農民が解放される真の道は何か ⑥ 農民学習会 労農同盟論を学ぶ 第2部 参加者の討論(2) 農民の団結作る労農連帯 先進的農民が「階級移行」を 全国農民会議の役割

週刊『三里塚』02頁(0925号02面08)(2015/08/10)


農民が解放される真の道は何か ⑥
 農民学習会 労農同盟論を学ぶ
 第2部 参加者の討論(2)
 農民の団結作る労農連帯
 先進的農民が「階級移行」を
 全国農民会議の役割

(写真 市東さんと共に農民の闘いの先頭に立つ全国農民会議【2014年10・12三里塚全国集会】)


≪第2回 先進的農民の課題と展望≫
    *
 編集局 全国農民会議という形で新しい農民の結集体をつくったわけですが、農民の「団結」をどのように作るかについて討論したい。
 大戸 労働者は団結形態を一定想定できる。これに比して、農民には、「農民の団結」の難しさがある。また、権力は農民と労働者を対立させ、農民同士も分断させている。そういう形態で農民にブルジョア支配が貫徹する構造になっている。この分断と対立を克服することが課題だ。
 飯島 何人か共同で営農組合を作って、例えば機械の共同作業みたいにやっているところもある。営農組合が一括で借りたり、機材を購入している。農産物の売上金を全部組合のものとしてプールし、労働日数に応じて手間賃を払うというやり方をやっているところもある。ただ、若い人は年間働きたいと思っているが、農産物は季節によって作業の手間が違うので、その辺がネックで共同もうまくいかない。
 川尻 経済的なものではなかなか団結はできないと思うんだよ。しかも、今の若い人には能力主義、成果主義の意識が強い。
 大戸 農民は生産手段を持っていて、他の農民と競争的にやっているから、そこら辺では団結は厳しい。賃労働と資本の関係にある労働者と違う。
 労働者の団結は二つの要素があって生まれると思う。一つは、資本への従属の下で一定の生産現場に置かれるという外的な条件。また、より本質的な要因は、自分の生命力の発現である労働力を商品として売らなければならない、労働力商品の売り手としてのみ生きられるという共通性が労働者にはある。それで団結が生まれるし、新たな社会を作り出していく主体にもなる。人間解放の主体的土台である人間的共同性の形成、この労働者階級の団結に一体化するためには農民は飛躍が求められる。
 飯島 戦前だったら、農家は似たり寄ったりの立場。大部分が小作農で、大地主から農地を借りて耕作していた。だから戦前の小作争議では、村ごと団結することができた。
 しかし、今はほとんど自作農。しかも農家といったって千差万別、みな作っているものが違う。同じコメ農家でも、産地によりどういうコメをつくるのかも、規模も違う。かつての農民組合運動とは違ってきている。
 大戸 結局、先進的な農民の階級移行が先駆的に果たされて、そのもとに団結を作っていくということではないか。
 三条 先進的な農民の階級移行はその通りだと思う。帝国主義段階以前では、農民層が農業資本家と農業労働者に分解されていくという考えだから、農民が農業労働者となった時点で階級移行と考えていたのではないか。農業労働者をいかに階級形成していくかが問題だった。
 しかし、帝国主義段階への突入で、農業分野の生産が資本主義的にではなく、多くの小農経営を残したまま農業が行われていく。農民層が分解されずに残されていく。農民は、階級としては資本家ではない、労働者でもない。生産手段である農地、農具を持っている点で労働者階級とは違う。階級移行とは「労働者階級の立場に立つ」ということ。共産党宣言で言っているように、「農民が革命的になるのは、まぢかに迫ったプロレタリアートへの移行という現実を考慮し、自分たちの現在の利益ではなく、将来の利益を守るために自分たち自身の立場を捨てる」ということ。このことは、簡単なことでない。だから、農民の階級移行は先進的部分からしか始まらない。
 大戸 農民は自らの立脚点をどちらに置くのか、中間階級として選択が求められるわけ。革命運動に参加するということで階級移行、その立場性ですよね。
 三条 そうです。時代認識としての〈プロレタリア革命〉ということだと思う。農民が農民のままでプロレタリア革命に合流することを目指すことが必要。そのためにも農民解放闘争論としてプロレタリア革命を、農民の側から主体的に論じるものにしていきたい。
 大戸 農民会議を先進的農民の結集体としていかに発展させるのかだと思う。3・11以降、福島の農民の苦悩をいかに支えるのかという問題意識で農民会議を立ち上げた。ある意味では全国の苦悩する農民にとって導きの組織としてある。川尻さんじゃないけど、「安倍と刺し違えても」と言う農民にとってね。
 川尻 結局、そこまで来ないと農民は決起しないのではないか。俺が「どんなに営農努力しても無理だ」と言っても通用しない。分かってもらうためには、こちらの訴えがカギだ。
 飯島 今でも、農民は生活できなければ辞めていく。農家としてがんばるじゃなく、労働者になる。農民として生きようとしている者にどれだけ説得力を持たせていくのかだ。
 三条 農民の中に「労働者は信頼できる仲間」ということを広められるかだと思う。いまのTPP論議でも「農家にとってよくないが、消費者にとっては農産物が安くなる」と分断をあおる。資本家の利害だけなんだが、そうやって分断してくる。こうした分断を打ち破ることだ。実際、農村部では兼業農家や農業をやりながら労働者として働いている人がたくさんいる。労働者も農民も一緒に生活している。
 そういう点でも全国農民会議の結成と活動は重要だ。労農連帯・労農同盟を高々と掲げた農民組織であり、それは三里塚闘争で培った労農連帯が生み出した農民組織でもある。労働者と一緒になって、資本主義に代わる新たな社会を建設する農民運動として、全国農民会議を大きく作っていきましょう。(つづく)

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