中国侵略戦争阻止の大反戦闘争を 青年・学生・女性の決起を先頭に戦争の元凶=帝国主義打倒へ!

週刊『前進』04頁(3402号03面01)(2025/06/30)


中国侵略戦争阻止の大反戦闘争を
 青年・学生・女性の決起を先頭に戦争の元凶=帝国主義打倒へ!

(写真 改憲・戦争阻止!大行進が主催した「トランプ・石破打倒! 日米の中国侵略戦争阻止! 6・14全国集会&大行進」で、機動隊の襲撃をはねのけスクラムデモで米大使館に迫る全学連)

 2025年6月——6・14全国闘争を挟んで〈アメリカ帝国主義を基軸とする戦後帝国主義体制の最後的崩壊と米帝の中国侵略戦争・世界戦争突入〉という世界史的情勢を決定的に推し進める事態が激発した。6月1日、アジア安全保障会議での米国防長官ヘグセスによる「中国の台湾侵攻抑止に失敗した場合、(米国は)断固戦い勝利する」という戦争宣言、同日のウクライナによるロシア空軍基地へのドローン奇襲攻撃とロシア軍の報復空爆の激化、13日に始まった米帝=イスラエルのイラン侵略戦争、そして22日の世界を震撼(しんかん)させた米軍による史上最大のB2戦略爆撃機の大編隊(7機のB2、125機以上の最新鋭ステルス戦闘機)を出動させたイラン核施設へのバンカーバスター14発投下という大爆撃。この未曽有の情勢に対し、われわれは、3月の第34回全国委員会総会から6・14闘争まで闘い抜いた地平に立って、今こそ「帝国主義打倒!」を正面に掲げた反戦闘争の巨大な大衆的発展をかちとり、労働者階級人民の革命への決起を促進していかなければならない。

帝国主義の基本矛盾の爆発としての中国侵略―世界戦争

 イラン爆撃での圧倒的軍事力を誇示した米帝・トランプは、しかし、イラク・アフガニスタン侵略戦争のような泥沼を恐れ、いったん強引に「停戦合意」に持ち込んだ。だが、これは文字どおり「戦争と戦争の間の息継ぎ」に過ぎない。重大なことは、米帝・イスラエルが核戦争への転化の可能性をもはらんだ侵略戦争を、中東の大国・イランに対して史上初めて実際に発動したということ、第3次世界大戦に向かって一線を踏み越えたということだ。
 現在の情勢の核心は、第2次世界大戦終結から80年、延命に延命を重ねてきた帝国主義が、ついにその基本矛盾を世界戦争として全面的に爆発させる時代に突入したということだ。「帝国主義など昔の話」だとか「世界大戦は起こりえない」といった見方や考え方は、今や現実に始まっている戦争の激しい展開を前にして根底から覆されている。そして膨大な数の労働者人民が、青年・学生・女性たちが、この戦争をどうしたら止められるのか、何をなすべきなのか真剣に考え、行動の方針を求め、立ち上がっている。われわれに求められていることは、今起きているすべての戦争を、米帝基軸の戦後帝国主義体制の最後的崩壊と米帝の中国侵略戦争・世界戦争突入という過程として、帝国主義の基本矛盾の爆発と世界戦争への転化過程としてとらえ、暴露していくことである。
 ウクライナ戦争の泥沼的激化、ガザ侵略・虐殺戦争の長期化、イラン侵略戦争、米中の全面的対立―台湾争奪をめぐる米帝の中国侵略戦争への突入――これらの戦争は「バラバラに」「たまたま同時に」起きているのではない。米帝を絶対的な基軸国とし、「唯一の支柱」として成り立ってきた戦後の帝国主義体制は、まさに米帝の歴史的没落が行き着くところまで行き着いたことで決定的に崩壊し、今や米帝自身が「アメリカ第一」を掲げるトランプのもとでそれを自らぶち壊し始めた。そして、国内支配でも世界支配でも徹底的に行き詰まった米帝が軍事力と戦争によって世界を再編し再分割する以外になくなったのだ。潜在的にも現実的にも米帝に唯一対抗しうる存在、経済・技術・軍事において米帝の「歴史上最も強力な敵国」として立ち現れている中国スターリン主義を転覆する戦争、すなわち中国侵略戦争に決定的に突き進んでいるということである。このことが世界を激震させ、帝国主義の支配の破綻点、破れ目から戦争の火を噴き上げさせているのだ。
 帝国主義の基本矛盾の爆発としての世界戦争が、今このような具体的形態をもって始まっていることをしっかりととらえなければならない。中国、ロシア、イラン、北朝鮮など「権威主義の独裁国家による侵略」を戦争の原因として描き出し、帝国主義の支配・抑圧を永久化するための戦争を正当化し、労働者階級と被抑圧民族人民を殺し合わせ、血の海に沈めようとする帝国主義のもくろみを、徹底的に粉砕し尽くさなければならない。

中国の急速な台頭と大国化を粉砕するべく戦争を決断

 米帝の中国侵略戦争はすでに完全に始まっている。ウクライナ戦争もイラン侵略戦争も米帝の中国侵略戦争突入の中で始まり、激化し、そしてそれがまた中国侵略戦争を決定的に促進している。そういう過程ががんがん進行している。
 米帝はどうしても「今のうちに」中国スターリン主義を転覆しなければならない。スターリン主義体制のまま米帝に迫るような経済大国となった中国は、米帝の帝国主義としての一切の「力の源泉」である軍事においても、また高度技術においても、米帝に急速に追いつこうとしている。このような事態の現実化は、米帝にとって全くの「想定外」だった。米帝は1991年のソ連崩壊をもって「共産主義は完全に終わった」と見て、中国を巨大な市場とし投資先として帝国主義経済に取り込むことをもくろみ、2001年には世界貿易機関(WTO)にも組み入れた。だが、もともと「民族解放・革命戦争の勝利」として成立し、その勝利を導いた毛沢東とその党の権威が残る中国スターリン主義体制は、なお一定の歴史的「生命力」を保っていた。
 そして49年中国革命から60~70年代の「文化大革命」による荒廃に至るまで「巨大な後進国」のままでいた中国が、70年代末から鄧小平の改革・開放路線で帝国主義の外資と技術を導入し、帝国主義の過剰資本・過剰生産力のはけ口となるや、ものすごいスピードで工業化し経済成長過程に入っていったのである。それは同時期のソ連スターリン主義が帝国主義のすさまじい軍事重圧と一国社会主義による長期の経済停滞でつぶれていった過程とは、まったく対照的だった。
 さらに帝国主義が2007~10年にかけてパリバ・リーマンショックを契機とする大恐慌で混乱・停滞する中でも、中国は半導体など国際的サプライチェーン(供給網)の要として高成長を続け、ついに「世界第二の経済大国」となり、米経済の7割、8割に迫るところまで巨大化した。それだけではなく、軍事力においても、そして決定的なのは今日の軍事・経済の両方を決する先端半導体、AI、量子コンピューター、宇宙などの先端技術においても急速に米帝にキャッチアップしてきたのだ。
 以上のように米帝は「思いもかけず」、中国をスターリン主義体制のまま強大化させてしまったことに激しい「後悔の念」とともに猛烈な危機感をもって、第1次トランプ~バイデン政権を通して中国をつぶすための「競争」に踏み出した。米帝は80~90年代にかけて米帝を圧倒するかのような勢いで迫ってきた日帝をたたきつぶすために、高関税を課し、制裁をかけ、半導体協定では日帝の独占的シェアを強制的に削り落とし、日帝を「失われた30年」という没落過程に引きずり落した。これは普通の帝国主義同士の関係なら戦争になるような事態だったが、日米同盟の枠内でしか帝国主義として存立できない日帝は、米帝の要求をのむしかなかった。
 だが、中国スターリン主義には日帝に対するようなやり方は全く通用しない。結局「競争」などというあいまいなものでは済まず、倒すか倒されるかの戦争にまで突き進むしかないのである。

先端技術の開発と軍事転用めぐり米中対立は非和解に

 米帝は、アメリカから中国への技術流入を徹底的に遮断し、アメリカの重要なサプライチェーンも中国から切り離し、日帝などの同盟国に対しても「技術革新・産業基盤」の強化を求めている。だが、中国スターリン主義の側も体制存亡をかけて技術的自立を急ぎ、すでに相当の「技術革新・産業基盤」を確立してしまっている。中国を切り離そうにも、帝国主義の方が中国から離れるのが困難になっている。ウクライナ戦争で決定的になっているドローンでも中国の存在は圧倒的で、世界の商業用ドローンの7~8割が中国製、米国の商業用ドローンも9割が中国製であると言われる(米国務省報告書)。ドローン部品のサプライチェーンも中国に集中している。中国はアメリカへのドローン部品の輸出管理を強化する一方で、ロシアへの輸出を大幅に拡大している。ハイテク製品、電気自動車(EV)のモーター、兵器にとって絶対不可欠のレアアース、レアアース磁石などの規制も強めている。
 加えて米帝が「脅威」ととらえているのが、中国が「サイバー強国」「デジタル中国」を掲げ、アメリカの巨大テック企業に対抗する先端技術体系や独自の国際的なサイバー空間の構築に向かおうとしていることだ。さらに米帝が強く警戒していることは、中国が量子力学の原理を基盤とする量子技術―従来のスパコンの「数億倍以上」という計算能力をもつ量子コンピューターや量子暗号通信技術の開発を全力で進めていることだ。この量子技術で優位に立つと「核兵器を含む敵国のすべての暗号コードをハッキングできるため、核均衡を崩すことができる」とも言われている(米シンクタンク)。
 米帝が最も恐れることは、中国の方が先に米帝の技術体系から離脱してしまうことである。そのような事態になれば、米帝の世界支配は決定的に崩壊する。だから米帝は急がなければならない。「今が最後の機会」とばかりに、先端技術開発で中国を米帝と全帝国主義諸国から完全に切断し、中国が優位に立つことを必死に阻止しようとしている。すでに米中はサイバー分野では「戦争状態」に突入している。無人機、サイバー(コンピューター・ネットワーク)、AIなどの技術はハイテク民間企業から生まれている。ゆえに「軍民両用(デュアルユース)」ということが盛んに言われ、アメリカにおいても民間テック企業と軍・国防省の関係強化を国家的戦略として全力で推進している。日帝もまた能動的サイバー防御法=「サイバー戦争法」を成立させ、自衛隊サイバー防衛隊の圧倒的強化を推し進めている。そして「軍事研究反対」を掲げる日本学術会議の人事に介入し、ついに6月11日に国会で学術会議法成立を強行し、その翌12日に「アカデミア(学術界)を含む研究者・技術者」を動員する「防衛省科学技術委員会(DSTB)」(米帝の「国防科学委員会DSB」がモデル)を発足させた。これらの動きは、米帝の対中国戦略と完全に一体である。
 何より米帝は、金融とハイテクで世界から富を収奪する寄生的あり方を強めた結果、産業基盤を決定的に脆弱(ぜいじゃく)化させてしまった。トランプ関税で製造業を取り戻すなどと言ってもおよそ非現実的である。ゆえに日帝や欧州帝国主義、韓国、オーストラリアなどの「同盟国」の産業基盤を総動員し(日帝の「国立造船所」建設の検討もその決定的一環である)、大軍拡を行わせ、それをすべて米帝・米軍を補完するものとして利用し酷使しようとしているのだ。イラン侵略戦争においてB2戦略爆撃機によるバンカーバスター攻撃という、他のどんな帝国主義も追随できない圧倒的軍事力を見せつけた米帝・トランプが、今回の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で「国防費の国内総生産(GDP)比5%化」を有無を言わせず決定させ日帝にも迫っているのはそういうことだ。これ自身がすさまじい帝国主義間争闘戦である。

日本全土戦場化辞さず中国侵略戦争へ突き進む日帝

 米帝と中国スターリン主義は体制存亡をかけ倒すか倒されるかの戦争に突入している。この戦争に中途半端な結末は絶対にない。「世界1位と2位の大国同士であり核保有国同士である米中が全面戦争になれば世界は破滅してしまう。だからそんな戦争は実際には起こらないだろう」という見方があるが、それは帝国主義の危機のとてつもない深さを見ない誤りである。核大国ロシアと核をもつ米・英・仏帝国主義を後ろ盾とするウクライナの戦争が、砲弾とミサイルを撃ち合い、互いに1日数千機もの無人機を生産し、飛ばし合って、延々と3年以上も続いていることを見ても、その誤りは明白だ。
 いま日帝が「拡大抑止」を強調し、「非核三原則の見直し」を言い出しているのは、米軍の核兵器を日本から発射できるようにすることで中国の核使用を封じ込めるためである。そうしておいて、台湾争奪をめぐる中国との戦争をいわば「海洋・島しょ版のウクライナ戦争」として遂行し、通常兵器、ミサイル、無人機を飛ばし合い、基地をつぶし合い、何十隻と艦船を沈め合う——そのような戦争を本気でやろうとしているからだ。日帝が「今日のウクライナは明日の東アジアだ」と言うのはそういうことである。
 中国侵略戦争の最前列・最前面に立つことになる日帝は、帝国主義として存立していくために、選択の余地のないものとして、自ら積極的に米帝の要求に応じ、米帝・米軍と完全に一体化して中国侵略戦争に突入していくことを決断している。ウクライナのように、あるいはイランの反撃を受けたイスラエルのように、日本全土にミサイルが飛び交う「戦場国家」となることもリアルに想定しているのだ。
 沖縄をはじめシェルターや住民避難計画などがつくられ、訓練が繰り返されている。「中国の攻撃から国民を守る」などというのは全くのでたらめである。戦争の準備が整った時に帝国主義は実際に戦争を開始する。そしていったん戦争となったならば、住民の命など絶対に守られないのだ。ウクライナでも民間人死者数は1万数千人に上っている。ミサイル避難訓練など戦前の「バケツリレー」「竹ヤリ訓練」の類と何ら変わらない。それは単に住民や学校生徒に「戦時意識」「非常時意識」を植え付け戦時体制に組み込むためのものでしかない。

血債かけ中国人民と連帯を

 80年前の日帝の敗戦とは、米帝との帝国主義間戦争に敗北しただけではなく、何よりも暴虐極まる日帝軍隊の侵略と虐殺に抗し続けた中国・アジア人民の民族解放闘争への敗北としてあった。われわれ日本プロレタリアート人民は、日帝が米帝と一体となって再びアジア全域を戦場化する新たな侵略戦争を仕掛けようとしているこの時、あらためて中国人民に対する「血債」という問題を真正面から見据え、闘う中国人民と連帯し、中国侵略戦争を絶対に阻止するという決意を固め直さなければならない。また、台湾に対する日帝の侵略と半世紀におよぶ植民地支配の歴史を決して忘れてはならない。日帝の中国侵略の端緒となった台湾植民地化は、当時の陸軍の3分の1以上が動員され、海軍は日清戦争での連合艦隊の大半を投入して行われた。これに対し台湾住民は女性も含めて武器らしい武器もない中ですさまじい抵抗闘争、ゲリラ戦を行い、1万4千人が戦死し虐殺された。日本軍兵士1人につき台湾住民50人が殺されるという、まさにイスラエルによるパレスチナ侵略と同じようなことをやって台湾を略奪したのだ。このような歴史を日本のプロレタリアート人民はしっかりと見据えなければならない。
 中国のプロレタリアート人民は、中国侵略戦争を仕掛けようとする帝国主義への怒りと、習近平独裁のもとで破産と腐敗を深める中国共産党スターリン主義の支配に対する怒りを一つにして、偉大な民族解放・革命戦争の勝利の世界史的意義を革命的に復権し、必ずや反帝国主義・反スターリン主義世界革命の前衛として登場する。このことをわれわれは固く確信するし、だからこそ、「7・7自己批判路線」「血債の思想」で再武装し、日本帝国主義足下における中国侵略戦争阻止の反戦闘争を爆発させること、「闘う中国人民・アジア人民と連帯し、米日帝国主義の中国侵略戦争を内乱へ!」の闘いを何としても実現しなければならない。これこそが日本と中国のプロレタリアート人民の限りない連帯と団結をつくり出し、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の巨大な突破口を開くことは間違いないのである。
 青年・学生・女性を先頭に実力闘争で帝国主義打倒の反戦闘争、反政府闘争をとことん爆発させよう。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争を頂点に、世界戦争・核戦争と対決する今夏反戦反核闘争へ進撃しよう。
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