米日が主導し戦争会議 中国侵略戦争へ「共闘」要求 アジア安保会議 日米豪比、軍事協力強化
週刊『前進』04頁(3399号02面01)(2025/06/09)
米日が主導し戦争会議
中国侵略戦争へ「共闘」要求
アジア安保会議 日米豪比、軍事協力強化
シンガポールで5月30日~6月1日の3日にわたって開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)は、米日帝国主義が中国への敵意をむき出しにし、侵略戦争を遂行する意思を公然と表明する戦争会議となった。防衛相・中谷元は各国との防衛相会談も含めた一連の過程で中国を包囲する軍事同盟の構築を推進し、米帝と並ぶ戦争放火者として登場した。6・14全国集会&大行進で反戦の怒りを解き放ち、米大使館と首相官邸に怒りをたたきつけよう。
米、「中国の脅威」を連呼
2002年に始まったアジア安保会議は、英国のシンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」が主催し、アジア太平洋地域や米欧の国防相、軍高官、兵器メーカーの関係者らが参加する世界最大級の国際会議だ。今年は、第2次トランプ政権下で大没落を深める米帝自身が戦後世界の「秩序」を破壊する側に回り、とりわけ高関税に直撃された東南アジアで米国への不信が広がるという未曽有の情勢のもとで開かれた。こうした中で、米帝は真っ向から「力による平和」を打ち出し、東南アジア諸国に「共産主義中国による侵略を抑止する」ための「共闘」を呼びかけた。
ヘグセス米国防長官は5月31日、第2次トランプ政権発足後初めて包括的なインド太平洋戦略を説明した。米インド太平洋軍司令官パパロらと共に参加したヘグセスは、インド太平洋地域を「最優先のシアター(戦域)」と位置づけ、「中国はこの地域の現状を根本的に変えようとしている」「中国の脅威は現実のものであり、差し迫っている」「習近平国家主席が27年までの台湾侵攻の準備を軍に命じた」と、中国を繰り返し名指しで非難。その上で、「中国が武力による台湾の制圧を試みれば、インド太平洋地域や世界全体に壊滅的な結果をもたらす」と恫喝し、抑止が失敗すれば「断固戦い勝利する用意がある」と強調した。
そして、そのために「同盟国による負担の分担」を要求し、軍事費の国内総生産(GDP)比5%への引き上げを進める北大西洋条約機構(NATO)を模範とすべきだと述べた。
さらに、インド太平洋地域における「抑止力の再確立」として「前方展開力の態勢改善」「同盟国とパートナー国の防衛力強化支援」「防衛産業基盤の再建」の3点を挙げた。
重要なのは、フィリピンへの無人地対艦ミサイルシステム(NMESIS=ネメシス)配備などと並んで、東京での日米防衛相会談と、そこで確認した「戦闘能力と抑止力」強化のための在日米軍司令部のアップグレードに言及し、「日本の能力強化に向けた日米同盟の進展」を成果として押し出したことだ。
アジア「戦域化」狙う日帝
これを受けて、米帝とともに突出した戦争推進者として登場したのが日帝だ。中谷はスピーチで、「従来の国家関係を支えてきた秩序が溶解し、それ自体の信頼性が揺らいでいる」と切り出し、中国を念頭に「一部の国」が南中国海での軍事化やサイバー攻撃を行っていると非難。そして「我が国は、強固な日米同盟の上に、地域と世界の繁栄のため役割と責任を果たし、国家安全保障戦略のもと、そのための能力も迅速に強化して」いると強調した。その上で、「共通の価値を共有する各国がインド太平洋全体を俯瞰(ふかん)的に捉えながら防衛協力を強化する」ことが必要だとして「OCEAN(One Cooperative Effort Among Nations=オーシャン)」構想を打ち出した。これは中谷が2月のフィリピン、3月の米国との防衛相会談などで提案した「ワンシアター」構想を言い換えたものだ。「戦域」という露骨な語を避けただけで、朝鮮半島から東中国海・南中国海までのインド太平洋地域全体を中国侵略戦争の「戦域」として設定するという計画に変わりはない。中谷はその具体化として、部隊の運用や武器・技術協力などを通じた日米印豪や日米豪、日米韓、日米比などの連携強化を進め、とりわけ首相や防衛相のトップセールスによる武器輸出に力を入れる考えを示した。
一方、会議の期間中にも米比日韓の合同演習「カマンダグ25」が展開される中で中国は国防相の出席を見送り、代表による演説も取りやめるという異例の対応をとった。ヘグセスの演説を受け、6月1日の未明には直ちに報道官声明で「強い不満と断固たる反対」を表明し、「米国こそ地域の安定と平和を損なう最大の要因だ」と非難した。
また、今回のアジア安保会議にあわせ、中谷は米国とそれに次ぐ「準同盟国」と位置づける豪、比をはじめ計8カ国との間で防衛相会談を行った。日米防衛相会談では、新たな米国家防衛戦略(NDS)の策定に向けた連携を確認。中谷が「能動的サイバー防御」関連法の成立を報告し、サイバー領域を含めた日米同盟の抑止力・対処力強化に連携して取り組むことで一致した。また、自衛隊の統合作戦司令部と在日米軍の「統合軍司令部」との連携に向けた議論を加速させることも確認した。
さらに日米豪比防衛相会談では、中国による東・南中国海での「一方的な現状変更の試み」に「深刻な懸念を表明」。4カ国の軍事協力強化に向けた防衛相会談の定期開催も確認した。
今回の会議では、東南アジア諸国の出席者から「対立の連鎖を招きたくない」「平和につながる行動規範構築を」との声が相次ぐ中、米帝が東南アジア諸国に対し「米中のどちら側につくのか」と踏み絵を迫る構図が鮮明になった。米帝とともに中国侵略戦争を全力で推進する日帝に怒りを爆発させ、6・14全国集会&大行進を闘いとろう。
