成田空港拡張阻止へ 反対同盟がフィールドワーク
週刊『前進』04頁(3411号03面03)(2025/09/01)
成田空港拡張阻止へ
反対同盟がフィールドワーク

(写真 B滑走路北延伸に向けた東関道トンネル化工事の現場に向けて怒りのシュプレヒコール【8月20日 成田市】)
三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける、成田空港の拡張・機能強化に反対するフィールドワーク(現地調査)が8月20日に行われた。
出発前の打ち合わせで、芝山町・白桝に住む反対同盟の伊藤信晴さんが「成田空港会社(NAA)は機能強化の本格着工を打ち出しており、B滑走路の北延伸に向けた東関東自動車道のトンネル化工事は激しく進められている。一方、第3滑走路建設予定地の菱田地区では、目に見える形では進んでいない。しかし測量が各所で行われており、第3滑走路を横断して多古町方面へ抜けるトンネル(滑走路横断道路)への着工が狙われているのかもしれない」と説明。「NAA新社長の藤井直樹は毎月、用地取得のために住民の間を回っているという。われわれのフィールドワークの闘いは、住民の怒りとしっかり結びついて空港拡張を阻止する闘いだ」と訴えた。
B滑走路北延伸の現場に移動し、東関道の付け替え道路とトンネル化工事を見下ろせる場所に陣取った。
トンネル化工事の請負業者は大成建設、B滑走路延伸の造成・舗装工事は大成建設と日本国土開発のJV(合同企業体)で進められる。付け替え道路はすでに上下線とも開通しており、その脇を通る元々のルートには、トンネルとなる構造物が設置されつつある。長さ430㍍のトンネルができたら、付け替え道路を撤去し、誘導灯なども移転した上、この一帯は途方もない量の土砂で、現在の滑走路と同じ標高41㍍まで埋め立てられる。とてつもない自然破壊、地形破壊だ。
頭上20㍍をジェット機が数分おきに通過し、B滑走路へ着陸して行く中、参加者は怒りに燃えて「工事をやめろ!」「第3滑走路粉砕!」とシュプレヒコールをたたきつけた。
さらに一行は、芝山町菱田地区に向かった。かつて成田用水決戦が闘われた水田地域だったが、NAAは住民の耕作を一切禁じており、それに従わない農家だけが田を守り稲作を続けている。
鉄板で囲まれたセメント施設前の道路に車を止め、参加者は抗議のシュプレヒコールを上げた。山武警察署の警察官が「自動車が通るから危ない」などと規制・妨害に来たが、全員これを歯牙(しが)にもかけず、こぶしを突き出した。
この工事現場は閑散としており、わずか1カ所で数十㌢のハンマーを落として地盤の強さを測るボーリングが行われているのみだ。滑走路横断道路(トンネル)建設へ向けた作業とも言えるが、2029年完成、第3=C滑走路供用開始という計画からすれば、今その直接の造成工事を急ピッチで進めなければ、到底間に合わないはずだ。だがそういう熱量はまったく漂っていない。
NAAは用地確保に向け、説明会や地権者との「話し合い」を重ねているが、「国策遂行のために住民生活を破壊して当然」という彼らの本性は多くの住民に見透かされている。買収を拒む住民が確固として存在し、用地確保が進展していないことが、機能強化=空港拡張の見通しを失わせているのだ。
伊藤さんは「今後もこのフィールドワークに継続的に取り組んでいこう」と一同に呼びかけた。