特集 日帝・新自由主義を打倒する国鉄決戦 崩壊するJR体制を打ち砕き動労総連合を全国につくろう Ⅰ 9・11郡工闘争が大高揚――動労総連合の全国化の出発点に

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月刊『国際労働運動』48頁(0457号03面01)(2014/10/01)


特集 日帝・新自由主義を打倒する国鉄決戦
 崩壊するJR体制を打ち砕き動労総連合を全国につくろう Ⅰ
 9・11郡工闘争が大高揚――動労総連合の全国化の出発点に

(写真 マイクを握り職場の仲間に訴える国労郡工支部の橋本光一さんを先頭に意気高く進むデモ隊【9月11日 郡山総合車両センター前】)


 9月11日、福島県のJR郡山総合車両センターを全国から集まった650人が包囲し、10・1外注化阻止への号砲が打ち鳴らされた。時あたかも、JR労働運動の大再編期が訪れている。JR資本は、安倍政権の7・1集団的自衛権行使容認の閣議決定の情勢下で、日帝・新自由主義の最先頭で〈安倍・葛西体制〉として鉄道輸出に延命をかけ、大合理化・外注化を大々的に推進している。このJR体制を打ち砕くことが日本階級闘争の最先端の攻防である。
 第Ⅰ章で、9・11郡工闘争の感動的な闘いを始め、動労千葉、動労水戸などが切り開いた闘いに肉薄する。
 第Ⅱ章は、安全の崩壊と、資本・カクマル結託体制の崩壊がもたらすJR体制の崩壊的危機を明らかにする。
 第Ⅲ章では、国労大会や組合員資格確認訴訟判決に見る国労本部の大裏切りを暴き、JR労働運動の革命的大再編をかけ、動労総連合を全国につくり上げることを訴える。

Ⅰ 9・11郡工闘争が大高揚――動労総連合の全国化の出発点に

 9・11郡山工場包囲デモは、一職場の外注化をめぐる闘争としては異例とも言える、画期的な650人もの大結集で戦闘的に闘い抜かれた。

資本と体制内幹部の反動を打ち破り

 郡山総合車両センターの基幹業務を10月1日に外注化するというJR東日本の攻撃に対し、国労郡山工場支部は9・11闘争を決定したが、国労本部、東日本エリア本部、仙台地本は、許せないことに支部に圧力をかけ、その闘いを中止させた。同支部の橋本光一さんはこの大反動に全力で立ち向かい、9・11闘争への結集を全国の労働者に呼びかけた。この大反動と、それに対する渾身の決起が国鉄労働者を始めとする全国の労働者を奮い立たせ、大結集を実現したのだ。その団結と物質力はJR東日本を震撼させ、体制内労組幹部に痛打を与え、郡山工場で働くすべての労働者の魂に響いた。
 まず、9・11闘争を国鉄―JR労働者の発言を中心に見ていく。
 午後1時、郡山市の本町緑地公園で集会が開かれた。主催者としてあいさつした橋本光一さんは、「JR会社はこの集会・デモに対応不能に陥り、完全にビビッている。これだけで勝利だ。今日は10・1外注化をぶっ飛ばす行動を」と意気高く訴えた。
 国労秋田闘争団の小玉忠憲さんは、「解雇から27年、この闘いを待っていた。JR体制を打倒することと国労本部を打倒することは一体だ。動労千葉・動労水戸―動労総連合のように闘うのが労働組合だ。全国に動労総連合をつくろう」と呼びかけた。
 動労水戸の辻川慎一副委員長は、動労水戸の19人がストライキに突入して結集していると報告。そして、「動労水戸がストライキでここに来たのは、郡山工場の労働者に私たちの火をのり移らせるためだ。動労千葉、動労水戸の闘いだけで外注化は阻止できない。背後には7・1集団的自衛権を閣議決定した安倍や葛西がいる。われわれは労働者階級だ。国労指導部の腐った反動によって支部の決定ではなくなったが、それは国労指導部の終わりを示しても、郡山工場の青年を始めとする労働者たちの終わりではない。これがスタートだ。11・2労働者集会に向け、動労総連合を全国につくる」と檄を飛ばした。

郡山総合車両センターを包囲するデモに立つ

(写真 9・11郡工闘争の最後にJR郡山駅前で650人が「団結ガンバロー」)

 参加者は工場包囲のデモに出た。デモの先頭には、橋本さんとともに動労総連合の青年組合員が立ち、「外注化阻止」「非正規職撤廃」「このまま行けば安全崩壊」「JRの安全を守れ」「職場を守れ」「団結して闘おう!」「安全無視の外注化」「外注化で事故が多発」「事故の責任だれがとるの!?」「すべて下請け!?」「ふざけんじゃねぇ!」などと、代わる代わるデモコールの音頭をとった。広大な郡山総合車両センターを取り巻いて進むデモ隊の「外注化阻止」のシュプレヒコールは、工場の隅々に響き渡り、下請け・孫請けも含めて約650人の労働者の心に届いた。
 外注化対象の職場に近づくと橋本さんがマイクを握り、「外注化され、労働災害が起きてもJR東日本、TKK(東北交通機械)は責任を取ったのか。すべては現場作業者の責任にしている。特に青年労働者たちは、働きがいのある職場、利用者に喜んでもらえる鉄道輸送にするために立ち上がって、外注化に反対しよう」と熱く呼びかけた。

〝絶対反対を貫き郡工の団結を守り抜く〟

 デモを貫徹して郡山市民文化センターで開かれた集会は、熱気と高揚感に包まれた。
 橋本さんの基調提起は圧巻だった。
 「支部主催の中止は、私たちの闘いの発展に焦った資本の側の危機感の現れ、追いつめられた姿だと言える。中曽根が『国鉄分割・民営化で国労をつぶし、総評をつぶし、社会党をつぶし、そして憲法を改正する』と言ったとおり、国労の全国大会において名称変更や企業別組合に向けた組織改編が出された。国労郡工支部も40人となり、もう少しで国労の息の根を完全に止めることができると思った矢先に、この9・11郡山闘争で郡工に火がついたら、国労の全国の現場に飛び火してしまう、なんとしてもそれは阻止せねばならぬという資本の側の強い意志が働いたのだと思います」
 「9・11集会をめぐり、郡工の仲間といろんな議論をしてきました。毎日、胸が締めつけられるような思いで、お互いに議論をしてきました。郡工支部の40人は、激しい議論をし、でも最後は同じ方向を向いて歩いてきた40人です。今日の集会は支部主催でなくて本当に残念ですが、この集会をめぐって国労組合員は本当に揺れ動いています。国労以外の労働者は、外注化自体は絶対に反対ですから、この集会を支持してくれています。そして何よりもJR会社がビビっています。その意味では、今日は、集会・デモを始める前からすでに完全に勝利しています」
 「郡工だけの闘いでは止まらない。敵は安倍・葛西、国家だ。動労千葉や動労水戸のように闘おう。それが勝利の道です」
 「郡工は、私たち現場労働者がつくってきたものです。勝手に外注化させることは許せません。私たちは御用組合ではありません。解雇と外注化と戦争に反対します。さらに階級分岐を促進し、大きく、強くなって絶対反対で郡工の団結を守り抜きます」
 断固たる戦闘宣言を発した橋本さんの提起に、惜しみない拍手が送られた。
 国労の分会ぐるみで取り組んだ国労新宿駅分会などから激布が贈呈された。

動労総連合の青年が闘いを牽引

(写真 デモ後の集会で決意表明する動労総連合の青年労働者たち【郡山市民文化センター】)

 動労総連合の青年組合員が壇上に並び、決意を語った。 「外注化は筋が通っていない。反対して頑張りましょう」(動労水戸・羽部圭介さん)、「工場の外注化は地域・利用者にも重大な問題なので、全国の工場の外注化を止めよう」(動労西日本・山田和広書記長)、「勝田車両センターの車も全部、郡山総合車両センターに入っている。労働組合の団結を守るためにも外注化阻止へ頑張っていく」(動労水戸・照沼靖功さん)、「知らず知らずのうちに俺らは犯罪の片棒を担がされているんじゃないか。人の命を預かっているから、命を奪うわけにはいかない。そのためには、郡工の若い人たちが立ち上がってほしい」(動労千葉・北嶋琢磨青年部長)、「マイクを通してスピーカーで外注化反対を言うのはチョー気持ちいい。工場の作業者たちも、そうだと思っている」(動労千葉・木科雄作さん)
 この日の闘いを橋本さんとともに牽引した動労総連合の青年組合員の姿は、階級的労働運動の新たなリーダーの登場を鮮烈に印象付けた。
 国労新潟県支部の星野文男さんが、支部闘争委員会決定でこの闘いに参加していることと、新津車両製作所の分社化反対闘争に他労組の青年が決起していることを報告し、9・11闘争を圧殺する国労本部を打倒する決意を述べた。
 動労千葉の田中康宏委員長は、「今日、この場に来ていない国労郡山工場支部の仲間たちは引き裂かれる思いでいると思う。国労エリア本部、地本は闘いの中止を命じたが、10月1日の外注化強行、来週にも強制出向の命令が出るという現実は何も変わっていない。外注化反対闘争をつぶしてくるのは、資本の手先になった労働組合幹部だ。だから労働組合が変わればすべては変わる。現場から闘う労働組合をつくり直す一歩が今日、始まった。すべての職場で声を上げ、怒りをすべて11・2労働者集会に結集させよう」と力説した。
 動労水戸の石井真一委員長は、「国労郡山工場支部が呼びかければこれだけの人が集まる。しかし、国労本部や地本に負けたら団結はつぶされる。動労総連合のように絶対反対で闘おう。全国に動労総連合をつくろう。動労総連合の青年が今日、郡山工場の門前に立った。青年はやる気になっている。これが一番の勝利だ」と核心点を突き出した。
 集会後、郡山駅前までのデモが打ち抜かれた。沿道の関心は高く、デモ隊に手を振って応える人々が続出した。郡山駅前での解散集会で、橋本さんは「外注化を強行すればこうなるとJRに見せつけることができた。大成功だ」とこの日の闘いを総括した。
 動労総連合の青年たちは、この日の朝、郡山工場の門前で闘いへの結集を訴え、昼前には郡山駅前で街頭宣伝、昼休みには郡工の正門前で青年たちの決起を訴えた。組合の枠をこえてこの日の闘いの成功に全力を挙げた動労総連合の青年たちの闘いは、東労組傘下の青年や下請けの労働者を巻き込んだ郡山工場全体の決起をつくる起爆剤となることは間違いない。国鉄決戦は新たな段階に突入したのだ。
 9月16日には、国労2人、東労組4人に対し、出向の内示が強行された。これに対する怒りが渦巻き、国労郡工支部では、支部として闘おうという気運に満ちている。

国労の組織破壊を狙った外注化攻撃

 9・11郡山工場外注化阻止闘争はこのように、国労本部、仙台地本などの既成指導部による闘争圧殺の策動との激しい攻防の中で闘い取られ、国鉄労働運動の歴史の新しい1ページを開いた。
 9・11闘争に至る攻防を振り返ってみたい。
 今回の外注化攻撃は、車体科1組の機器着脱業務の外注化が核心だ。13人分の業務で、うち国労が6人でJR東労組が7人(うち2人は平成採)。国労は、支部の委員長、書記長、副分会長、分会書記長がおり、国労の拠点職場だ。そして何よりも、2013年夏、動労水戸が被曝労働を拒否して交番検査を阻止したK544編成が郡山に移送された際には、平成採の青年の作業からの除外と防護服の着用をかちとった職場だ。安倍政権と一体となって原発の推進、福島原発事故避難者の高線量地域への帰還を推し進めようとするJR東日本にとっては憎悪の対象であり、そこをつぶそうとしてきたということでもある。
 10月1日外注化強行に向けて、7月1日から外注化先のTKKの労働者6人が来て、教育を受けている。
 国労郡山工場支部は6月20日に1組集会を行い、外注化前提の教育は納得できないので協力できないと意思統一。23日朝のミーティング後に科長に抗議。その後、13人に対して個人面談が強行されるが、全員が反対意見を述べた。機器着脱業務は、配線作業や配管作業を含むものであり、たった3カ月で覚えられるような簡単な業務ではない。無理に外注化すれば安全性は保たれない。現場の意見に対して、科長は「不具合や労災が起きないように努力してもらいたい」と繰り返すのみで、まともな回答は何もない。何かあっても会社は一切責任を取らず、すべて現場の責任にするというのだ。
 こういう中で、6月30日に支部全員集会を開き、「今こそ示そう、私たちの明確な意思を。10・1外注化阻止! 職場は私たちが守る。職場の未来は私たちが創る。団結して頑張ろう!」と結ばれた集会宣言を発し、「外注化阻止!」の組合員の意思を内外に示した。7月16日には動労総連合強制出向無効確認訴訟の代理人を務めている森川文人弁護士を招き、公開学習会を開催した。
 そして、「外注化に伴う出向の事前通知が行われる前に集会をやろう」ということで、「JRの安全破壊を許さない! JR郡山総合車両センターの外注化阻止! 9・11集会」を支部の主催で行うことを決定し、8月27日には、支部長名で各労働組合に参加を要請する文書を発していた。

資本の意を受けた国労本部・地本などの反動

 ところが大反動が襲いかかった。9月1日、郡工支部委員長が突然執行委員会を招集し、「上部機関と福島県支部が(9・11を)やめろと言ってきている。地本から、中核派と組織的につきあっていくのか、と言われた。支部としては9・11集会を中止したい」と提案してきたのだ。橋本光一書記長は、「会社に勝つ気があるのか、支部が主体となってここで反撃しないでどうするのか。動労千葉、動労水戸の絶対反対の闘いと国労がつながることを会社は一番恐れている。それの何が悪いのか」と真っ向から反撃。執行委員会は平行線のまま、最後は支部主催での集会中止が決定されてしまった。
 だが、「中核派問題」は口実に過ぎない。8月28日にストライキ要請を拒否した仙台地本(および東日本エリア本部)は外注化阻止闘争そのものをやらせないということなのだ。何より、国労と動労千葉、動労水戸の闘いが結びつくことを恐れているのだ。安倍と葛西敬之らJR資本から恫喝されたことは明らかだ。
 10・1外注化はすでに見たように、郡工の拠点職場をつぶそうという攻撃であり、郡工の全面外注化の要をなす攻撃であり、安全破壊そのものだ。これとの闘いは労働組合として絶対に譲れない闘いであり、これを投げ捨てることは、国鉄分割・民営化以来の郡工の闘いと誇り、3・11からの格闘と被曝労働拒否の闘いのすべてを投げ捨ててしまうことだ。断じて許されない。
 9・1反動と、それをのりこえた9・11闘争の大高揚は、
こうして橋本光一さんとともに、動労千葉を先頭とする青年労働者(動労総連合青年部の出発点となった!)の団結をかちとり、地本・支部の革同・社民の敵対を打ち破った。これは必ずや郡工の全労働者を獲得し、外注化阻止の決戦を爆発させる力になるだろう。さらに。7・1情勢のもと、JR体制打倒、安倍・葛西体制打倒に向けた闘いの本格的開始となった。これを出発点に、JR体制打倒の2010年代中期階級決戦へ勇躍総決起しよう!

■動労水戸、動労千葉の闘いが切り開いた地平

 9・11郡工決戦の大高揚は、明らかにこの間の動労水戸、動労千葉が切り開いた新たな地平のもとに生み出された。
 動労水戸は5月10日、30〜31日、6月30日の3波にわたり、常磐線竜田延伸阻止のストライキに決起した。特に5・31いわき集会・デモには全国から520人が結集した。「巨人のような闘い」である。この闘いは、国労郡工支部と同じ福島の被災地の労組(動労水戸平支部)として、福島切り捨てを許さず、高線量地域の楢葉町への帰町宣言を出させないという地平を切り開いた。
 動労千葉は、2012年10月1日に検修・構内業務の外注化により、44人の組合員が外注会社のCTS(千葉鉄道サービス)に強制出向にされた。だが、JRとCTSの労働者の分断を許さず闘い抜いている。
 今年5月2日には、CTSに出向に出されている組合員が、CTSに採用されわずかの教育期間で仕業検査などに就かされようとしているCTSのプロパー労働者を守れ、とストに決起した。こうした闘いの中から、7月1日に2人、9月1日に1人のCTS労働者の加入をかちとっている。
 そして動労千葉の1047名解雇撤回闘争は、最高裁判決を前にして、10万筆署名の達成に向けた全国での国鉄闘争陣形を再組織し、6・8国鉄闘争全国運動全国集会には1650人が東京・文京シビックホールに集まり、国鉄決戦勝利の新地平を切り開いた。いよいよ、この地平に立ち、動労総連合を全国のJR職場につくり出そう。

●郡山工場の外注化の経緯

 郡山総合車両センターは、主に車両(電車、気動車)の全般検査・要部検査・改造工事・廃車解体を行うところで、JR東日本とJR貨物を合わせて約650人が働き、そのうち正規が約350人、下請けが約300人くらいの職場だ。その意味では、すでに相当の業務が外注化されていると言える。下請けは、検査・修繕(検修)を行っているTKK(東北交通機械)が元請けで、さらに孫請けが部品洗浄、塗装、清掃をやっている東北鉄機である。
 郡山総合車両センターの外注化を含めた合理化の経緯を見れば、1995年の電車と気動車の検修ライン統合、2001年の一両流しと多能工化、2004年の区所検修との統合、2005年の塗装外注化から始まった本格的外注化、エンジンと自連は2007年、台車解体は2008年、車体抜き乗せは2009年、保全とB・D倉庫は2010年、2012年にコンプレッサー、そして昨年2013年7月には、A・C倉庫、8月にはパンタグラフが外注化された。
 このような合理化の結果、車両の安全=品質の低下、労働条件の低下が進んでいる。会社発表によれば2014年度に入ってからの車両故障は東日本全体で105件、そのうち42件が郡総の検修に起因する。しかも2013年6月分は4件だったのに対して2014年6月分は17件と4倍増だ。
 工場の外注化は国鉄分割・民営化以前からあったが、2000年11月のJR東日本の中期経営計画「ニューフロンティア21」以後の外注化は〈基幹業務の外注化〉という点が以前と根本的に異なる。1995年の日経連「新時代の『日本的経営』」で9割非正規職化が出されて、全面外注化→総非正規職化へ向けた大転換が始まったのだ。
 今回外注化されるようとしているのは、機器着脱業務、主電動機大修工事の一部業務、車輪旋盤業務である。