2018年新春座談会 市東さんの農地守りぬく 改憲阻止・軍事空港粉砕を 住民と共に機能強化阻む

週刊『三里塚』02頁(0982号01面01)(2018/01/01)


2018年新春座談会
 市東さんの農地守りぬく
 改憲阻止・軍事空港粉砕を
 住民と共に機能強化阻む

(写真 決戦本部に全国の仲間から寄せられた一言メッセージの前で18年の勝利を誓う【成田市】)

(写真 3・26集会後、雨をついて成田市街地をデモ行進)

(写真 18年決戦の勝利へ! 飛躍と健闘を誓い乾杯)


 2018年、「市東さんの農地強奪阻止!」「空港機能強化案の白紙撤回!」を地元住民・空港労働者と連帯し実力でもぎ取ろう。「成田軍事空港粉砕、農地死守・実力闘争」を貫く全国の団結で、改憲と朝鮮侵略戦争に突進する安倍政権を打倒しよう。三里塚芝山連合空港反対同盟4氏と全国農民会議の新春座談会を決戦本部(市東さん宅離れ)で開催し、三里塚闘争勝利に向け大いに語り合って頂いた。2面で反対同盟3氏から頂いた新年のあいさつを紹介します。

出席者
市東孝雄さん (敷地内・天神峰)
萩原富夫さん (敷地内・東峰)
伊藤信晴さん (事務局員)
太郎良陽一さん (事務局員)
小川浩さん 全国農民会議共同代表)
司会 『週刊三里塚』編集委員会

市東 ここで農業やり続ける
萩原 韓国の闘いと学びあい
伊藤 NAA社長追いつめた
太郎良 安倍政権打倒の先頭に
小川 全国の農民を獲得する

本部立ち上げた

 司会 17年の闘いをふりかえってどうですか。
 萩原 決戦本部の立ち上げが第一。現地への結集態勢をつくり現地での活動も精一杯、縦横無尽に闘った。それが一番の総括だよね。

 太郎良 市東さんの決戦が迫る中で、「空港機能強化案」の問題も出てきた。やっぱり「決戦本部」は闘争には必要なんだよね。闘争は毎日やるものだから。人が毎日集まり議論すれば面白い発想も生まれてくる。

 市東 組織として今までと違うことができたのは間違いないね。

 伊藤 地域を回り、みんなの怒りや思いをつなげていく潤滑油のような役割ができた。芝山町では新たな住民組織ができ、横芝光町では激しい反対の声で「合意がとれていない」と町長が言わざるをえなくなった。

 萩原 同盟宣伝カーに手を振ってくれたり、激励の電話もかかった。
 伊藤 一斉行動をずっとやってきたことが実を結び始めた。同盟ニュースに線を引いて全部取ってる人がいた。
 小川 横芝光町での映画会を全国農民会議も一緒にやった。メンバー全員プラスアルファが参加して成功した。「集まることが大事」と太郎良さんが言うように、農家は特に意識的に集まる機会をつくらないと一歩も進まない。農民会議の世話人だった萩原進反対同盟事務局次長が「100人の会員を」と言っていたけど今その時だと思う。

 司会 反対同盟の闘いに追い詰められて、石井新二のビラや正体不明の中傷ビラも出ました。
 伊藤 部落の忘年会で中傷ビラの話になって、「伊藤さん自分で書いたんじゃないの?」「だってすごく有名になったでしょ」って(笑)。
 萩原 われわれにとっては打撃でも何でもなくて、逆に大宣伝してもらったんだよね。
 太郎良 最悪の脱落派である相川勝重芝山町長、石毛博道、石井新二が自分らのやったことを否定されたくないと、また表に出てきた。ここをもう一回叩いて新しい運動をつくるチャンスだ。
 伊藤 住民説明会で成田空港会社(NAA)の夏目社長は「本当に努力した」と「見直し案」を自画自賛した。
 太郎良 しかし住民が弾劾したことに対して夏目が震えながら答えた。それに対して石毛がただ一人拍手をした。間髪をいれずに「石毛!」って伊藤さんが弾劾した。後で住民が「あれが石毛ですか」と。
 伊藤 石井新二は芝山町議会の傍聴で「まだ金にならないことやってんのか」って言ってきた。われわれの闘いは北原さんが言ってきたように代償を求めない闘いだ。
 市東 自治体が金をもらって豊かだと言ったって、自分のやりたいことには金を出すけど、住民には還元されてはいない。俺のところのジェット機の排ガスの問題には、「市東さんのところにはお金かけられません」って成田市は言う。
 萩原 騒音の問題にしても、空港敷地内は法律の保護の対象じゃないってね。

判決執行を阻む

 司会 現地決戦本部と一体で裁判闘争も前進してきました。
 市東 民事で11年もやっている裁判って他ではない。千葉地裁は最高裁から「早く終わらせろ」と相当はっぱかけられていると思う。
 伊藤 裁判長は見下した態度で、法律や金で市東さんは屈服するだろう、1億8千万円で絶対落とせると踏んでいた。
 市東 金をもらって農家をやめれば死ぬまで暮らせるんだろうけど、こっちは別に金が欲しくてやっているわけじゃない。ここにいて農業をやっていることで存在価値があると思っている。
 小川 市東さんががんばっていることで共感し、自分の意識を変えていく人も多いよ。
 太郎良 闘争本部に来た人たちはみんな、三里塚はまだ終わっていない、脅しに負けず、畑を耕し食べ物をつくっていると感動するんだよね。
 司会 耕作権裁判も署名・印鑑の偽造を暴き、文書提出問題でNAAを追いつめています。
 市東 訴えているのは向こうなんだから証拠は全部出すべきなんだよ。
 司会 交渉記録がないというのはありえない。
 小川 森友の問題でも何年も前の資料があるのに安倍は認めない。
 市東 地主との売買に関する書類はあるはず。口約束で何千万円もぽんぽん出すなんてありえないでしょ。公団のときだってしないですよ。
 司会 毎回の千葉地裁包囲デモと傍聴がますます重要になります。

朝鮮戦争反対!

 萩原 朝鮮半島情勢は本当に危険な状況になっている。仕掛けているのは日米の側だ。年がら年中軍事演習やって軍事的に包囲している。マスコミは朝から晩まで北朝鮮への悪宣伝。軍事演習にもっと大きな声で反対しないといけない。
 小川 新聞ではアメリカのステルス戦闘機は北朝鮮のレーダーに映らなかったと。実際、戦争になれば訳のわからないうちに北朝鮮は壊滅させられるくらいの軍事力に差がある状況でアメリカは挑発を続けている。トランプは「イスラエルの首都をエルサレムに」と戦争をあおっている。
 市東 われわれの認識はそうだけど、一般の人が戦争をどれだけ実感しているかな。
 萩原 反対同盟ニュースで宣伝はしているけど、われわれの力で地域に反戦派をつくる気持ちでやらないといけない。
 太郎良 「反戦・反核」を貫いてきた三里塚が、いろんな闘いを大事にしてネットワークをつくり本当に戦争・改憲を阻む。そのためにも、ここに1千人集めたい。

安倍農政許さず

 小川 市東さんの農地の問題は、日本の農業問題と根っこは同じだと理解できるようになった。
 市東 安倍は口では「素晴らしい農業を守る」と言いながら結局は大企業優先。
 小川 新自由主義によってアメリカの農業は二極分解した。安倍は同じことをやろうとしている。8割の農地を大企業に集約して今までの家族農業をつぶす。1俵8千円くらいでやれる米農家なら勝手にやれという。
 市東 安倍は「農協解体」を叫んでいるけど、農協自身も金融で儲けようとしており、向いている方向が違う。
 小川 農協を解体して株式会社にすれば、多国籍企業が買収できる。そうすれば穀物の輸入なんかも牛耳れる。
 萩原 農民のものじゃなくなってしまう。
 小川 今までは農家をやめても土地だけは絶対に離さなかったが、来年から作らなければ固定資産税が1・8倍になる。
 伊藤 今こそ「日本農民の名において強制収用を拒む」だ。
 萩原 農民は農地をとられたら農業ができなくなり農民ではなくなってしまう。農業をやる基盤を守らないと闘争も続けられない。
 伊藤 本来農業を保護すべき国が切り捨てようとしているからね。援農や産直などを労働者の力で支える運動をもっと作らないといけない。

労農同盟発展を

 司会 労農同盟の発展に向けてどうですか。
 萩原 この間NHKでロシア革命100年を取り上げていた。農民から農作物を徴発して労働者革命を維持しようとして、逆らうものは殺したというのは衝撃だった。そういう真実を総括して新たな労農同盟を打ち立てないといけない。レーニンは間違いを間違いとして受け止めていた。生きていればもっと発展させられたかもしれないけど、スターリンが教条主義的にねじ曲げた。
 伊藤 単にスローガンでなく実態に即した労農同盟を三里塚から一緒につくりましょうよ。
 司会 国際連帯も17年は前進しました。
 萩原 韓国の農民は命がけで闘っている。反基地闘争もすごい。改めてわれわれも学ぶ必要がる。済州島から来てくれた人たちも、こちらの闘いの質、命や自然の大切さ、世代を超えて50年以上闘っていることを学んでくれた。今の闘いとしてお互い学びあいながら進んでいきたい。
 司会 2018年を闘う決意をお願いします。
 市東 福島も沖縄も国策の名の下にあれだけの自然を破壊して、なおかつ住民の言うことは一切聞かないやり方は三里塚と通じている。国策だったら何をしてもいいっていう安倍政権を、絶対に叩きのめすという気構えだけは持っていたい。ここで農業を長く続けられるようにいろんな人たちの力も借りながら17年の闘いを継続させて、いかに広げ、厚みをもたせていけるかだね。
 小川 闘いが進めば反動も必ず出るけど、三里塚を通して逆に全国の農民の中に分岐をつくりながら進んでいきたい。1月の農民会議総会を成功させ、安倍政権の農業政策に対する農民の闘いをもっと広げていきたい。
 伊藤 10月の全国集会で北原健一さんが「奪われてきたものを奪い返そう。それが三里塚闘争だ」と言った。農地を守る闘いは奪い返す出発点。ここで勝負することの大事さを教えられた。夏目社長が勝負の年と位置付けた空港機能強化案を打ち返した。18年は、さらに住民の怒りに依拠し、共に闘う運動を組織したい。
 萩原 17年は国策としての空港機能強化案を粉砕し、市東さんの農地を守り抜いた。この勝利の上に、日本の階級闘争全体に闘いを広げる。闘いの中心に三里塚があるという状況にすれば福島も沖縄も勝てると思う。
 太郎良 18年は、もっともっと大衆組織に根をはり、大きくつなげながら一つにしたい。今の政治の反映として、24時間化、第3滑走路、市東さんの農地の問題がある。金儲けのために自然を破壊し、農地もつぶし、住民も叩き出すという空港の問題を資本主義へのトータルな批判として深め、安倍を倒す、革命をやる度量をつけたい。
 司会 長時間ありがとうございました。

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