中国侵略戦争阻む反基地闘争を

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週刊『前進』04頁(3423号03面01)(2025/11/24)


中国侵略戦争阻む反基地闘争を


 高市政権は中国侵略戦争突入を宣言し、沖縄・九州を始め日本全土の出撃拠点化を、従来の計画を前倒しして進めている。防衛省は国産長射程ミサイルを、2025年度に健軍駐屯地(熊本県)と富士駐屯地(静岡県)に、26年度に上富良野駐屯地(北海道)とえびの駐屯地(宮崎県)に、27年度に百里基地(茨城県)と横須賀基地の護衛艦「てるづき」に配備しようとしている。そして継戦能力強化をうたい弾薬庫を全国に約130棟増設しようと各地で着工を開始した。自衛隊と米軍による演習も実戦さながらだ。軍事拠点化に対する各地の怒りと結び、中国侵略戦争を実際に止める反基地闘争を全国で巻き起こそう。(編集局)

(写真 9・28横須賀デモでは、ヘルメットをかぶったスクラム部隊の鮮烈な登場に注目が集まった)

12・7横須賀闘争へ
「日米同盟の拠点」粉砕を

 10月28日の日米首脳会談とその後のトランプと高市の米海軍横須賀基地訪問は、横須賀が日米同盟による中国侵略戦争の最重要拠点であることを改めて示した。さらに、高市があえて国会で「台湾有事=存立危機事態」と中国侵略戦争突入宣言を強行した今、中国侵略戦争の最大の出撃拠点―横須賀において「中国侵略戦争阻止! 安保粉砕・基地撤去!」の大デモに立つことは巨大な意義を持つ。基地を包囲し、基地機能を止める闘いが戦争を阻止する。12・7横須賀闘争に全力で結集しよう。

戦争意思体現する「もがみ」と「まや」

 10月28日、トランプと高市は米原子力空母内で、「力による平和」と書かれた垂れ幕と米兵6千人、自衛官230人を前に演説した。トランプは「(空母の)前方展開は米国の力や威信の象徴だ」と述べ、さらに「政治的に正しいやり方はしない。われわれの国を守るためにどんな手段も使う」と言い放った。続いて高市は「平和は言葉だけではなく、確固たる決意と行動によって守られます」と述べ、「あちらに見えます『もがみ』と『まや』」と横須賀所属の海上自衛隊艦艇にあえて言及した。
 2022年に就役した護衛艦「もがみ」は多機能艦で、機雷戦(機雷敷設と機雷の排除=掃海)の能力も持つ。25年6月には、「もがみ」から発出した水上無人艇による機雷爆破訓練に海自史上初めて成功したことを誇示している。これは重大だ。水上無人艇による機雷破壊とは、戦争状態における軍事作戦としての掃海を意味し、停戦や戦闘の終結のない状態での機雷掃海は国際法上の「武力の行使」に他ならない。「存立危機事態」における武力行使としての掃海を担うのが「もがみ」なのだ。
 護衛艦「まや」は最新のイージス艦で、米軍のイージス艦や早期警戒機とレーダー情報を共有できる「共同交戦能力」を備える。22年には日米で共同開発した迎撃ミサイルを海自艦で初発射した。20年の就役以来、米空母との共同訓練で、米軍のレーダー情報に基づき「まや」がミサイル発射を行う訓練を繰り返してきた。この「まや」を含む海自イージス艦全8隻へのトマホーク配備が進んでいるのである。
 高市が米原子力空母内で言及した2艦は、日帝・自衛隊による武力行使を代表するものなのだ。その上での「台湾有事=存立危機事態」の明言とは、具体的・現実的な侵略戦争宣言だということだ。

非核三原則を撤廃し核攻撃の拠点に

 今、米軍、自衛隊ともに横須賀基地の臨戦態勢化が進められている。9月には海自横須賀基地で、米海軍の支援を受けてイージス艦「ちょうかい」へのトマホーク搭載訓練を実施。その後「ちょうかい」は発射能力獲得の改修のためにアメリカへ派遣された。横須賀を母港とする護衛艦「てるづき」には、日本全土への長距離ミサイル配備の一環として、27年度にも12式ミサイル能力向上型の搭載が公表された。米海軍は「中国軍に地獄絵図を見せる」という第7艦隊への無人機大量配備=「レプリケーター」構想を進めている。
 ついに高市は「非核三原則」の見直しも狙う。「拡大抑止」強化の名で核ミサイル搭載の原子力潜水艦などの入港を公然化させようとしている。実際には横須賀の核攻撃拠点化だ。防衛相・小泉は「今までの制約を取り払う」と原潜保有の意図も隠さない。「核共有」や日帝自身の核武装を目指していることは明らかだ。国営兵器工場=工廠(こうしょう)の復活も提言されたが、日産追浜工場跡地も候補だ。横須賀海軍工廠の復活である。
 1960年代後半、ベトナム反戦闘争と一体で横須賀、佐世保への米原潜寄港阻止闘争が爆発した。基地に面する臨海公園(現ヴェルニー公園)は全学連、反戦青年委員会を先頭に連日万単位の労働者・学生の怒りで埋め尽くされ、70年安保・沖縄闘争を切り開いた。今こそ、それを超える反戦・反基地闘争をかちとろう。12・7横須賀闘争に学生・青年を先頭に立ち上がろう。
(革共同神奈川県委員会)

11・30祝園反戦デモへ
 侵略の武器庫にさせない

 高市の「台湾有事=存立危機事態」国会発言に対する中国スターリン主義の激しい反発を差別・排外主義扇動の餌食としながら、日本帝国主義は再びの中国・アジア侵略戦争に自らの延命をかけて突進している。組織の根底的変革をかけて、戦時下における実力反戦闘争と革命的女性解放闘争の一体的創成を進めてきたわれわれは、11月労働者集会の地平を引き継ぎ、関西における反基地闘争の新たな挑戦として、11・30祝園(ほうその)反戦デモに総決起する。

虐殺のための弾薬貯蔵する兵站拠点

 京都府精華町の陸上自衛隊祝園分屯地(祝園弾薬庫)は、戦前・戦後を通してアジア侵略のための巨大な兵站(へいたん)拠点として機能してきた。日中戦争の最中の1939年3月1日、禁野(きんや)火薬庫(大阪府枚方市)で死者94人、負傷者602人、被災4425世帯に及ぶ大爆発事故が発生。弾薬庫は40年に広大な山林に移転・増設され、これが当時「東洋一の規模」と称された祝園弾薬庫の始まりとなった。戦後は米軍の兵站拠点として「核兵器貯蔵施設」に位置づけられ、朝鮮戦争にも大量の弾薬を供給した。60年に自衛隊に移管され、現在も西日本最大の自衛隊弾薬庫として機能している。
 祝園弾薬庫は2024年度の予算計画で弾薬庫8棟増設の工事費に102億円、さらに25年に6棟の増設を追加し、197億円が予算化されて過去に例のない規模の拡張工事を計画、今年8月から増設工事が強行されている。舞鶴基地や自衛隊海上輸送群の部隊が新設される阪神基地などに近く、兵站拠点としての機能強化が狙われている。
 第3次世界大戦の導火線となっているウクライナ戦争が3年にわたって続くことで、「継戦能力」が全世界的規模で焦点化している。通常戦力の武器・弾薬をため込んでいたロシアですら弾薬不足で北朝鮮から弾薬を補給する必要に迫られた。ウクライナも弾薬をイスラエルや韓国から補給する事態に陥っている。有識者会議の提言で「継戦能力」が問題となり軍需産業の育成に躍起になっているのは、本気で中国侵略戦争の開戦を構えた時、あまりに準備不足であることが突きつけられたからだ。祝園弾薬庫の拡張は日帝にとって一刻の猶予もない、死活的課題なのだ。
 弾薬庫周辺の地域は「重要土地利用規制法」の適用範囲であり、土地やそこに住む住民は国家の監視対象となる。防衛省は「機密保持」を口実に弾薬・兵器の種類や備蓄計画について一切明らかにしていない。高市政権による大軍拡、そのもとで米製トマホークミサイルや、中国本土に届く長射程化が進められている陸自12式ミサイルが祝園に持ち込まれ、侵略戦争の虐殺の兵器として使われようとしていることは明白だ。

祖国防衛のりこえ実力の反戦闘争を

 闘いの核心は、「危険施設の撤去要求」を超えて、侵略戦争・大虐殺の根拠地としての祝園において、実力闘争で弾薬庫増設と武器弾薬の搬入・搬出を阻止する闘いを荒々しくつくり出すことだ。
 基地の存在に対し「攻撃対象になる」「戦闘に民間人・民間施設を巻き込むな」を掲げる運動路線は、あらゆる体制内勢力が高市政権の激しい差別・排外主義扇動に屈服している今、「敵国に対する先制攻撃」を推進する祖国防衛主義運動に容易に転落するものに他ならない。戦争を止めるための唯一の方針こそ、自国政府打倒を掲げ「連帯し侵略を内乱へ」を闘い抜く実力反戦闘争だ。全国各地で白熱的に闘われている改憲・戦争阻止!大行進の仲間たちの実力の反基地闘争と心を一つにして、祝園の地に「祝園を侵略の武器庫にさせない!」を掲げる大隊列を登場させよう。
(革共同関西地方委員会)

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11・30祝園反戦デモ
 11月30日(日)午後2時 木津川台中央公園集合
 主催 改憲・戦争阻止!大行進関西

12・7横須賀闘争
 12月7日(日) 午後1時30分
 京急線横須賀中央駅前広場
 アピール行動終了後、米海軍横須賀基地へデモ
 主催 改憲・戦争阻止!大行進神奈川

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