■News & Review 韓国 民主労総7・22同盟ストライキかちとる 「朴槿恵退陣」掲げ下半期政治闘争に突入

月刊『国際労働運動』48頁(0456号02面01)(2014/09/01)


■News & Review 韓国
 民主労総7・22同盟ストライキかちとる
 「朴槿恵退陣」掲げ下半期政治闘争に突入

10万人がスト突入

 民主労総は7月22日、「朴槿恵(パククネ)退陣」を掲げて同盟ストライキに突入し、ソウルでストライキ集会を開いた。
 同盟ストライキには、建設産業連盟、保健医療労組、公共運輸労組連盟医療連携本部、金属労組、サービス連盟ホームプラス労組、ソウル本部ティブロード労組など全国で10万人が参加した。
 民主労総は今回のストライキで△無責任・無能政権朴槿惠退陣△セウォル号特別法制定△民営化、年金改悪、非正規職拡大、最低賃金・通常賃金歪曲、労組弾圧など反労働者政策廃棄△2014賃金団体交渉勝利などを掲げた。
 ストライキに突入した組合員約3万人は午後4時30分からソウル市庁広場に集結し、「朴槿恵政権退陣! 生命と安全のための民主労総同盟ストライキ集会」を開催した。民主労総は集会で下半期「朴槿恵政権退陣」闘争をはじめとしてセウォル号特別法制定要求などの政治闘争に立つという意志を明らかにした。

「政治ストを」民主労総委員長が大会詞

(写真 大会詞を述べるイスンチョル民主労総委員長【7月22日】)

 イスンチョル民主労総委員長は大会詞で「財布の金は各自の事業場闘争をとおして埋めることができるかも知れないが、1%にも満たない資本の貪欲(どんよく)を止めて生命が平等な世の中のためには、政治闘争でなければ変えることができない」と述べ、「このままでは朴槿恵政権を崩すことはできず、セウォル号遺族たちのために、王のように君臨する汝矣島(ヨイド)の国会をひっくり返すことはできない」として「民主労総は政治ストライキをやる。80万の組合員を集めてより大きな闘争で労働者が平等な世の中をつくる」と強調した。
 同盟ストライキ闘争決意文は、「同盟ストライキは当然にやらなければならない闘いの始まりにすぎない」として、△朴槿恵退陣△セウォル号惨事真相究明、責任者処罰△鉄道・医療民営化中断、公共機関の偽の正常化廃棄△建設現場及び労働現場法制度改善、反労働者政策廃棄△間接雇用・特殊雇用などの非正規職労働基本権保障、労働弾圧中断△労働時間短縮、最低賃金・通常賃金正常化などを要求した。

医療民営化反対署名150万筆を超える

(写真 同盟ストに突入し3万人が集会【7月22日 ソウル市庁広場】)
(写真 医療民営化反対署名が150万人を超え、無償医療運動本部などが記者会見【7月24日】)

 保健医療労組は民主労総7・22同盟ストライキに合わせてストライキに突入して5日間のストライキを敢行して医療民営化に立ち向かった。
 その中で、医療民営化反対百万署名が150万筆を超えるという、運動主体も驚くほどの状況が起こった。インターネットのオンライン署名だけで2日間に70万人以上が署名に応じた。7月23日現在まで無償医療運動本部ホームページの医療民営化反対オンライン署名運動に88万人以上が署名している。
 医療法人の付帯事業拡大を骨子とする保健福祉部の医療法施行規則意見収斂最終日の22日を起点に、署名が爆発的に集まっている。また同日、保健医療労組が医療民営化反対を掲げて2次ストライキに突入しており、医療民営化に対する反対世論も拡大している。
 それまで10万人ほどが署名していた医療民営化反対インターネットオンライン署名は、22日午後、民主労総のストライキ集会当時30万人に拡大した。その後23日午前まで88万人以上が署名に賛同し、ポータルサイトでの「無償医療運動本部」と「医療民営化」などの検索語が上位圏に上がり、無償医療運動本部ホームページの接続ができなくなったりもした。
 オフライン署名にも55万人が参加し、医療民営化署名は140万人を超えることになった。医療法施行規則改正案に対する保健福祉部ホームページの意見書き込み欄にも6万余人が実名で反対意見を残している状況だ。オフライン反対意見書提出まで合わせると10万人を超える。
 無償医療運動本部は「国民の医療民営化に対する関心と反対は今や時代的使命になった」として「朴槿恵政府が医療民営化を民営化と呼ばずに営利子会社、付帯事業拡大と呼んで嘘の手口を振りまいているにもかかわらず、国民は真実を貫いて医療民営化を阻止する意志を見せている」と説明した。
 署名が150万人以上を記録したのを受け、無償医療運動本部と「医療民営化阻止と医療公共性強化のための汎国民運動本部」は7月24日に記者会見を行い、「病院営利子会社設立と金儲けの付帯事業拡大は、事実上、 営利病院を認める医療民営化政策だ。 医療民営化は国民の健康と生命を資本の利益追求の手段として、 多くの人々の生命と安全を威嚇する政策」とし、 「政府が医療民営化政策を強行すれば、 われわれは朴槿恵政権を先に沈没させる」と警告した。

鉄道労組が8月、再びストライキへ

(写真 鉄道労働者総力決意大会。横断幕には「あまりに踏みつけても! 反撃は今から始まる!」「第2のセウォル号にならないように鉄道の安全を必ず守ります!!」と書かれている【7月19日】)

 鉄道労組は7月19日、「鉄道安全確保・労組弾圧粉砕・誠実交渉要求鉄道労働者総力決意大会」を開き、7~8月にゼネストを含む総力闘争に突入することを宣言した。 昨年末の23日間のストライキとその後の激しい弾圧に抗して不屈に闘う鉄道労組の団結を示し、セウォル号事故を契機にした全人民的な朴槿恵政権への怒りと結合し、23日間のストライキを超える新たな闘いに入ったのだ。
 鉄道公社は7月に入って、今年2月25日の「1人乗務施行・貨物列車出発点検外注」に反対する24時間警告ストライキの参加者(195人)のうち50人に解雇、残りは停職などの重懲戒を出した。
 さらに各地方本部ごとに懲戒委員会を開いて昨年末の23日間ストライキに参加して職位解除された組合員8655人に対する懲戒に着手しようとしている。すでに全北(チョンプク)地域では300人の組合員に懲戒委員会への出席要求が通告されている。
 6月から進められていた団交では、鉄道公社側は朴槿恵政府が推進している「公共機関正常化政策」に追随する労働協約の改悪を押し付けて、団交を決裂させた。そして団交が決裂するや昨年の23日間ストライキ終了後に鉄道公社が出していた160億㌆の損害賠償請求に追加して、130億㌆の損害賠償請求を新たに追加するということを労組に通告してきた。
 さらに機関車1人乗務、駅業務の外注化などの合理化政策を分割・民営化の事前作業として推進しており、労組の組織破壊を目的とした、大規模配置転換を推進している。
 7月22日に発生した太白(テベク)線の列車衝突事故は、こうした最中に起こったもので、鉄道労組は「鉄道公社が労組の再三の警告にもかかわらず人件費削減のために1人乗務を強行したことが事故の原因だ。太白線は山岳区間の単線区間であり機関士1人乗務時の事故の心配が大きな区間」だと鉄道公社に抗議している。
 鉄道公社、朴槿恵政府は民営化政策を貫徹するために、なんとしても鉄道労組を無力化しようと、あらゆる弾圧手段を集中している。ここで一歩も引くことはできない。闘わなければ、労働組合を守り抜き、鉄道の安全を守り、労働者の権利を貫くことはできないのだ。

サムスン電子サービス支会が団体協約を妥結

(写真 サムスン電子サービス支会が団体協約の賛反投票【6月28日】)

 サムスン電子サービス下請け会社と労組の間の団体協約交渉が妥結した。
 全国金属労組サムスン電子サービス支会は6月28日午後、1500余人の組合員を対象に基準団体協約の賛反投票を行い、賛成率87・5%で可決した。基準協約案が組合員賛反投票で可決されたのにしたがい、金属労組はソウルの瑞草洞のサムスン電子本館前で行われていた籠城を終結してヨムホソ烈士の葬礼を執り行うこととした。
 基準協約は全国のサムスン電子サービス支会に適用される団体協約だ。サムスン電子サービス支会は団体協約を持つようになり、実質的な労働組合の資格を持つことになった。団体協約で労使は基本給を月120万㌆とし、成果給と食費、家族手当など細部を決めた。成果給は実件数60件を超過する1件当たりの経費を除外して平均単価2万5千㌆を支給することとした。
 また、労組事務室の初期費用を会社側が支援して、タイムオフ(勤労時間免除)9千時間を1年の間に6人以内で分割使用することができ、労組役員3人の無給休職を要請することができるという内容も盛っている。
 最大の争点であったヨムホソク烈士の死亡事件については、合意後に元請け会社が哀悼と遺憾の意を含んで再発防止を約束する報道資料を出すことにした。責任者処罰問題も適切な方策を講ずるとした。
 賃金団体協約締結を要求して昨年7月からストライキ闘争を行ってきたサムスン電子サービス支会はヨムホソク烈士の自殺事件以後、サムスン電子本館前で40日を超える籠城を行ってきた。
 サムスン電子サービスは交渉が妥結した後、会社の公式ホームページに「協力社と労組間で進められていた交渉の合意が円滑に成されたことを歓迎する」として「故ヨムホソク氏の思いがけない死亡に対して深い哀悼と遺憾を表する」という内容の文を載せた。
 さらに「今回の交渉が妥結したことと関連して協力社と共に生きるために努力する」として「今回の交渉合意を契機にサムスン電子サービスも元請け企業としての役割を一層忠実に果たす」と強調した。
 ついに勝利した。76年間無労組のサムスンで民主労組の初の団体協約が作られたのだ。
 6月28日、金属労組サムスン電子サービス支会は各センターから交渉権を委任された経総(経済人総連)と基準協約(センター別団体協約の基準になる協約)を締結した。サムスンは使用者性に関する法的責任を逃れるために経総を押し立てて協約署名をした。しかしサムスン電子サービスが署名を発表し、イインヨン・サムスン未来戦略室(秘書室)室長がマスコミをとおして自分が交渉を指揮したことをにおわせ、サムスンと金属労組が協約の当事者であることを社会的に確認させたのだ。
 閉鎖されたセンターの再開と解雇された労働者の雇用継承をはじめとする現場の具体的手続きは現在闘われている最中である。
(大森民雄)