耕作権裁判(再開第1回)始まる 意見陳述で裁判所・NAA圧倒

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週刊『三里塚』02頁(0922号01面03)(2015/06/22)


耕作権裁判(再開第1回)始まる
 意見陳述で裁判所・NAA圧倒

(写真 6・12高裁判決への怒りに燃えて千葉地裁包囲デモを闘う100人のデモ隊【6月15日 千葉市】)


 6月15日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)において、2年8カ月中断していた耕作権裁判が再開され、弁護団の更新意見と市東孝雄さんの意見陳述が行われた。 まず、葉山岳夫弁護士が「文書提出命令申立事件はきわめて重大かつ貴重な成果をもたらした」と空港会社の証拠隠しの惨めな破産と勝利の地平を確認し、「本来の賃借地を不法耕作地と言いなして明け渡しを求めるという途方もない違法訴訟は、無効もしくは取り消されるべき」「本件は違憲、違法な公用収用の一環であり、裁判所を収用委員会の代替機関として利用する違憲、違法な手続きである。裁判所は、正義をふみにじることのないよう厳重に要請する」と述べた。
 その後、各代理人から旧空港公団が作った収用裁決申請図や敗戦直後からの各種航空写真などを使い、「現在の耕作地が市東さんの契約地」「41番9は石橋政次の賃借地であり、市東賃借地とする空港会社の主張はでたらめ」「『境界確認書』等の文書は偽造により無効」と、次々と市東さんの耕作権の主張の根拠を説得力をもって明らかにした。
 市東さんは敢然と「今も、夜も寝られないほど悔しい」と心底からの怒りをたたきつけ、「私は、空港会社の無法を暴き、『不法耕作』のデマをぬぐい去り、祖父の代から耕し続けてきた畑を守るためにこの場に立つ」と決意を表明、空港会社の謝罪と訴えの棄却を求めた。
 孝雄さんは陳述の中で「父・東市から『畑を守れ』と言われて相続した。畑の場所をめぐって地主と争いになったことなどなく、地代を届けに行った時も問題にされなかった。1988年の旧空港公団による南台農地の買収自体が農地法に反する違法買収だ」「父が知らないうちに、空港公団がどうして地主になれるのでしょうか。東市に秘密にして耕作地を買収し、その事実を隠し続け、登記もせず、地代をだましとってきた」と公団の違法・不当な買収を怒りを込めて追及した。
 さらに文書提出命令に従わない空港会社を弾劾、陳述の最後に市東さんは「私は不法耕作などしていません。農地法による農地取り上げと、私は闘います」と結び、東京高裁・小林裁判長の反動判決をはね返す決意を表明した。法廷を圧倒する市東さんの訴えに、空港会社の代理人はただうつむいているだけだ。
 岸裁判長は今後の進行について双方の意見を聞く中で、文書提出命令について「空港会社は『無いものは出せない』ということになるでしょうけど」と空港会社の答弁を先回りする発言を行った。弁護団や傍聴席から「空港会社の肩を持つな」と激しく叱責され、裁判長は空港会社に「民事訴訟法224条の適用(文書提出をしなかったことによる制裁や相手方主張の採用)もありますから、経緯を書面で出して下さい」と要求した。
 裁判終了後、弁護士会館で報告会が行われた。市東さんは「12日の高裁判決は悔しさだけ。耕作権裁判に是が非でも勝って、高裁判決をひっくり返す攻勢に立とう」と、力強く訴えた。最後に萩原富夫さんが「午後の安保国会闘争が重大になっている。現地では第3滑走路との闘いに取り組んでいく。今後とも支援を」としめくくった。
 法廷に先立って、朝9時から100人が千葉市葭川(よしかわ)公園に集まって集会を行い、千葉地裁包囲のデモに立った。デモは「裁判所は訴えを棄却しろ」との横断幕を掲げて繁華街を行進し市民にアピールした。

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9・14耕作権裁判闘争(再開第2回)
 9月14日(月)午前10時30分 千葉地裁

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