反対同盟・農民会議新春座談会 三里塚50年、労農連帯・国際連帯の力で2016年農地死守・最高裁決戦勝利を 第3滑走路阻止 3・27全国集会へ

週刊『三里塚』02頁(0934号01面01)(2016/01/01)


反対同盟・農民会議新春座談会
 三里塚50年、労農連帯・国際連帯の力で2016年農地死守・最高裁決戦勝利を
 第3滑走路阻止 3・27全国集会へ

(写真 拳をあげ韓国民主労総にならって「トウジェン【闘争】」のかけ声で2016年の勝利を宣言)

(写真 「市東さんの農地死守」を誓い合った新春座談会)


 2015年、反対同盟と三里塚闘争は、市東孝雄さんの農地法裁判における6・12高裁反動判決の逆流を押し返し、日帝・寺田体制と真っ向から対決する最高裁決戦をたぐり寄せた。同時に、もう一方の反対同盟破壊攻撃である第3滑走路推進策動を真っ向から迎え撃ち、前進する成果をかちとった。三里塚が連帯する韓国では12月16日歴史的ゼネストが爆発し、波状闘争へ前進している。世界戦争の導火線に火がついた激動の2016年、三里塚闘争は50周年を迎える。安倍戦争政治を打ち砕く反戦・反権力の砦として、新たな前進を開始しよう。市東さん署名は「年内1万筆」の目標を12月17日に達成した。署名運動をさらに前進させ、最高裁の判決策動を粉砕し、市東さんの農地を守りぬこう。朝鮮半島有事の切迫に対応した軍事転用滑走路建設を粉砕しよう。16年決戦の勝利にむけて、反対同盟と全国農民会議の代表に大いに語り合って頂いた。

《新春座談会出席者》
市東孝雄さん(敷地内・天神峰)
萩原富夫さん(敷地内・東峰)
伊藤信晴さん(事務局員)
太郎良陽一さん(事務局員)
小川浩さん(全国農民会議)
  司会 「週刊三里塚」編集委員会

5万人署名前進を 市東
三里塚が結集軸に 萩原
住民決起作り出す 伊藤
戦争情勢と対決し 太郎良
農民の闘い実現へ 小川

 ――2015年の闘いを振り返ってもらえますか。
 伊藤 内輪のことになるけど、やはり、事務局会議が定期化し、充実したことが大きいと思う。例えば、カラービラやリーフレットなんかもずいぶん具体的に討論して、今までには出なかったアイデアが出たよね。

(写真 伊藤信晴さん)


 萩原 3月29日の栗山公園での集会は画期的だった。あの集会にむけたビラでは大胆なデザインを提案した。良かったんじゃない、手前味噌か(笑)。三里塚では、昔は、部落ごとの金曜集会とかあったと聞いている。このような交流と討論をこれからも大事にしていきたい。

(写真 萩原富夫さん)


 太郎良 それもこれも同盟の支柱として市東さんと富夫さんがしっかりしてくれているから実現できた話だよ。

(写真 太郎良陽一さん)


 市東 確かに事務局会議を、毎月の一斉行動のたびにやってきて、内容的に濃くなってきたと思う。

(写真 市東孝雄さん)


 小川 少し離れた所から見ていて、一斉行動を2年半やり続けるということは大変なこと。すごい。

(写真 小川浩さん)


 ――一斉行動での周辺住民に対する働きかけはどんなやり方で行ってきましたか。
 伊藤 怒りの反応があるのが直接空港の24時間化についての訴えだ。騒音下を回ると、それに対する危機感と怒りはすごい。芝山町では、「24時間化になったら移転しなければならない」「町長は、芝山に人を住めないようにしようとしている。何を考えているんだ」と怒っている。相川勝重町長は、固定資産税が増えるなどと言っているが町民はいなくなる。そんなところで税金が増えてもしょうがないよ。
 市東 相川町長はそれでもいいのだろう。住民の目線じゃない。
 伊藤 そこをうまく出せば絶対決起する。「空港守らず、生活守れ」と言うようなスローガンで。
 太郎良 今の戦争政治に対する闘いを作って行こう。第3滑走路に対する被害だけを訴えても正面突破にならない。
 萩原 市東さん裁判の5万人署名の中で賛同人のお願いも始めた。周辺住民だけで30人くらいが協力してくれているでしょ。驚いたよ。やはり一斉行動を継続してきた力だね。
 ――正面課題である市東さんの農地決戦についてお願いします。
 市東 権力は、耕作権裁判の様子を見ながら強制執行をやってくるだろう。全体的な政治情勢も無関係じゃない。5万人署名など闘いの広がりと厚みが大事になってくると思っている。
 萩原 市東さんの闘いで言えることは、この1年の前進だよ。同盟自身、いろんなところに出て、闘争支援陣形を広げてきた。それをどこで結実させるかだ。第3滑走路反対で周辺地域、特に芝山で運動の盛り上がりを作ることも、市東さんの農地決戦に対する大援軍になる。昔の北総暴動じゃないけれど。
 それと安保・戦争法反対闘争をやってきた人たちに対する働きかけが大事だと思うよね。署名という形でつながっていることが権力は恐ろしい。だから、シールズ・共産党の策動を吹っ飛ばして、戦争法反対と結びつく運動をしていきたい。
 太郎良 市東さん闘争は、何をもって勝利とするのか。俺は、巨万の人民を北総台地に集めないと勝てないと思うんだよ。市東さん決戦は、支援陣形が問われている。
 市東 動労水戸はじめ茨城の人たちが「市東さんの農地を守る会」を作ってくれた。現地調査もやりいろいろやってくれた。茨城は農家の人もいて、つながった。それと、多くの学者が、私の農地問題に係わってくれるのは心強いことだね。ある教授は現地調査に来た時に、「市東さん、ずっとここでやりますか」と聞いたよ。「もちろん」とこちらが答えると、「農民の尊厳」とか、農家が大事にしているものを憲法的にどう表現できるか、取り組みたいと言ってくれたよ。
 ――さて2016年は三里塚50年ですが。
 市東 まさかここまで続くと思ってなかったよ。当初天神峰では、2年で空港ができ農業ができなくなると言われた。
 太郎良 40年前に三里塚に来た時には、「三里塚は勝てる」と思った。その後、3・8分裂とかあったけど、「絶対反対」の原則を守りぬいている反対同盟があるということはすごいこと。言葉で表現できない。
 小川 三里塚は、9・16をはじめ実力で権力と闘った。それに対する権力の恐怖がものすごい弾圧の理由。三里塚は、これに屈せず、非妥協を貫いているところがすごい。日共は、闘いから逃亡し、今では自衛隊を容認するところまで行き着いている。
 萩原 世界に誇れる闘いだよ。その中身の濃さと深さを外に向かって訴え、さらに次のステップに向かって陣形を広げ強化するようなきっかけにしたい。
 伊藤 「三里塚50年」の大きさは、外部の人の方が分かるんじゃないの。今でも沖縄・辺野古問題との比較の中で、三里塚の農地強奪の話が評論家の話しなんかで出てくるからね。50周年のイベントを魅力ある企画として成功させよう。
 ――TPP、新自由主義との闘いも正念場です。
 小川 今の農業政策で、5年間で2割農業人口が減っている。その根本的な原因はどこにあるのか。TPPで関税が撤廃すれば、転作奨励のエサ米に出す関税収入がなくなってしまう。政府は18年には減反政策をやめる。農家が自分で減反したり、転換作物を判断する。そうなればエサ米は安いから農業所得を確保できない。
 アメリカは、クリントンの時代に減反政策をやっていた。次のブッシュが、それを転換して生産量を増やしたら穀物価格が大暴落し小さい農家はやめる。そこに大企業が入っていった。日本も「強い農業」「企業経営化」と言われて、農家は自分でやっているかのように見えて、資金・流通は商社などの下請け農民となる。安倍農政と闘わなくてはならない。
 太郎良 企業化と言ってたけれど、そうなると農業は人間にエサを与えるようなものになるんじゃないか。農家というのは、旬なものを食べさせたいというようなものがあるんじゃないですか。
 小川 それをさせないのが今のTPP。
 萩原 農地を守るというのは、資本主義との闘いになるんだよ。地球を破壊するような規模で進む資本主義に対して、未来を開く。
 太郎良 俺らの闘いはそうなんだ。金儲けじゃないんだから。
 ――シリア空爆の拡大をはじめ激動情勢が拡大しているこの情勢に対して反対同盟はどのように闘っていきますか。
 萩原 「農地死守が戦争反対」と同盟は言っている。ここが基本。
 太郎良 米韓軍共同作戦「5015」計画など、びっくりする。この情勢に大衆組織をどう結び付けていくのか。
 伊藤 民主労総と交流し、「この人たちに銃を向けてはならない」と思った。民主労総との連帯は、戦争を阻止する闘いだ。民主労総をはじめとする国際連帯で、三里塚は戦争を阻止する。
 ――最後に2016年の決意をお願いします。
 萩原 三里塚50年、三里塚らしい闘いをやりたいと思う。農地を守るというところで実力闘争を構えていきたいと思う。最高裁は権力そのものだよね。安倍政権に対する反撃の仕方として、絶対阻止するというところを見せたい。三里塚が結集軸になりたいなと思う。 市東 最高裁に移ったということで、いつ判決が下りるか分からない。けど、一連の流れを見ていると、最高裁は三里塚も沖縄も経産省前テントも全体を見ながら考えているようだ。そういう中でどう闘うかという考え方を出してもらって、話し合ってやってもらえばいい。俺は「がんばっている」と言うだけではなくて、できることがあれば先頭に立ってやる。来年2016年は、そういう決意だよね。一農民として生き抜くという生き方を貫きたい。小川さんには、大変だが農民を束ねてやってもらいたい。 小川 市東さんにかかる重圧はすごいものだと思う。市東さんが置かれているのは、全国の農民が置かれている状況だと思うんだよ。それをどう分かってもらうか。市東さんの農地を守ることは、日本の農家を守ることだ。安倍農政・新自由主義と闘うことだ。三里塚闘争の50年の歴史は日本農民の誇りだ。
 太郎良 萩原進さん、鈴木謙太郎さんらの遺志を反対同盟は引きつがらなければならない。そこは崩したくない。
 伊藤 労働組合の関西生コンは署名を2千送ってきてくれた。この熱い心を全国の労働者・労働組合に広げたい。市東さんの闘いは、新自由主義との闘いの象徴的存在。一体の闘いとして労働者の決起を作っていく。
 ――長時間ありがとうございました。

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