介護職場から訴える 社会保障制度の解体と労働者の戦争動員がトリプル改定の狙い

週刊『前進』04頁(3335号02面02)(2024/03/11)


介護職場から訴える
 社会保障制度の解体と労働者の戦争動員がトリプル改定の狙い

(写真 大阪市内で1月21日、地域医療交流会が「ガザ虐殺弾劾! パレスチナ連帯!」を掲げて反戦デモに立った)


 2024年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬のトリプル改定は、社会保障制度を解体し、医療・介護・福祉を戦時体制に転換する大攻撃です。介護職場から怒りを込めて訴えます。

意図的な棄民政策

 介護現場のすさまじい現実は社会問題となっています。「40年度には介護職が約69万人不足する」とされ、昨年には深刻な人員不足から訪問介護事業所の倒産が67件と過去最多を更新しました。ところが国は24年度改定で、在宅サービスの要である訪問介護の基本報酬を引き下げるのです。間違いなく、小規模の訪問介護事業所などの閉鎖が相次ぐでしょう。それは、ぎりぎり成り立っていた過疎地域などを完全な介護崩壊にたたき込むものです。
 介護保険制度施行直後の02年と比べて22年度の介護労働者の構成は20~40代では半減し、逆に60代では3倍化しています。超低賃金の結果であり、介護保険制度(介護の民営化)は完全に破綻しています。国はむしろそれを居直り、在宅で暮らす高齢者など死んでも構わないという棄民政策を行っているのです。

生産性向上求める

 厚生労働省は「介護職員処遇改善加算」を職員の賃金に反映させるとしていますが、真っ赤なウソです。逆に、すさまじい競争と労働強化が強制されます。
 一つの処遇改善加算を取得するためには、研修の企画や実施、記録のパソコン入力など、いくつもの業務をこなさなくてはなりません。必須項目もあり、現場の「無理」「できない」が許されないようにされているのです。時間外や休日でも研修に参加し「キャリアアップ」しなければ評価が上がらず賃金も上がらない。〝寄り添う介護をしたい〟と入職した労働者が次々離職せざるを得ない状況を、国が意図的につくり出しているのです。特に今回の改定では、「生産性向上のための業務改善の取組」の項目を複数満たさなければ加算がつかない仕組みです。介護ソフトや介護ロボットの導入、ICTインフラの整備などのデジタル化推進のためです。しかし、デジタル化は医療・介護を根本から壊します。
 例えばケアマネジャーについては、訪問件数を40件から45件に引き上げる(現場からは「絶対無理!」の声多数)のと引き換えに、利用者を訪問し意向やニーズの把握、サービス実施状況の確認を行うモニタリングの頻度を毎月1回から2カ月に1回へと減らし、代わりに「テレビ電話を活用したモニタリングを毎月行うこと」とされています。
 しかし、利用者の部屋の状況、生活感などの実態確認はテレビ電話などで代替できるものではありません。毎月1回は原則であって、必要があれば何回も利用者を訪問し、状況を把握して必要なサービスや受診、入院可否の判断をします。そもそも介護とは利用者・家族に寄り添うことが基本であり、「生産性向上」「業務効率化」とは真逆のものです。

怒り組織しストを

 国は、ICT化・デジタル化で介護がうまくいくなどとは考えていません。狙いは、患者・利用者の医療・介護のビッグデータや預貯金の残高を吸い上げる仕組みをつくり、国が一元管理して徴税・徴用・徴兵までできるシステムを構築することです。マイナ保険証がその柱です。
 同時に、現場の労働者には研修や記録などの全情報をタブレットなどの機器を使って一元的に集中させる管理システムが強いられます。それは、「命を守り戦争に絶対反対する」医療・介護・福祉労働者を、国の意志に忠実に従う道具につくり変える攻撃です。
 医療・介護・福祉の破壊は中国侵略戦争突入と一体です。これに怒らない労働者は一人もいません。今こそ介護現場からストライキで闘い、総反乱をつくり出しましょう。
(介護労働者・黒㐂一星)

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医療を戦争の道具にするな! 私たちは戦争動員を拒否する
3・20医療介護福祉労働者反戦集会&デモ
 3月20日(水・休)午後1時30分 集会
 杉並勤労福祉会館第3・4集会室(東京都杉並区桃井4―3―2) 3時30分 デモ出発
 主催 3・20医療介護福祉労働者反戦集会実行委員会

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