軍事拠点化進む九州 中国侵略戦争の前線基地に
週刊『前進』04頁(3402号02面04)(2025/06/30)
軍事拠点化進む九州
中国侵略戦争の前線基地に

米日帝国主義が推し進める中国侵略戦争において、九州は南西諸島(琉球弧)と並ぶ軍事的要衝と位置づけられている。南西諸島を最前線として、九州はそれを支える巨大な前線基地となろうとしている。
EABOを担う主力部隊が集中
米海兵隊の中国侵略戦争作戦「遠征前進基地作戦(EABO)」は、宮古島や石垣島をはじめとした南西諸島の有人島に臨時の拠点を建設して中国軍にミサイルを撃ち込み、島から島へ移動することで中国軍の反撃をかわしつつミサイル攻撃を繰り返して制海・制空権を確保しようとするもので、住民を巻き込み島々を踏み荒らすことを前提とした作戦だ。この作戦を日本側で共に担う主力が、沖縄に駐屯する陸上自衛隊第15旅団(来年には師団となる予定)とともに、「日本版海兵隊」と呼ばれる水陸機動団だ。その部隊は団本部がある相浦(あいのうら)駐屯地に加え、竹松駐屯地、崎辺分屯地(いずれも長崎県)、玖珠(くす)駐屯地(大分県)に配備され、九州北部に集中している。
そして、この水陸機動団を中国侵略戦争において南西諸島各地へ空路で送り込むために必須の輸送機がV22オスプレイである。島しょ部では平地が少ないために長大な滑走路を建設することが難しく、またEABOの特性上、迅速な部隊輸送ができなければならない。ゆえに、ヘリコプターと固定翼機の特性を併せ持つオスプレイ以外に選択肢はないのだ。「欠陥機」として知られるオスプレイの運用に米軍と自衛隊がこだわる理由はここにある。
防衛省は現在、佐賀空港の西側に隣接する形で7月9日に「佐賀駐屯地」を新設しようとしており、そこに自衛隊が保有するオスプレイ17機全てを配備する計画だ。防衛省が佐賀空港へのオスプレイ配備計画を佐賀県側に要請したのは2014年のことで、自衛隊の「南西シフト」=中国侵略戦争体制の構築と完全に一体の計画である。
佐賀空港が、水陸機動団など自衛隊の主要な部隊が配備されている基地から距離が近いのは偶然ではないのだ(図参照)。
「有事」に際して先島諸島から約12万人を九州各県と山口県に避難させる政府の計画では、福岡空港と鹿児島空港の利用は明記されているが佐賀空港は外されている。それは、佐賀空港が九州の重要軍事拠点をつなぐ大拠点と見込まれているからだ。目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県)から50機のヘリを擁する約500人の部隊が丸ごと移駐することも予定されており、空港機能も利用した一大輸送拠点となるからこそ、「避難民」などに使わせたくないのである。
長射程ミサイル保管・発射狙う
日帝・自衛隊は中国本土を攻撃できる長射程ミサイルの保有を進め、射程1千㌔メートルの「12式地対艦ミサイル能力向上型」の配備を急いでいる。その配備先に九州が挙がっている。すでに昨年4月、湯布院駐屯地(大分県)を本部として九州・南西諸島各地のミサイル部隊を指揮下に置く第2特科団が編成されている。さらに湯布院駐屯地がある同じ大分県では、大分分屯地に大型の弾薬庫が建設され、長射程ミサイルの保管場所になろうとしている。またこれと一体で、政府が米国から大量に購入した長射程巡航ミサイル「トマホーク」を佐世保基地(長崎県)のイージス艦に搭載する計画も進められている。
鹿児島県の馬毛島では島まるごとを使った米軍・自衛隊共同の訓練施設の建設が進み、新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県)には最新鋭戦闘機F35Bの配備が進められようとしている。
九州は南西諸島を「戦場」とする部隊の出撃拠点であると同時に、中国本土にまで届くミサイルの発射拠点にもなろうとしているのである。絶対に許さず、改憲・戦争阻止!大行進九州を中心に、反戦闘争の爆発をかちとろう。