「3本目の滑走路」答申出せず 日帝の空港政策危機に

週刊『三里塚』02頁(0894号02面02)(2014/04/28)


「3本目の滑走路」答申出せず
 日帝の空港政策危機に

(写真 3月30日から国際線が1・5倍に拡大された羽田空港)

 昨年11月に立ち上げられた国土交通省の首都圏空港機能強化技術検討委員会が、3月31日までに予定されていた報告書の提出を延期した。
 本紙既報の通り、同委員会では成田空港の3本目の滑走路計画、暫定滑走路(B滑走路)の北側への1000㍍延長計画と羽田への5本目の滑走路計画について年度内に、答申を出す予定だった。
 しかし、どの計画も周辺住民への影響があまりにも大きく、議論は難航した。千葉県や成田市の経済団体および地元の国会議員や永田町の成田空港推進議連(二階俊弘会長)などが、何度も国土交通省に計画実現の要求を行ったが、結論を出せなかった。まさに、日帝・安倍政権の空港政策が破綻していることの象徴だ。
 しかし、戦略的な国策空港政策が破綻するということは、日帝にとって延命の危機に直結する。だから安倍政権は巻き返しに必死となっている。空港政策の樹立なしに、日帝がアジア勢力圏化をはじめとした帝国主義的争闘戦に参戦することはできないからだ。
 7年前、安倍首相が第1次政権時にアジアゲートウェイ構想を政策の中心に位置付けたのと同様、安倍政権は2013年6月に「日本産業再興プラン」「戦略市場創造プラン」「国際展開戦略」を制定し、この三つの政策を横断して「3位一体の航空・空港政策」を定めた。そしてその前提が首都圏空港(羽田・成田)の発着枠増加なのだ。
 安倍政権がとりわけ危機感を募らせているのが、アジア全体で最低の位置に転落した日本の戦略的国際空港の敗勢だ。首都圏の国際空港の容量は、成田と羽田を足しても年間3300万人。これに対して、仁川空港は3800万人、シンガポール4700万人、香港空港は5300万人。日本は最下位なのだ。
 農民圧殺の上に展開される空港建設に対して、三里塚闘争が48年もの絶対反対・実力闘争の闘いを展開してきたことが、日帝にどれほどの打撃を与えているのかが、ここに示されている。
 さらに、国際空港の死活性は、原発、新幹線などインフラ輸出を最重視する日帝・安倍政権にとってその拠点の強化という点でも無視できない。
 7年前と比べてもグローバル化がはるかに進んだ世界経済構造の中で、国交省の交通政策審議会航空分科会基本政策部会の中間とりまとめは、「アジア諸国をはじめとする世界の国際航空需要を取り込むために首都圏空港の機能強化が必要」と強調している。
 そして産業立地競争で生き残るためのインフラ整備という観点からも首都圏空港の容量拡大に必死となっている。昨年4月、産業協争力会議委員の竹中平蔵(慶大教授)は、同会議の部会で「世界一ビジネスのし易い環境を」として、その重点項目に「交通・都市インフラの改善」をあげ、その中で、成田の3本目の滑走路、既存滑走路の延長を要求した。
 しかし、日帝・安倍政権が、どれほど必死になって羽田・成田の容量拡大攻撃を準備しようとも、その先に展望はない。三里塚48年の闘いが厳然とその前に立ちはだかっている。「3本目の滑走路」を計画しただけで、周辺住民の怒りに包まれる。まさに三里塚闘争はアジア勢力圏化のためのインフラ建設と断固対決している。その最先端攻防こそが、市東さんの農地取り上げを実力で粉砕する闘いだ。全力で6・25弁論へ。
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