団結街道

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週刊『三里塚』02頁(0913号01面06)(2015/02/09)


団結街道


 「選ばれる空港をめざす」と夏目誠成田空港会社社長は言う。だがその言葉とは裏腹に、航空会社の撤退がとどまらない。直近では、イギリスのヴァージンアトランティック航空が2月1日、ラストフライトを行った。さらにはカタール航空の撤退検討が報じられている▼成田の凋落を防ぐ「成田縛り」について本紙905号でも紹介した。羽田の昼間時間帯に欧州便、アジア便を新設した場合には、同じ国へ飛ぶ成田路線を維持せよという行政指導で、航空会社も逆らえない。しかし、ヴァージンの撤退はこの成田縛りをも揺るがしている▼全日空は14年3月の羽田〜ロンドン線開設にあわせて成田〜ロンドン線を廃止したが、ヴァージンの成田〜ロンドン線と共同運航することで、成田縛りのルールをクリアした。ヴァージンが成田から撤退すれば、全日空の羽田〜ロンドン線は廃止の危機に立たされる一方、それへの反発で「成田縛り」は崩壊につながる▼昨秋行われた講演で、黒野匡彦元空港会社社長は「こんな経済原則に反したルールは早晩なくなる」と言った。そして「成田空港は日本の玄関という意識ではなく、成田空港でどうやって、飯を食っていくかに舵を切れ」とハッパをかけている▼これでは成田はもうただの企業城下町。「国策の大義」すらかなぐり捨て、あせりに駆られた金もうけのために、命と農地を奪われる筋合いはみじんもない。
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