ガザ市「制圧」計画許すな イスラエル 全土更地化へ地上侵攻狙う

週刊『前進』04頁(3410号02面01)(2025/08/25)


ガザ市「制圧」計画許すな
 イスラエル 全土更地化へ地上侵攻狙う


 イスラエル政府は8月8日、パレスチナ自治区ガザの最大都市である北部ガザ市の制圧計画を治安閣議で承認した。住民の退避期限を10月7日に設定し、その後、軍による攻撃を本格化させるというのだ。ネタニヤフ首相は閣議に先立ち、「イスラエルはガザ全域を支配するのか」と問われ「そのつもりだ」と言い放った。20日には、軍報道官が作戦の「第一段階」を開始したと発表し、数万人の予備役も招集された。アメリカ帝国主義の全面的な後押しを受けるイスラエルは、2023年10・7蜂起から2年を期して、ガザの完全更地化・人民一掃をついに現実化しようとしているのだ。

大規模入植計画で西岸の分断を図る

 計画では、住民の退避後、イスラエル軍がガザ市を包囲した上でハマスに降伏を求め、拒否された場合は地上侵攻に踏み切るという。閣議は「ガザ戦闘完了への5原則」として、①ハマスの武装解除、②人質全員の奪還、③ガザの非軍事化、④イスラエルによるガザの治安管理、⑤ハマスやパレスチナ自治政府に代わる文民統治機構の設立―を挙げた。パレスチナ民族解放闘争を完全に圧殺するまで、破壊と殺りくを継続することをあらためて掲げたのだ。
 イスラエル軍は3月からの軍事作戦でガザ各地の制圧を進め、国連人道問題調整事務所によると、すでにガザの86%が立ち入り禁止や避難命令区域となっている。ガザ市民は「これまで7回も避難を繰り返してきた。これからどこに行けばいいのか」「イスラエル政府が本当に私たちを抹殺すると決めたとしか思えない」と語る。23年10月以来のガザでの死者数は、保健当局が発表しただけで6万1千人を超えた。
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は15日、米帝とイスラエルが主導するガザ人道財団(GHF)の配給所付近などで5月末以降、少なくとも1760人が殺害されたと発表した。イスラエルが支援物資の搬入を厳しく制限する一方、ガザ全体で4カ所しかない(うち3カ所は南部に集中)GHFの配給所に住民を殺到させ、そこを軍が狙って攻撃しているのだ。人道支援団体は「援助の武器化だ」と非難している。
 ハマスは8月18日、エジプトとカタールが提案した60日間の停戦案を受け入れたと発表したが、イスラエルは人質の全員解放やハマスの武装解除、ガザの非武装化などを戦争終結の条件としている。そもそもイスラエルは1月の「停戦合意」後もガザへの空爆を続け、発効の2日後にはヨルダン川西岸への新たな戦争を開始したのだ。イスラエルに虐殺・ジェノサイドを「停止」するつもりなどないことは明白である。
 また、イスラエルのスモトリッチ財務相は14日、イギリスやフランスなどが「パレスチナ国家承認」の意向を示したことに対抗し、長年凍結されていたヨルダン川西岸「E1」地区への大規模な入植計画を進めると発表した。この地区は西岸中部の入植地マーレアドミムとエルサレムの間にあるため、計画が強行されれば、西岸を南北に分断し、東エルサレムと西岸をも隔てることになる。スモトリッチは「パレスチナ国家という考えを葬り去る」と公言している。

米、ガザ出身者へのビザ発給を停止

 こうしたイスラエルの暴挙を、あくまでも全面擁護しているのが米帝だ。米国務省は7月28日、フランスとサウジアラビアが主導したパレスチナとイスラエルの「2国家解決」についての国際会議を拒否した。31日には、パレスチナ自治政府とパレスチナ解放機構(PLO)関係者へのビザ発給を制限すると発表。8月16日にはガザ地区出身者へのすべてのビザの発給を停止すると発表した。中国侵略戦争に注力するために中東の軍事的「平定」を急ぐ米帝は、「暫定自治」の名でパレスチナ民族解放闘争を抑え込もうとした1993年の「オスロ合意」の枠組み(そのペテン的粉飾としての「パレスチナ国家承認=2国家解決」案)すら破壊して、ガザ大虐殺を全力で後押ししている。そこには、民族解放闘争の圧殺と同時に、中東の支配をめぐる欧州帝国主義諸国への激しい争闘戦が貫かれている。そして、この米帝と一体でイスラエルを支え続けているのが日本帝国主義なのだ。
 米帝・イスラエルによる大虐殺に対し、世界各国で抗議闘争が内乱的に闘われている。イギリスでは8月9日、議会が7月に「パレスチナ・アクション」への活動禁止命令を出したことに対し、600人近くが議会前に集まり、500人以上が逮捕されながらも徹底的に抗議した。イスラエルを全面的に支持してきたドイツ帝国主義の足下でもパレスチナ連帯闘争が爆発している。
 中国侵略戦争に延命をかける米日帝がパレスチナ―ガザの人民虐殺を激化させている。イスラエルの新たな侵攻計画=大虐殺を絶対に許さず、日本で反戦闘争を爆発させよう。10・5全国闘争に総決起しよう。
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