映画「三里塚のイカロス」批判 闘いの歴史と真実をゆがめ 権力の破壊策動に手を貸す

週刊『三里塚』02頁(0977号02面05)(2017/10/09)


映画「三里塚のイカロス」批判
 闘いの歴史と真実をゆがめ 権力の破壊策動に手を貸す

 映画「三里塚のイカロス」(代島治彦監督)が9月から東京を皮切りに全国で上映されている。この映画はドキュメンタリーの形で「三里塚」と銘打ちながら、歴史と真実をねじ曲げ国家権力による闘争圧殺に手を貸す「作品」となっている。特に「元中核派現地責任者」として岸宏一が全編に登場し、三里塚と中核派を傷つけようとデタラメな主張を述べている。
 「イカロス」は三里塚を、「正義感に燃えた多くの若者が闘いに駆けつけたが、セクト間の暴力的対立で理想はついえた」と描く。このテーマをなぞるために、元活動家や闘争から離れた農民などがインタビューを受けている。今「元反対同盟」の肩書きを持つ石井新二らが、闘争破壊へとうごめいていることと連動した反動的キャンペーンだ。
 岸は三里塚について次のように描く。「中核派は農民を無視して三里塚を政治闘争に押し上げた」「中核派は三里塚で主流派になろうとしてテロをやった」「秘密会談に走った反対同盟幹部への弾劾闘争は間違っていた」----事実をゆがめ、自己の脱落・転向の正当化を図る言葉だ。
 1983年、三里塚勢力の内部から一坪再共有化運動(反対同盟員所有地の切り売り)という形で、「農地死守・実力闘争」の原則の破壊が企てられた。これは反対同盟を丸ごと条件派に変質させようとする国家権力による攻撃だった。これに断固反対したのは、北原鉱治事務局長や市東東市さんら2期工事敷地内を中心とする反対同盟農民だった。支援連も反対同盟と一体で闘った。その結果、脱落派は反対同盟を割って出て行った。この〈3・8分裂〉の核心を無視して「セクトの主導権争い」と描くのは歴史の偽造である。
 映画には元空港公団用地部の前田伸夫まで登場し、自宅がゲリラにやられたことへの泣き言を並べている。農民切り崩しの張本人に鉄槌が下されたのは当然だ。
 長く熾烈な闘いが、過酷な矛盾と困難をもたらすのは避けて通ることができない。だがそれを理由に権力の意に沿い「闘いは悲惨で無力だ。やめよう」と呼びかけることを許してはならない。

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