8・10請求異議裁判・デモへ 〝証拠隠しを許すな〟 6・26耕作権裁判 内田裁判長と対決

週刊『三里塚』02頁(0971号01面01)(2017/07/10)


8・10請求異議裁判・デモへ
 〝証拠隠しを許すな〟
 6・26耕作権裁判 内田裁判長と対決

(写真 早朝から千葉市中央公園に結集した仲間と共に千葉地裁に向けデモ行進。農地死守の声が響き渡った【6月26日 千葉市内】)


 「内田裁判長は証拠隠しをするな!」1時間にわたり怒号が飛び続けた。市東孝雄さんの耕作権裁判は安倍政権―裁判所―空港会社の癒着・腐敗を許さず前進している。安倍への怒りは東京都議会議員選挙でも炸裂し、自民党は歴史的大敗に叩き込まれた。人民の怒りをかすめ取った小池都知事の都民ファーストは戦争・改憲、民営化と非正規化の地獄に労働者を送り込もうとしている。「安倍を監獄へ!」「小池を倒せ!」の闘いの本番はこれからだ。韓国・民主労総は非正規職が軸の初のゼネストを打ち抜いた。三里塚をゼネスト--革命の拠点へと打ち固めることこそ連帯の道だ。「強制執行反対」署名を集め、8・10請求異議裁判に駆けつけよう!

〝農地死守〟訴え集会・デモ

 6月28日、午前9時から千葉市中央公園で太郎良陽一さんの司会で決起集会が開かれた。
 最初に反対同盟事務局の萩原富夫さんが発言に立った。「成田空港会社(NAA)が市東さんを〝不法耕作〟として訴えたのがこの裁判。この農地取り上げ攻撃があまりにもデタラメなので、11年目に入ってまだ終わらない。今、成田空港は空港機能強化と称して、地元住民を無視し、農民から農地を取り上げ、空港建設を進めようとしている。農業つぶしを許さず、動労千葉をはじめ労働者と連帯し、農地を守って闘っている。ともに安倍政権を打倒しよう」と千葉市民に訴えた。
 動労千葉の中村仁さん、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、全学連三里塚現地行動隊などの連帯発言を受け、意気高くシュプレヒコールを上げて市内デモに出発した。
 市東さんをはじめ反対同盟は先頭で「耕す者に権利あり」と大書された横断幕を持ち、市街を堂々と行進した。宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんが「農地強制収用許すな!」のアピールを発し、デモ隊は千葉地裁に鋭く迫った。

墨塗り部分全面開示せよ

 10時30分に開廷すると、顧問弁護団の追及が冒頭から火を噴いた。
 弁護団は、前回に続いて「乙85号証」の墨塗り部分の開示を要求した。
 「乙85」は、この裁判の中で2012年に下された文書提出命令によってNAAに提出させた数少ない書証の一つだ。空港公団(NAAの前身)によって作成され、1970年当時の南台の農地について、小作者である根本、石橋、市東の三軒がそれぞれどこを耕作していたかという耕作状況を調査した図面入りの資料になっている。2012年に提出された時、その一部は墨塗りにされたが、市東さんの賃借地が図示されており、それが現在の耕作場所と一致することから、市東さんにとっては決定的な証拠の一つなのだ。NAAにとっては、耕作地の位置特定での自分たちの誤りが暴かれる極めて都合の悪いものだ。
 NAA代理人はこの「乙85」について、「昭和45年(1970年)頃の耕作状況をもとに当初の耕作地を推測したもの」としてその証拠価値を低め、自分たちが偽造した「同意書」「境界確認書」の添付図面の方が正しいなどと言い出した。NAAがそう言うのなら、「乙85」に墨塗りがあることを認めるわけにいかない。すべて開示するのが当然だ!
 ところが、開示しない理由を問われてNAAの代理人は、「文書提出命令のときにすでに述べた。墨塗りは裁判所から言われたもの」と責任逃れに走る。
 内田裁判長は、「これ以上の開示は求めない」「(墨塗り部分には)市東さんの賃借地の主張とは関係ないことが書いてあると(当時の白石裁判長が)判断した」と繰り返すばかり。
 弁護団は開示を求めて次々と立ち、傍聴席からは「証拠隠しをやめろ!」「自分自身も見てないくせに、どうして無関係と言えるのか!」などの怒りの声が上がり、法廷は騒然となった。弁護団は全面開示を求めてなおも徹底追及するが、内田裁判長は追いつめられながら必死に拒絶を繰り返す。弁護団は一歩も引かず、あらためて書面で徹底追及することになった。

市東さん〝NAA追及を〟

 1時間半に及んだ裁判が閉廷した後、報告集会が伊藤信晴さんの司会で近くの会場において開かれた。
 最初に市東さんがあいさつに立ち、「今日の訴訟指揮に内田裁判長の本性を見た。NAAを追いつめて文書をすべて明らかにさせよう」と呼びかけた。
 続いて、葉山岳夫弁護士が墨塗りされた箇所を示しながら、「乙85を〝推測したもの〟などと言うのはとんでもないウソ。実際には公団の〝用地買収交渉に伴う詳細な調査結果〟として書かれている」と解説し、開示を拒否するNAAと裁判長を弾劾した。
 さらに弁護団全員が発言。証拠隠しを居直り拙速裁判をもくろむ内田裁判長の姿勢を暴き、「許さない。徹底的に追及する」と決意を明らかにした。
 質疑応答に続いて、全国農民会議共同代表の小川浩さんが連帯あいさつを行った。小川さんは「農民が自分の耕作地を間違うことは絶対にない」とNAAと内田裁判長への怒りを表すとともに、種子法の廃止や優良農地も企業が使えるようにする法律など、先の国会での農業関連8法の成立を弾劾した。そして「安倍政権の農業破壊政策と対決し、市東さんの農地を守る」と決意を表した。
 最後に伊藤信晴さんが、反対同盟の空港周辺地域一斉行動が住民との結びつきを強め、空港機能強化案への反対の声が高まっていることを報告した。そして、「7・9現地闘争と樫の木まつり」への参加を熱く訴えて締めくくった。
 午後に反対同盟と支援連は千葉市繁華街に出向いて、強制執行阻止署名の情宣活動に立ち上がった。
 次回期日は9月25日(月)。ともに農地強奪攻撃を打ち破ろう。


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8・10請求異議裁判
 8月10日(木)
 午前9時 千葉市中央公園集合
   9時30分〜デモ
 午前10時30分 開廷 千葉地裁

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