耕作権裁判 NAAの不法耕作デマ暴く 傍聴席を満杯にする熱気

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週刊『三里塚』02頁(0939号02面02)(2016/03/14)


耕作権裁判
 NAAの不法耕作デマ暴く
 傍聴席を満杯にする熱気

(写真 弁論終了後、成果を確認する報告会が行われ市東さんがあいさつ、弁護団が解説を行った【2月29日 千葉県弁護士会館】)


 2月29日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で、市東孝雄さんの耕作権裁判が行われた。耕作権裁判は、市東さん側が主導権を握ってNAAを追いつめており、その帰すうが農地法裁判の最高裁判決にも連動する決定的な裁判だ。裁判所の証拠提出命令を空港会社が拒否していたため2年8カ月中断していた。昨年、弁論が再開され、この日で第4回目となった。何よりも許しがたい点は、空港会社は天神峰南台の市東さんの耕作地を「不法耕作」のデマでもって取り上げようとし、そのため文書偽造・隠匿を行っていることだ。市東さんは「今も、夜も寝られないほど悔しい」と心底からの怒りをたたきつけ、NAAの謝罪と訴えの棄却を要求している。この市東さんの怒りを自らのものとして裁判闘争を闘おう。
 当日は、千葉地裁最大である601号法廷いっぱいの傍聴者が結集した。弁論では、空港会社のデタラメな主張に対する前2回の追及につづいて市東さん側の反撃の陳述が力強く行なわれた。❶まず、元空港会社社長・黒野匡彦の三里塚農民に対する「謝罪」および「強権発動の放棄」発言の事実などを取り上げ、市東さんのへの提訴自体が「信義則違背」であり「訴権濫用」であることを指摘し、「このような空港会社に土地明け渡しを求める資格はない」ことを明らかにした。❷続いて、昭和初期の下総御料牧場の払い下げ以来の天神峰南台の所有関係と市東さんの3代にわたる土地賃貸借権を獲得してきた経過を陳述し、NAAの「不法耕作」デマのデタラメを事実をもって暴いた。❸この賃借権獲得の経過を補足した西村正治弁護士は、地籍上41―8の北側耕作部分の耕作の経過と市東さんの耕作権時効取得の主張を行い、空港会社の「旧地主はこの部分の耕作権を認めていない」などの主張に反論した。❹また、葉山岳夫弁護士は、NAAが市東さんの土地の特定をめぐって文書の偽造に手を染めたことを厳しく弾劾した。さらに文書提出命令に応じなかったこと自体、「これは民事訴訟法224条(注)の規定によっても空港会社の主張は認められない」と強く訴えた。

提訴はデタラメ

 裁判後、千葉県弁護士会館での報告会が行われ、市東さんと各代理人からの発言が行われた。市東さんは「耕作権裁判は、NAAの対応を見ても裁判になるものではないことがはっきりしている。3・27全国集会、7月三里塚闘争50周年集会をやりぬいて、今年1年農地法最高裁闘争に勝利しよう」と勝利感に溢れる決意表明をした。葉山岳夫弁護士は、「最高裁で千葉地裁多見谷判決を打ち破るとともに、耕作権裁判を徹底的に闘う」と発言した。
 動労千葉の滝口誠さんは「16春闘を非正規職撤廃・改憲阻止のストで闘う。労農連帯で3・11から3・27へ、ともに闘う」と述べ、全国農民会議・山梨支部の結成集会に参加して駆けつけた農民会議共同代表の小川浩さんは、「TPPは市東さんの農地取り上げとやり方が同じ。ウソとペテンで農民をだまして押しつぶす。安倍農政を止めるためにこれからも三里塚を闘う」と決意を語った。
 最後に、萩原富夫さんが「三里塚50年、戦争の危機の中で三里塚の重要性を受け止め、運動をもっと広げる。三里塚をもっと知られるように、壁をぶち破っていかなければならない。50周年にむけて写真展などのキャンペーンを東京・千葉でやり、全力でがんばる」とまとめた。次回、4月25日午前10時30分、傍聴闘争に決起しよう。

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(注)民事訴訟法第224条 当事者が文書提出命令に従わない場合には、「裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる」としている。耕作権裁判では、空港公団の旧地主からの買収の適否、文書偽造の有無を明らかにする買収交渉記録の提出を裁判所が命令した。したがって、NAAが別の証拠でそれに代えるものを出さないと、裁判所は市東さん方の主張を真実と認めることができることになる。

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