新入生歓迎特集 反帝・反スタ世界革命勝利へ 戦争と民族抑圧をなくそう 革共同中央学生組織委員会

週刊『前進』04頁(3337号04面01)(2024/03/25)


新入生歓迎特集
 反帝・反スタ世界革命勝利へ
 戦争と民族抑圧をなくそう
 革共同中央学生組織委員会

(写真 「アメリカ政府はジェノサイド支援をやめろ!」。昨年11月4日、ガザ大虐殺弾劾・パレスチナ連帯を訴え米ワシントンで行われた40万人の大デモ)

はじめに

 開戦から2年が過ぎたウクライナ戦争はますます泥沼化し、パレスチナ自治区ガザでは昨年10月以来のイスラエル軍によるジェノサイドが続き、台湾をめぐる米中対立の激化は東アジアに新たな戦火をもたらそうとしている。米バイデン政権は、ウクライナを前面に立たせた対ロシア戦争を延々と継続し、イスラエルへの支援も続けながら、同時に「最大の敵」とみなす中国との戦争の準備も着々と進めている。これに対し、中国・習近平政権もまた軍事力で対抗する動きを強めており、そのことが東アジアの軍事的緊張と戦争の危機をますます高めている。
 こうして今、私たちが生きる世界は史上3度目の世界戦争に突入しつつある。しかしながら、「米欧日」と「中ロ」のどちらを支持するかという設問に、私たちが選択すべき回答はない。このような世界戦争に断固反対し、戦争を必然化するような国家・社会のあり方そのものを根底から変革する闘いが、すでに全世界で一斉に始まっているからだ。一昨年来のウクライナ反戦闘争に続き、イスラエルのジェノサイドに抗議するパレスチナ連帯デモはアメリカをはじめ各国で空前の広がりを見せている。日本でも、青年・学生を先頭に新たな世代が次々と行動に立ち上がっている。国内に巨大な矛盾と危機を抱える中国・ロシアも同じだ。いま人類が立っているのは、まさに〈世界戦争か世界革命か〉の歴史的分岐点であり、私たちに問われているのはこのどちらを選ぶかだ。
 中核派は、新入生をはじめ、この時代を共に生きるすべての学生、「前進」読者のみなさんに心から訴えます。戦争を実力で阻む反戦闘争を巻き起こし、全世界で立ち上がる民衆と共に革命の道を進もう!

「自衛」の名による戦争と虐殺の正当化を許さない

 昨年10月7日以降、ガザでは3万人以上がイスラエル軍に殺害されており、その7割が女性と子どもだ。3月12日には、東エルサレムの難民キャンプで友人と花火で遊んでいた12歳の少年が、「警官に向けて花火を発射した容疑」によりイスラエル警察に射殺された。イスラエルのベングビール国家治安相は「テロリストを殺害した戦士をたたえる」と、少年を殺害した警察官を賞賛した。
 イスラエルがガザ侵攻の口実として主張する「テロリスト=ハマスの掃討」なるものが、実際にはパレスチナの人々に対する一方的なジェノサイドであることは明白だ。しかもこの恐るべき国家犯罪は、アメリカや日本を始め主要7カ国(G7)に名を連ねる「西側諸国」の公然たる支持と支援のもとで行われているのである。これらの国々の政府・権力者らは一方的に「ハマスのテロ」を非難し、イスラエルの一切の軍事行動を「自衛権の行使」として擁護する。そこでは、昨年10月7日の蜂起に至るまでのパレスチナに対する侵略と民族抑圧の全歴史が、まるでなかったことのようにされている。だが実際には、10・7蜂起は、75年にわたりパレスチナの地を蹂躙(じゅうりん)し、一方的な侵略、占領、虐殺を繰り返してきたイスラエルに対する、全く正当な武装抵抗にほかならない。これへの報復としてガザの全住民を殺戮(さつりく)するイスラエルの軍事行動が「自衛」などという言葉で許されていいはずがないのである。
 米欧日などの政府は、ロシアや中国との関係においても、常に相手側のみを一方的に「悪」として描き、自分たちが保有する巨大な軍事力とその行使を「自衛」の名で正当化する。戦争を阻むためには、このような政府やマスコミのふりまくイデオロギーのペテン性を暴き、戦争の真の原因がどこにあるのかを徹底的に明らかにしなければならない。

戦争の階級的本質とは

 現代の戦争を考える場合、まず押さえられるべきことは階級社会の問題だ。私たちが生きる資本主義社会は、「自分では働かずに他人を搾取する階級=資本家階級」と、「自分で働いて富を生産し社会を動かしているにもかかわらず、その労働の成果を常に搾取される階級=労働者階級」に分裂している。この関係が戦争の時代にはそのまま「戦争で利益を得る階級」と「戦争に動員され殺し合いをさせられる階級」に置き換わる。そしてこの階級関係を隠ぺいするために、あたかも「国家のもとで国民は一つ」であるかのような国家主義が熱烈に宣伝され、中国やロシアのような外国や他民族を「日本国民の敵」であるかのように描く排外主義が激しくあおり立てられるのだ。「祖国を守る」ために戦争に協力するのが当然のこととされ、戦争に反対する者には「非国民」「売国奴」と悪罵(あくば)が投げつけられ、弾圧の対象となる。昨年の8月6日の「原爆の日」に原爆ドーム前で反戦反核集会を行ったことが「犯罪」とされ、5人の集会参加者が逮捕・起訴されたのはその典型だ。
 この間、自民党副総裁・麻生太郎は「台湾有事は日本有事だ」と繰り返し、昨年8月の台湾訪問時の講演で「日本、台湾、米国に強い覚悟が求められている。(中国と)戦う覚悟だ」と発言。さらに今年1月の国政報告会では「台湾有事となったらどうするか。われわれは台湾海峡で戦う。潜水艦・軍艦を使って中国と戦う」などと主張した。「われわれ」と言うが、麻生のような政治家や権力者が実際に戦争に行くわけではない。麻生は日本や台湾の民衆に向かって「中国と戦う覚悟を持て」「日本のための戦争で命を捧げろ」と要求しているのである。
 他方で、日本共産党をはじめとする既存の野党やリベラル・左翼を自称する勢力も、政府やマスコミが連日洪水のように宣伝する排外主義のキャンペーンに押し流され、「ハマスのテロが悪い」とか「ロシア、中国の国際法違反こそが問題だ」などと口をそろえている。だが実際には、「国際法」など完全に無視した残忍極まる侵略・虐殺を世界中で最も多く行ってきたのはアメリカをはじめとした帝国主義国である。そして、このような戦争で利益を得るのは常に一握りの支配階級であり、命と生活を破壊されるのは圧倒的多数の労働者階級人民だ。こんな戦争に一片の正義もない。戦争をあおり、戦争を引き起こし、戦争で利益を得る自国の政府と支配階級こそ、私たちの打ち倒すべき真の敵であることを鮮明にさせなければならない。

帝国主義による世界支配とスターリン主義の犯罪

 ここで今一つ強調しておきたいことは、現代世界は「地球上の富を独占し、世界各地に自国の資本を進出させ、巨大な軍事力・経済力をもって他の国々を支配している一握りの大国」と、「それらの大国に従属させられているその他の国々」に分裂しているということだ。このような分裂が決定的となったのは、19世紀以降急速に発展した資本主義が「帝国主義段階」と呼ばれる発展段階にまで到達したからである。歴史の教科書にも「帝国主義の時代」などと書かれるように、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、米・英・仏・独・露・日といった一握りの最も強大な先進資本主義国は、自国の資本に巨額の利益をもたらす植民地・勢力圏の獲得競争を激化させ、アジア、アフリカ、中東などに次々と侵略の手を伸ばした。そして諸民族を支配し抑圧しながら植民地争奪戦を繰り広げ、ついには世界戦争(第1次世界大戦)を引き起こした。
 この第1次大戦の真っただ中で、帝国主義の一角を打倒したのが1917年ロシア十月革命だった。レーニンの率いるボリシェビキ(後のロシア共産党)は、この戦争が、帝国主義国の巨大資本を牛耳る一握りの支配階級の利益のために諸国民を互いに殺し合わせる「帝国主義戦争」であることを暴き、「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」のスローガンのもと労働者・農民・兵士を立ち上がらせた。そしてロシア帝国主義政府を倒し、新たに樹立した革命政府の名で「戦争の即時終結」と「全植民地の解放」をすべての交戦国に要求した。さらにレーニンは、一切の戦争と植民地支配をなくすには資本主義・帝国主義そのものを全世界から一掃しなければならないと訴え、すべての国の労働者人民に革命への決起を呼びかけた。こうして全世界で革命運動と民族解放闘争が一斉に高揚し、帝国主義の支配を揺るがす世界革命の時代が始まったのである。
 ところが、レーニンの死(24年1月)後に権力を掌握したスターリンは、世界革命を放棄して帝国主義と妥協し、帝国主義と取引しながらソ連一国だけで「社会主義建設」を進める一国社会主義論の立場をとり、これに反対する人々をことごとく追放・粛清、そして一握りの共産党官僚が支配する官僚制国家へとソ連を変質させた。〈帝国主義のもとで搾取・抑圧されているすべての人々が国境を越えて団結し、資本家階級とその政府を打倒して自らの手で新しい社会をつくる〉という国際共産主義運動の理念は根本からねじ曲げられた。帝国主義との「共存」のもとで、ソ連一国の防衛と経済発展だけが目的とされ、各国の労働者人民の運動はそのための手段にされてしまったのである。このスターリン主義によって世界革命は挫折させられ、結果として延命した帝国主義は米英仏と日独伊の2大陣営に分かれて2度目の世界戦争を引き起こした。

植民地・従属国の実態

 それでは、第2次大戦後の世界は果たして「帝国主義の時代」ではなくなり、民族抑圧や戦争はなくなったのだろうか。否、そうではなかった。戦後世界は周知の通り、アメリカを唯一・絶対の基軸国とする帝国主義陣営と、ソ連を盟主とするスターリン主義陣営の間で「東西」に分割された。「ソ連の侵略に備える」という口実で世界中に無数の米軍基地が配置され、朝鮮やベトナムは南北に、中国本土と台湾は海を越えて分断された。そしてアジアやアフリカの旧植民地の多くは、形式的には「独立」が認められたが、実際には米欧日の最も進んだ資本主義国によって経済的にも政治的にも従属させられ、その富や資源を徹底的に搾取・収奪される〈新植民地主義体制〉のもとに置かれた。
 「民主主義」「自由」「進歩」といった美辞麗句とは裏腹に、19世紀以来の最も強大な帝国主義国が今日もなお圧倒的な軍事力・経済力をもって世界支配を続け、他の国々を事実上の従属国として扱い、侵略と戦争を繰り返してきたのである。特にアジア、アフリカ、中東、中南米などの国々には、貧困、飢餓、失業、債務奴隷、児童労働、環境破壊、少数民族への迫害、軍事独裁と内戦といった激しい矛盾が集中している。グローバルに展開する米欧日の巨大資本が現地の人々を過酷な低賃金・無権利状態で働かせ、貧富の差をつくりだし、これらの社会の荒廃を再生産しているのだ。国連の調査によると、2022年時点で世界で7億8千万人以上が慢性的な飢餓状態、世界人口の約30%に相当する24億人が中度・重度の食料不安の状態、5歳未満の子どもの22・3%に相当する1億4810万人が栄養不足のため発育阻害の状態にある。また23年時点で1億1400万人超が難民となっている。こうした帝国主義の支配する世界の醜悪さを最も凝縮しているのが、パレスチナ・ガザで起きている事態にほかならない。
 ところが、この現実を見ようとせず、もはや帝国主義も民族抑圧も存在しないかのように現代世界を美化しているのが日本共産党だ。日本共産党の前議長・不破哲三は、04年の党綱領改定に先立つ03年第7回中央委員会総会で「(帝国主義による)領土的分割のもとになる植民地そのものがなくなってしまった」「独占体に固有の侵略性が戦争として現れる条件はなくなった」と発言、「帝国主義的秩序は崩壊し、戦後世界には〈国連憲章にもとづく平和の秩序〉がもたらされた」との見解を党綱領の基礎に据えた。こうして日本共産党による「反戦運動」は国連憲章と国際法を賛美するだけの国連礼賛運動に行き着く。ここに示されているのは、「共産主義」の看板を掲げながら実際には資本主義・帝国主義に屈服し、労働者人民の一切の闘いを現体制の枠内に抑え込もうとする、ソ連や中国と同様のスターリン主義としての日本共産党の正体だ。

「連帯し、侵略を内乱へ」を貫き帝国主義打倒を!

 以上のように帝国主義は延命してきたが、重要なことは、今や帝国主義自身もその内側に激しい体制的危機を抱え込んでいるということだ。
 戦後資本主義の高度成長は、1974~75年の世界同時恐慌で早くも行き詰まり、そこから「市場原理万能論」を振り回す新自由主義改革が推進され、労働者の非正規職化と経済のバブル化が劇的に進められた。また、すでにベトナム戦争で敗北しその世界的な権威と支配力を決定的に失墜させていたアメリカは、2001年には9・11反米ゲリラに直撃された。そして、帝国主義の威信をかけてアフガニスタンとイラクに「対テロ戦争」と称する侵略戦争を仕掛けたが、おびただしい死傷者を出した上に無残な敗北に終わった。
 08年にはリーマン・ショックが爆発し、米経済の中心を占めていた5大投資銀行のすべてが破綻や合併によって消滅、街中には失業者があふれかえった。この時、世界経済の完全な底割れをかろうじて食い止められたのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の超金融緩和と並んで、中国政府が2年間で4兆元(当時のレートで約57兆円)の巨額の財政出動を行ったからだ。この事実が示しているのは、中国経済に依存することでしか延命できないほどに、アメリカ帝国主義の歴史的没落が深まったということだ。そして今や中国は、アメリカの世界支配とその絶対的地位を脅かす「世界第2の大国」として台頭するに至った。
 だからこそ、今やバイデン・民主党もトランプ・共和党も必死になって「いかに中国をたたくか」と考え、実際に中国を「打ち負かす」ための侵略戦争を具体的に準備し、実行しようとしているのだ。日本帝国主義・岸田政権は完全にこれと一体化し、自らも中国侵略戦争に突き進んでいる。岸田が「自らの任期中の改憲」を繰り返し叫び、全人民の犠牲の上に大軍拡を強行しようとしているのもそのためだ。

学生こそ革命の先頭に

 私たちが今日直面している情勢は生半可なものではない。米中2大国の戦争とは世界戦争・核戦争であり、日本全土を含む東アジアがその戦場となることは不可避である。だが、帝国主義本国の労働者階級人民が本当に自国政府の侵略に怒り、被抑圧民族の闘いに肉薄して〈連帯し、侵略を内乱へ〉の闘いに決起するならば、必ず巨大な国際連帯をつくりあげ、世界革命をやり遂げて真の恒久平和と民族解放を実現することができる。
 そのような闘いはすでに陸続と巻き起こっている。全世界で空前の実力闘争となって拡大しているパレスチナ連帯デモの先頭で、10代、20代の青年や学生が人生をかけて決起している。米マサチューセッツ大学では昨年10月25日、500人の学生が学内で実力デモと集会を行った。57人が逮捕されたが、学生たちは「逮捕されたことを誇りに思う」とますます意気高く闘っている。若者を中心とした運動は全米・全世界に拡大し、ベトナム反戦に続く「第2の反戦世代」と呼ばれている。
 日本でも、全学連が「改憲・戦争阻止!大行進」運動の中心となって国家権力・機動隊と激突しながら闘っている。高校生も共にスクラムを組んで実力デモに決起している。パレスチナの労働組合の呼びかけに応えて取り組まれたイスラエル支援企業への抗議闘争は、実際に協力関係の「覚書」を破棄させる力となった。この闘いをより大規模に、より戦闘的に発展させよう。
 レーニン・ボリシェビキがなしとげたロシア革命を引き継ぎ、私たちの手で世界革命の扉を共に開こう。
 闘うアジア人民、被抑圧民族人民と連帯し、米日帝国主義の中国侵略戦争を内乱に転化せよ!
 反帝・反スターリン主義の旗のもと、万国の労働者と被抑圧民族人民、団結せよ!
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