土地規制法の発動許すな 住民の行動監視し反戦闘争圧殺

週刊『前進』04頁(3341号02面05)(2024/04/22)


土地規制法の発動許すな
 住民の行動監視し反戦闘争圧殺


 岸田政権は4月12日、重要土地利用規制法に基づき、自衛隊基地などの周辺で土地利用を規制する区域として28都道府県の184カ所を指定した。同法による指定は4回目で、対象区域は計583カ所になった。今回の指定で、全国各地の米軍基地が初めてその対象にされた。米軍基地が集中する沖縄では平野部の多くが指定区域に組み込まれた。しかも、区域指定の効力は5月15日に生じる。沖縄返還協定の発効日に合わせたこの攻撃は、沖縄に基地を強制し続けるという岸田政権の反動的挑発だ。

調査への協力を刑罰で義務付け

 2021年6月に成立した重要土地規制法の内容は次の通りだ。①自衛隊基地などの軍事施設のほか、原発や空港などの「生活関連施設」、国境付近の離島の周辺約1㌔メートルを国が「注視区域」に指定する。②国は「注視区域」内の土地の所有者や貸借人の氏名や国籍、利用状況を調査する。③調査にあたり国は地方自治体に情報提供を求めることができ、地方自治体は情報提供の義務を負う。④国の調査に応じない者には刑罰を科す。⑤「施設の機能を阻害する行為」に対し国は中止命令を出すことができ、命令に従わない者には最高で2年の懲役か200万円の罰金を科す。⑥特に重要性が高い「特別注視区域」では、土地の売買に際して売り手と買い手の双方にその氏名、国籍、利用目的を事前に国に届け出る義務を負わせ、違反者には刑罰を科す。
 軍事施設が都市部にある場合、その周辺約1㌔は住民が日常的に生活する地域だ。そこに住むすべての人の行動が、国によって監視されるのだ。しかも「国による調査」を実際に行うのは、警察や公安調査庁、自衛隊情報保全隊だ。自治体もその役割を担わされる。
 戦前には、軍の要塞(ようさい)周辺で人の立ち入りや撮影、作図、測量、築造物の変更などを禁止する要塞地帯法があった。それは「軍事上の秘密を保護するための法律(軍機保護法)」とともに、軍事施設周辺での人々の行動を厳重に監視し、違反者を重処罰するために使われた。重要土地規制法はその再来だ。

政府に反対する行動は全面禁圧

 この法で規制される「施設の機能を阻害する行為」の例として、政府は「自衛隊機の離着陸やレーダーの運用の妨げとなる工作物の設置」「施設に対する妨害電波の発射」などを挙げる。だが、法文上「阻害行為」はなんら限定されていない。政府の解釈でいくらでも拡大できる。軍事施設への抗議やデモ、基地監視活動も規制の対象になる。原発や空港が典型とされる「生活関連施設」も、その対象に限定はない。反戦反核闘争や反原発闘争、三里塚闘争、あらゆる反政府の闘いが規制される。
 また、重要土地規制法には「注視区域」「特別注視区域」内の土地を国が買い取る規定も設けられた。土地の取引や利用を規制し、国に土地を売るしかないように仕向けて、軍事基地を拡大するのだ。これは軍事に特化した土地収用法だ。
 今回の区域指定に際し、経済安全保障担当相の高市早苗は「(重要土地規制法は)今後は本格的な運用フェーズに入る」とうそぶいた。岸田は4月10日の日米首脳会談で、日米安保を中国侵略戦争を実際に遂行するための軍事同盟として決定的に飛躍させた。このもとで現実の戦争を想定した戦時体制づくりが急速に進んでいる。
 だが、沖縄の闘いがうるま市の陸自訓練場計画を粉砕したように、労働者人民は岸田の戦争への突進を断じて許してはいない。4・28沖縄デー闘争に結集し、中国侵略戦争を阻もう。
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