焦点 止まらない少子化 労働力を再生産できない末期状態

週刊『前進』04頁(3334号03面04)(2024/03/04)


焦点
 止まらない少子化
 労働力を再生産できない末期状態


 2月22日、東京株式市場の日経平均株価は、バブル期の1989年12月29日以来34年ぶりに史上最高値を更新した。他方、2023年の日本の国内総生産(GDP)はドル換算でドイツに抜かれ世界第4位に転落した。一見相反する事態の背後には、約30年にわたり強いられ続けた日本の労働者の低賃金がある。国税庁の民間給与実態調査によれば、実質年間平均給与のピークは1996年の472万1千円で、14年にそれは419万2千円に下がった。そこに戦時インフレが襲っている。経団連の経営労働政策特別委員会報告は23春闘について「30年ぶりとなる歴史的な月例賃金引上げを記録」したと言うが、23年の実質賃金は前年比2・5%の減少だ。実力で反戦春闘を闘ってこそ、インフレを上回る賃上げは実現できる。
 株高の最大の原因は低賃金による資本の利潤の増大だ。さらに、インフレ下でも日銀がマイナス金利政策を続けて円安が進み、割安と見られた日本の株式市場に海外の投機マネーが殺到した。中国の不動産バブルの崩壊も、日本への資金流入に拍車をかけた。
 円安はドル換算での名目GDPを下げる。GDPが下がれば、それを労働者数で割った労働生産性も下がる。経労委報告は経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中31位に転落した日本の労働生産性を引き上げるために、「働き方改革」と雇用の流動化を断行せよと叫ぶ。だが、労働生産性の低下は労働者の責任では断じてない。

「途上国並みの賃金」に

 経団連は03年1月、「活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして」と題する提言(奥田ビジョン)を出し、一層の民営化で「生産性や競争力を著しく強化」すると唱えた。同年の経労委報告の原案には「途上国の追い上げが激しい産業では、賃金も同水準まで下落する圧力が強い」と書き込まれた。この表現は最終的には削られたが、それから21年後の今、賃金は現に「途上国並み」に下がった。だが、労働生産性は地に落ちた。長年の低賃金が、社会を根本から破壊してしまったからだ。
 その結果が人口の絶対的な減少だ。労働力を再生産できない資本主義は崩壊するしかない。だから岸田は「異次元の少子化対策」を叫び、それに要する年間3兆6千億円の財源を医療保険料の引き上げで賄うという、実質的な大増税を打ち出した。これは財政規模の大きさでは、5年で43兆円の大軍拡に次ぐ。岸田はそこに政権の命運をかけている。だが、それで少子化が止まることは絶対にない。

「限界国家」化する日本

 仮にわずかであれ出生率が回復するとしても、これから生まれてくる子どもたちを中国侵略戦争に動員することは、時間的に不可能だ。にもかかわらず少子化対策が重要課題にされたのは、人口減少で消滅しつつある国など守るに値する存在なのかという根本的な疑念が、日本国家に突き付けられているからだ。日帝が地方切り捨てのために悪用する「限界集落」という言葉を使えば、日本はまさに「限界国家」だ。この現実を日帝が突破する方策も戦争しかない。
 だが、帝国主義が戦争で人民の命を無慈悲に奪う中で、子どもを産み育てる希望など誰が持てるのか。平時でも資本主義は、労働者を過労死・労災死させ、パワハラ・セクハラで死に追いやってきた。反戦闘争を爆発させ、戦争を必然化する帝国主義を打倒することが、労働者人民の生きる道だ。
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