MRJは軍需に直結 安倍の武器輸出政策と連動

週刊『三里塚』02頁(0932号02面04)(2015/11/23)


MRJは軍需に直結
 安倍の武器輸出政策と連動

(写真 初飛行した新型民間機MRJ【11月11日 名古屋空港】)

 日帝が「国家プロジェクト」と位置付けている三菱航空機のMRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)が11月11日、初めて飛行した。2008年に開発を本格化させてから7年半、5度の延期を経ての初飛行に「不安と期待」という声が上がっている。
 MRJ開発は労働者人民の立場からして、多くの問題を抱えている。まず、安倍政権が「新幹線、原発の輸出に次ぐ基幹産業に育てたい」とする日帝の延命戦略に位置づけられている問題だ。関係者は「自動車産業に代わる次世代の産業だ」として、延命策の一環としての「事業成功」をもくろんでいる。政策投資銀行は1000億円の融資を検討し、全面支援の構えだ。
 さらに、航空機産業は軍需産業そのものという問題だ。安倍政権は4月下旬、国産ステルス戦闘機の開発を本格化する方針を固めた。これは、「戦闘機用の国産エンジン開発にメドがついたため」とし、「2015年度からエンジン開発を本格化させるのと並行して、実験機による飛行試験を始める」とした。これは、日帝・安倍政権が武器輸出3原則を踏み破り、戦後初めて武器輸出を本格化させる攻撃と表裏一体だ。そしてこのステルス戦闘機開発と民間機開発は連動する関係にある。
 MRJはまだ、部品の国産率が3割でしかなく、足元は非常に危ういものでしかないが、戦闘機開発は、特に新型強力エンジンの開発技術を容易に民間機に転用できると言われ、また安倍政権もその方針を明言している。戦後7年間、日本は連合国総司令部(GHQ)によって、軍用機はもちろん民間機もその開発を禁じられてきた。ゼロ式戦闘機など、戦前の日帝の航空機産業技術を粉砕するためのアメリカ帝国主義の政策だった。それほど、航空機産業と軍事産業の関係は密接不可分だ。
 その結果、プロペラ機からジェット機への転換に遅れ、日帝はボーイングなど巨大航空機企業の「下請け」に甘んじてきた。その「負の歴史」を「挽回するチャンスがやってきた」とブルジョアジーは色めき立っている。しかし実は、今後も問題山積だ。採算ラインが700機と言われる中で受注できているのは400機でしかない。完成時期を5度も延期せざるをえなかった開発体制の脆弱性も際立っている。アフターケアの体制もライバル2社と比べて圧倒的に遅れている。日帝の戦争国家化の一環であるMRJを断じて認めるわけにはいかない。
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