三里塚団結街道裁判 廃道全面擁護の反動判決 反対同盟 控訴審へ決意
三里塚団結街道裁判
廃道全面擁護の反動判決
反対同盟 控訴審へ決意

千葉地裁民事第3部で15年間にわたり続いてきた団結街道裁判の判決が、7月25日に出された。岡山忠広裁判長は、三里塚芝山連合空港反対同盟側の「団結街道の廃道処分を取り消し、道をふさぎ通行を妨害している障害物を取り除け」という請求をことごとく退ける最悪の反動判決を下した。反対同盟と顧問弁護団は、控訴して闘うことを明らかにした。
判決主文は、①原告らの大半は原告適格がないので却下(=門前払い)、②原告のうち市東孝雄さん、萩原富夫さんらの請求は棄却、③成田空港会社(NAA)への障害物収去の請求を棄却、④故人の鈴木謙太郎、北原鉱治、萩原進各氏の請求は家族への承継を認めず終了とする、というものだ。原告の訴えを1ミリも認めず、成田市とNAAに全面的に肩入れした。
続いて判決要旨を読み上げた。①について「道路法は、公道を自由に通行できる利益については、公道の設置及び供用が開始されたことによる反射的利益(〝たまたま個人が得た利益〟とされ、法律上保護されない権利)......と位置づけて」おり、「利用者の個別的利益を保護しているとは言えない」と主張。道路を敷いたり廃止したりすることは成田市の権限によることだから、「道を日常的に利用しているというだけで、原告適格があるとはならない」というのだ。
そして②に関して、市東さんが団結街道封鎖後、自宅から南台農地まで4倍の時間をかけて、交通量が多く危険な代替ルートを毎日何往復もしなければならなくなったことについては「耕作上の不便が生じたとしても著しい支障とは言えない」と切り捨てた。萩原さんについても「堀之内の田へは別の道を通って行くことが可能なので、著しい支障とは言えない」と決めつけた。
反対同盟の太郎良陽一さんを先頭に傍聴席から激しい抗議の声が上がる中、岡山は「事前に十分な説明なく通告され、それから5カ月で封鎖措置が執られたことに憤りを感じていることは理解する。成田市はその廃止に当たっては住民に事前の丁寧な説明が必要だったのではなかろうか」との「付言」を読み上げたが、これが傍聴者の怒りを一層かき立てた。
閉廷後、伊藤信晴さんの司会で記者会見を兼ねた報告集会が開かれた。弁護団各氏が発言し、最悪の判決を怒りを込めて批判した。
判決は、団結街道封鎖処分が空港の第3誘導路建設のために行われたことにまったく触れていない。だが実際には小泉一成市長の「鶴の一声」で、市東さんを天神峰から追い出すために、営農上死活的に必要な道路を奪うという前代未聞の暴挙を行政が行ったのだ。「住民生活を犠牲にしても空港建設を遂行する」というこの廃道処分は絶対に許せない!
動労千葉の山田護さんらが連帯あいさつに立ち、不当判決に怒りを表した。最後に伊藤さんが、団結街道裁判控訴審へ闘いを進めることを確認した。