空港機能強化案を粉砕しよう 「見直し案」は騒音地獄拡大 農地強奪許さず成田廃港へ

週刊『三里塚』02頁(0973号01面01)(2017/08/14)


空港機能強化案を粉砕しよう
 「見直し案」は騒音地獄拡大
 農地強奪許さず成田廃港へ


 三里塚芝山連合空港反対同盟は本年冒頭より、最高裁による農地強奪判決が下りてもその執行を阻むという前人未到の挑戦を開始した。千葉地裁において請求異議裁判―執行停止をかちとり、天神峰現地には決戦本部を構えた。空港機能強化に対する周辺住民の怒りの先頭に立つとともに、現地への結集を周辺住民・全国へと呼びかけ、動労総連合の青年をはじめ多くの仲間が駆けつけた。周辺住民の中からは新たな住民組織が立ち上がり、断固反対の看板が林立した。さらに、天神峰カフェ、天神峰樫の木まつりなど新たな取り組みも大成功している。何よりも朝鮮半島をめぐる戦争切迫情勢の中で、韓国との国際連帯が前進し、済州島に続き星州の住民ともつながった。全学連大会への大結集を実現し、10・8三里塚全国集会に攻めのぼろう。
 「成田空港機能強化案」、とりわけ深夜・早朝発着による騒音地獄拡大を粉砕する闘いは、これから正念場に入る。
 7月14日に周辺9市町の議会でつくる連絡協議会が機能強化実現に向けた決議を行い、7月18日には千葉県が9市町に対して求める地域振興策のヒアリングを行うなど、「推進」の動きを加速させている。現在、千葉県があらためて騒音対策区域の線引き作業をしていて、それが終われば、再度住民への説明の後、最終的な結論をまとめるとしている。
 本紙971号でも批判したように、「見直し案」は何ひとつ見直しなどしていない。600戸を強制移転させる「第3滑走路建設計画」も「50万回」飛行にも何の変更もない。機能強化案は白紙撤回あるのみだ。

説明会で住民の怒り噴出

 「スライド運用」なる方式は、滑走路の運用を「早番」(5時〜23時)と「遅番」(6時30分〜0時30分)に分け、それぞれ「6時間の睡眠が確保できる」というものだ。しかし、A滑走路と、B滑走路・第3滑走路の両方から騒音を受ける地域にとって、4時間半の静寂でしかない。0時30分〜深夜1時までのカーフュー運航も合わせれば、当初案と変わらない早朝5時から深夜1時だ。
 「見直し案」のペテンはたちどころに住民に見抜かれ、「見直し案」発表後に開かれた説明会で怒りの声が噴出している。しかし、それでもなおNAAは「真摯(しんし)に声を聞く」と言うだけで、飛行時間について譲ろうとはしない。なぜなら飛行時間延長が至上命題だからだ。NAAと航空会社にとって、ピーク時の増便とあわせて、夜間の飛行制限は何としても取り払いたい焦眉の課題なのである。
 NAAはウェブサイトで機能強化について以下のように説明している。
 「他空港との競争に劣後することなく成田空港の更なる機能強化を図っていくためには、 4時〜2時を運航時間とすることが理想的と考えられますが、5時〜1時を運航時間とすることができれば、大部分のニーズに応えることが可能となります」
 空港会社にとって第一義的にあるのは、競争に勝ち抜くことであり、住民の騒音被害など二の次。「成田空港あっての日本経済」「成田空港あっての地域住民生活」というごう慢な「空港第一」が根底にある。

本音は「完全24時間化」だ

 「午前4時〜深夜2時の運航を理想」とし2時間は飛ばないとしているが、飛行機の運航に遅延や不測の事態はつきもの。NAAが競争相手としているアジアの巨大空港はみな24時間運用であり、制約のない「24時間運航」があくまでも本音だ。
 したがって、「見直し案」が見直しでとどまることなどない。4年前の「飛行時間の制限緩和」と同様に、「見直し案」を許してしまったら、次は完全24時間化が襲いかかってくるだけだ。
 NAAが飛行時間の制限緩和を、住民の反対を押し切って強行したのが、2013年の3月。この時、「四者は、この間の地域住民からの声を真摯に受け止め、生活環境保全の視点から、弾力的運用を最小限とする」などと4者協議会の確認書で記しておきながら、早くもこの年の9月には、国交省の首都圏空港機能強化技術検討小委員会が開かれ、第3滑走路をはじめとした検討が始まっている。住民との「約束」を手のひら返しにすることなど、51年の歴史のなかで、幾度となく繰り返されてきたことだ。
 住民自身の怒りの決起も次々と起きている。芝山町の「空港機能強化案から生活を守る会」に続いて、横芝光町でも住民組織が立ちあがった。反対同盟の一斉行動をはじめとする周辺情宣の取り組みと住民の怒りがガッチリと結びついている。
 市東さんの農地を守る闘いと一体で、滑走路の対象となる住民、騒音下の住民とともに、空港機能強化案の白紙撤回をかちとろう。
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