24時間化、同時離着陸画策 4万回増便攻撃許すな

週刊『三里塚』02頁(0901号02面02)(2014/08/11)


24時間化、同時離着陸画策
 4万回増便攻撃許すな

(写真 国交省が発表した「中間取りまとめ」の中の図。手前勝手な容量拡大の日程が書かれている)

 国交省は、2020年度を目標とする「交通政策基本計画」の中間とりまとめ案を8月5日に示した。
 計画の柱は、東京五輪をにらんだ首都圏空港の機能強化だ。国交省は今月下旬にも関係自治体を交えた協議会を立ち上げる予定で、すでに田村明比古航空局長は、首都圏空港機能強化技術検討小委員会「中間とりまとめ」を実現する同協議体の設立準備の記者会見を行った。
 急ピッチで進むこの策動に対して、あらためて技術検討小委員会の「中間とりまとめ」の中身を暴露し、「20年までに成田空港で4万回増便する」との攻撃を弾劾していきたい。
 「中間とりまとめ」は、実質上今後の空港整備計画に格上げされていく。それを示すものは、2013年9月に出された国交省「首都圏空港の更なる機能強化に関する検討の進め方」なる方針書である。その中で、答申とその後の具体的なタイムスケジュールを決めており、先の田村航空局長の記者会見もそれに応じたものだ。このように国家権力の強権的な発動過程がすでに始まったのである。

JRラッシュ以上

 まず「取りまとめ」は、違法な空港建設・危険な運航や人権無視を棚に上げ、空港処理能力を規定する要因を列記している。中でも①2本の滑走路の同時使用の制約と②夜間の飛行制限(カーフューと呼ぶ)が標的にされているが、本末転倒の暴論だ。
 ❶同時離着陸問題 そもそも成田空港の同時平行離着陸は、ICAO(国際民間航空機関)のニアミス回避の国際基準に反した危険な運用であり、3年前まで国交省が許可しなかったものである。NAAは11 年 10 月より同時平行離着陸方式を強行したが、結局、悪天候時には実施しえてない。
 ❷夜間飛行制限 これは、23時から翌6時までの離着陸の原則禁止(カーフューと呼ぶ)と、22時台のA・B滑走路とも各10便までに制限の2点である。後者は、航空機運用の欠点(自然・技術・経営上の理由により離着陸時刻の不安定)から生じるカーフュー違反を防止するものだ。NAAは、昨年30万回化のためにカーフューの時間短縮を策動したが、反対同盟と周辺住民の強固な反対によって朝5時への短縮は阻止された。そして「出発地空港における悪天候等による遅延など航空会社の努力では対応できないやむを得ない場合」においてのみ23時台の離着陸を認めさせたにすぎず、便数拡大につながっていない。これに国交省は焦りをあらわにしているのだ。
 「取りまとめ」では、現在の空港処理能力の時間値(1時間あたり出発・到着の合計の最大値)64回を実現せよ、と叫んでいる。時間値64回とは、2本の滑走路を野放図に同時利用するとしても、1分間に1機発着するというJRラッシュ時以上の混雑であり、極めて危険なものである。これは、ピーク時間帯に航空会社の要望に応えるダイヤを作って資本の利益と航空競争に資するためだ。
 そのために「20年東京オリンピック開催までに実現し得る方策」で同時飛行や夜間飛行を強行し、さらに「開催以降の方策」として①B滑走路の延長、②3本目滑走路増設をあげている。①B滑走路の延長では離陸3500㍍以上、着陸2700㍍以上とし、南伸か、北伸かを検討していないが、どちらにせよ東峰地区の立ち退きが不可避である。
 そして②滑走路の増設は、すでに本紙で報道しているように新たな空港建設に等しい土地取り上げである。この日帝の策動は、1㌫のために99㌫が犠牲になる新自由主義攻撃だ。
 反対同盟とともに周辺住民の生活を破壊する国交省の新たな成田空港拡張攻撃を粉砕し、軍事空港建設阻止の三里塚闘争に勝利しよう。
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