったが、耕作地や小作には関与していないと言い張った。弁護団の反対尋問にも、三里塚芝山連合空港反対同盟切り崩しの大罪を犯したことを十分に自覚しながら、同じ言い分でしらを切った。
 裁判では、NAAが証拠として出してきた、市東東市さん(孝雄さんの父)が、耕作地の位置を地主の藤﨑政吉氏と確認し署名押印したとする「同意書」「境界確認書」の真偽が争点となっている。特に、これに関連する報告書は一切ないというNAAの主張はあまりにデタラメだ。この点を聞かれた法理は、「私なら報告書を作成した」と言いつつ、「ほかの人の報告書は見ていない」と居直りを決め込んだ。裁判長が「時間切れ」を再三告げて法理の尋問は終了した。
 次に、支援として三里塚現地に常駐し、東市さんと身近に接していた横井文美さんが証言し、「東市さんは反対運動をやめていく人たちを目の当たりにしながら、彼らとは別の生き方をすると決め、連れ合いとともに自信に満ちて反対運動を闘っていた。東市さんが事実と異なる同意書、確認書に署名することなどありえない」と言い切った。
 さらに、三里塚現地に常駐し、脳梗塞(こうそく)を患った東市さんを病院に車で送り迎えするなどしていた千葉盛克さんが証言した。「市東さんは反対同盟の戸村一作委員長を尊敬し、空港絶対反対、農地死守、実力闘争、二期工事阻止、空港廃港という反対同盟の原則を最先頭で体現していた。その市東さんが小細工をするようなことは考えられない」。こうした証言に圧倒され、NAA側は反対尋問を一切放棄した。
 次回裁判は3月18日、市東孝雄さんの本人尋問が行われる。
 裁判に先立ち千葉市中央公園で決起集会が開かれ、反対同盟の萩原富夫さんが、空港機能強化の準備工事に対し2月28日、芝山町菱田で現地闘争に立つ方針を打ち出した。その後、市内デモに打って出た。
 裁判後の総括集会で、市東孝雄さんは「横井さんと千葉さんの証言は、おやじとおふくろを思い出す本当にいい証言でした」と熱い思いを込めて語った。弁護団は、法理も「同意書、確認書は本物だ」とは主張できなかったと指摘した。集会は2・28闘争、3・18次回裁判、3・31芝山現地闘争への結集を確認した。
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