■News & Review 日本 解雇撤回、安倍打倒へ新宿メーデー闘う 動労千葉は外注化粉砕へ5・2ストに立つ

月刊『国際労働運動』48頁(0454号02面02)(2014/06/01)


■News & Review
 日本
 解雇撤回、安倍打倒へ新宿メーデー闘う
 動労千葉は外注化粉砕へ5・2ストに立つ

(写真 動労千葉を先頭にJR東日本本社を弾劾【5月1日 新宿】)

ここが本物の闘うメーデーだ!

 「ここが本物の闘うメーデーだ!」――5月1日、「低賃金・長時間労働、もうがまんならない! 解雇撤回! 生きさせろ! 戦争と非正規化の安倍たおせ!」を掲げて5・1新宿メーデーが、同実行委員会の主催で開催された。430人の結集で、四谷区民ホールでの集会とデモ行進が意気高く闘われた。
 午後1時半からの集会は、東交の労働者と動労千葉青年部の労働者が司会を務めた。
 連帯のあいさつとして、山本志都弁護士が、郵政・八王子西局によるパワハラ・解雇の攻撃に触れ、「郵政はブラック企業そのもの。同じようなことが他でも行われている。多くの人が声を上げることが大事だ」と述べた。そして、労働規制を「岩盤規制」と呼んで、これを自分のドリルで壊すと言う安倍を弾劾し、「一人ひとりの労働者の力に依拠して闘っていかなければいけない」と訴えた。
 全学連の坂野陽平書記長は、4月25日の法大解放総決起集会は「学生運動の新しい時代が到来した」ことを示したと報告した。
 「1047名解雇撤回の10万筆署名を達成し、最高裁決戦に勝利しよう。6・8国鉄闘争全国運動全国集会の大結集へ職場から闘おう。JR体制を、安倍政権もろとも打倒しよう。労働組合の復権へ、万国の労働者は立ち上がろう」と結ばれた2014年メーデー宣言案を、精研労組青年部書記長の赤羽進彦さんが提起した。

6・8国鉄闘争全国集会へ総決起を訴え

 動労千葉の田中康宏委員長が、6・8国鉄集会への訴えを行った。田中委員長は、「今日の集会は本物のメーデーだ。本物は必ず怒りの声と結びついて爆発的にこの社会すべてを獲得する」と訴えた。そして、翌2日に半日のストライキに決起することを決定したと報告し、韓国のセウォル号やJR北海道のように、外注化は安全を切り捨て労働者を犠牲にするものだと弾劾。新自由主義に対して「労働者が団結して、労働者が誇りを持ってこの社会を変える歴史をつくる存在として登場することだ」と力説した。
 田中委員長はまた、牛丼チェーンの「すき家」が、労働者が怒って次々と退職した「自爆スト」で百数十店舗が閉鎖している例や、アメリカのマクドナルドで1千人の労働者が職場離脱し、30カ国でインターネットでストライキが呼びかけられている例を挙げ、「これは支配の危機であり、労働者が立ち上がれば社会の全部が崩れ落ちるところまで来ている」と喝破。さらに労働規制を撤廃し、9割非正規職化を狙う安倍政権打倒へ、新自由主義の出発点であった国鉄分割・民営化による1047名解雇撤回へ、6・8全国集会に結集してほしいと提起した。
 動労千葉争議団の中村仁さんは、「皆さんのお陰で高裁でも不当労働行為を認めさせた。最高裁に勝利判決を出させる力を皆さんからいただきたい。労働者の力で労働者の世界をつくろう。6・8には署名が10万筆を超える状況をつくろう」と訴えた。
 動労水戸の辻川慎一副委員長は、「今、私たちは安倍政権と一大階級決戦を構えようとしている。労働者は必ず立ち上がる。それを実証しているのが動労千葉と動労水戸の闘いだ。動労水戸は不当労働行為で鉄道職場を外されたが、最高裁で勝利し、職場に戻った。その矜持にかけて被曝労働を拒否する。5月10日から常磐線の竜田延伸を強行しようとしている。今もすさまじい放射能がある。そこに戻れというのだ。5月10日、試運転反対闘争をいわきで行う」と訴えた。

(写真 第2梯団の東京の労働者のデモ【5月1日】)

鈴コン分会の完全勝利判決に沸く

 自治体労働者によるカンパアピールに続いて、4月16日に組合三役の解雇撤回・職場復帰と賃金全額支払いを仮執行付宣言きで命じる完全勝利判決をかちとった東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会から報告が行われた。吉本伸幸書記長は、「昨日、会社は東京高裁に控訴した。原職復帰まで断固闘う。3カ月雇用契約の非正規の労働者でも職場で仲間と団結し労働組合をつくって闘えば勝てる。われわれに続け」と檄を発した。分会長代行の鈴木善弘さんは、「労働組合復権へ非正規職の先頭で闘う」と発言した。鈴木コンクリート工業分会闘争支援・連帯共闘会議呼びかけ人代表の花輪不二男さんは、「第1ステージで法廷で勝った。第2ステージは企業内の奪われた労働者を取り返す。第3ステージは、この闘いのうねりを全国に世界に訴えていくことにしよう」と訴えた。
 司会が沖縄のIJBS(日本IBM・ビジネスサービス)労組の書記長解雇撤回闘争を紹介し、5・15沖縄闘争への決起を訴えたのに続き、郵政八王子西局の解雇撤回闘争の当該であるSさんが発言に立った。「今日は、八王子西局でビラまきを行い、郵政の本社に行って申し入れ書を渡し、総務の2人に、私に対するパワハラ、いじめ、不当解雇の経緯を説明した。解雇しておきながら、私を知らないと言う。許せない」と、当局への怒りと職場復帰の決意を表明した。さらに、郵政非正規ユニオンから晴海局の雇い止め当該、斎藤裕介委員長、銀座局の星野勝紀さんが発言した。また、ユニオン東京合同育成会分会が解雇攻撃との闘いを報告した。
 青年労働者を始めとする解雇撤回の決意に会場は大いに沸いた。
 続いて、自治体労働者が地方公務員法の改悪で人事評価制度を分限免職に使おうとしていることを弾劾。労組交流センター教育労働者部会も、解雇撤回で闘う決意を表明。小竹運輸グループ労働組合は、資本と不屈に闘う決意を明らかにした。精研労組は休日手当の廃止などの賃下げ提案は非正規職化の始まりだと訴えた。日本機械工業労組は、ストを背景に賃金カット分を戻させた闘いを報告した。
 メーデー宣言を拍手で採択し、まとめと行動提起を合同・一般労組全国協議会の小泉義秀さんが行い、団結ガンバロー、インターナショナル斉唱で集会を締め括り、元気よくデモに打って出た。
 途中、JR新宿駅南口近くのJR東日本本社前では、「JRは外注化をやめろ」「すべての業務をJRに戻せ」「偽装請負を許さないぞ」「強制出向された仲間をJRに戻せ」などと、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
 都庁前では、「安倍、桝添打倒」「自治体丸ごと民営化を許さないぞ」などと、都職員に向かってアピールした。沿道の労働者・市民の注目を集め、新宿中央公園までのデモを貫徹した。
 メーデーは労働者が8時間労働制をかちとった歴史的な「闘いの日」だ。1986年5月1日、アメリカ・シカゴの労働者が「8時間は労働のために、8時間は睡眠のために、そして残りの8時間はわれわれの自由に!」を掲げて統一ストライキに立ち上がった日だ。この闘うメーデーの伝統を、新宿メーデーは復権させたのである。

(写真 ストライキに立ち、幕張車両センター入り口で外注化粉砕を訴える動労千葉と支援【5月2日】)

連合メーデーなどで10万筆署名を集め

 他方、連合はメーデーの開催を4月26日とした上で、中央メーデーになんと首相・安倍を来賓に招き、「官製春闘」で一部大企業での賃上げの「実績」をアピールさせるという愚挙に及んだ。参加者からは「『残業代ゼロ』反対」「中小企業はどうなる」などのヤジが相次いだ。
 こうした中で、闘う労働者は、国鉄10万筆署名を呼びかけ、380筆の署名を集めた。
 5月1日の全労協系の日比谷メーデーでは、620筆を集めた。長年国鉄闘争を支えてきた労働者たちに歓呼の声で迎えられたのである。

幕張支部の出向者が半日ストに決起

 動労千葉は5月2日、幕張車両センターで始業時から午後1時まで、「外注化―強制出向粉砕! 反合・運転保安確立」を掲げてストライキに立った。ストに立ったのは幕張支部所属で千葉鉄道サービス(CTS)に強制出向されている組合員13人だ。
 この日からCTSは、昨年春に採用したプロパー社員(CTS直雇いの正社員)を仕業検査に従事させた。CTSプロパー社員は、採用された後、JRに出向して交番検査(機能保全)の業務に従事したのは半年間しかない。
 国鉄時代、仕業検査は交番検査を10年以上経験したベテランでなければできない仕事だった。列車を本線に出す前の最後の検査であり、安全にとって最後の砦と言える業務だからだ。しかも、あらかじめ手順が決められ、全体で行う交番検査と異なり、仕業検査は2人のチームで故障をその場で発見し、その場で修繕する仕事だ。だから、交番検査を長年経験し、車両の構造を熟知した労働者でなければできないとされてきたのだ。
 そうした業務を、CTSはまともな教育や訓練もせず、入社1年の労働者にやらせるというのだ。もし事故が起きたら、全責任をその労働者に押し付け、切り捨てるのだ。
 動労千葉は「このままでは鉄道140年の歴史の中で築いてきた安全が崩壊する!」と訴えてストに立った。
 午前7時半、幕張本郷駅前に動労千葉組合員を先頭に支援する会の労働者を含め70人が結集した。幕張車両センターに出勤する労働者にともに闘うことを呼びかけた。
 幕張支部の山田護支部長が、「プロパーの仲間に仕業検査をやらせるのは、明治以来の鉄道の歴史の中で築いてきた安全を崩壊させる暴挙だ」と怒りを表明した。青年部の木科雄作さんはスト当該として「仕事も人もJRに戻せ! 実力でJR本体に帰る」と決意を述べた。
 午前8時、幕張支部のJR本体の組合員が胸を張って職場に向かった。
 午前10時、DC会館でスト突入総決起集会が開かれた。田中康宏委員長が、「今日のストは新たな闘いへの出発点だ」と述べた上で、ストの意義を3点にわたり提起した。「一つは、反合・運転保安闘争を団結の核にして闘ってきた動労千葉にとって、目の前で安全がつぶされることに対し真剣にならなければいけない。未経験の労働者に検査をさせて、やったことにするのは、JR北海道と同じだ」「二つ目に、今日のストだけでは決着がつかない。継続的・波状的に闘わなければならない。解決する唯一の方法は、プロパーの仲間たちが動労千葉に結集し、『こんなことはできない』と自ら声を上げることだ」「三つ目に、今日のストはプロパーの仲間を犠牲にしないためのストだ。事故が起きたら責任を取らされるのは彼らで、管理者は絶対に責任を取らない。JR北海道のデータ改ざんは23歳の青年と定年間際の59歳の労働者に責任が押し付けられ懲戒解雇された。こんなことを絶対に許さないための闘いだ」
 ストに突入した13人の組合員が並び、一人ひとりが固い決意を表明した。集会をまとめた長田敏之書記長は、「今日のストは第1波の闘いだ。動労千葉は何のためにストをしたのかを職場で徹底的に訴えてほしい」と、組織拡大の闘いを訴えた。
 スト突入者は午後1時に職場に復帰し、直ちに職場での闘いに突入した。
(大沢 康)