安倍施政方針演説を批判する 改憲と空港強化に突進

週刊『三里塚』02頁(0985号01面02)(2018/02/12)


安倍施政方針演説を批判する
 改憲と空港強化に突進

(写真 演説する安倍晋三)

 安倍の1月22日通常国会での施政方針演説は、戦争・改憲に突き進むことを内外に宣言するものだ。とりわけ羽田・成田両空港を名指ししたことは重大な踏み込みである。反対同盟と共に安倍政権打倒へ攻め上ろう。

改憲発議を宣言

 安倍施政方針の特徴は第一に、改憲をすえたことだ。結びで「50年、100年先の未来を見すえた国づくり=改憲を前に進める」と宣言した。安倍は、1月30日衆院予算委員会で憲法9条1項、2項を残したまま、「自衛隊を明記する」案を明確にした。改憲スケジュールは、3月25日の自民党大会での自民党案確定、秋までの国会改憲案決議・発議と切羽詰まっている。
 安倍は国会答弁で、「現憲法では『命を張れ』と自衛隊員に言うのは無責任だ」と繰り返す。要するに、「自衛隊員は死を覚悟せよ」と命令できる憲法、つまり自衛隊を侵略戦争ができる軍隊にすることを声高に扇動しているのである。
 この改憲を天皇制攻撃に一体化させたことは重大だ。安倍は、天皇代替わりを「つつがなく行う」としているが、そのためには来年4月の天皇退位までに国民投票が必要だ。天皇制テロルの発動であらゆる反戦運動を圧殺して改憲を貫徹しようとしている。
 第二に、労働法制大改悪を正面課題にしたことだ。安倍は、施政方針の本題の第一声で「『働き方改革』を断行する」と叫んだ。資本の危機を救済するために労働者の団結を破壊し、長時間労働、低賃金をさらに強制するのが「人づくり革命」「生産性革命」だ。

今国会で成立が狙われている「働き方改革関連8法案」は、雇用と賃金、労働条件の徹底的破壊により、戦後労働法制と雇用政策の大転換を狙うものだ。安倍は「非正規という言葉を一掃する」「多様な雇用形態の普及」と言っているが、これは総非正規職化や「フリーランス」などの非雇用型の導入などであり、これを合法化するのが「働き方改革」一括法案である。時間外労働の上限規制の撤廃、高度プロフェッショナル制度の増設で、過労死・過労自殺の激増は不可避だ。「同一労働同一賃金」の名のもとでは、すべての労働者に「正社員ゼロ、解雇自由」が押し付けられる。

 第三に、朝鮮侵略戦争に突入しようとしていることだ。安倍は北朝鮮に対して、「いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然とした外交を展開する」と断言し、軍事強化と日米安保の強化をむき出しにした。「従来の延長ではない」と飛躍的な軍事増強を目指して防衛大綱策定を宣言しているのだ。
 米トランプは、核戦略の見直しを公表し、核兵器を小規模化して実戦使用を狙っている。外務大臣・河野太郎は、「極めて高く評価する」と北朝鮮への先制核攻撃にもろ手を挙げ賛成している。断じて許すことはできない。
 日帝は、対ミサイル訓練を全国に拡大させ、総動員体制を構築させようとしている。自治体労働者や教育労働者の団結破壊を許さず闘おう。

空港拡張許すな

 第四に、首都圏空港機能拡張を入れたことだ。安倍は「羽田、成田空港の容量を、世界最高水準の100万回にまで拡大する。2020年までに8万回の発着枠拡大を実現」と施政方針で明言した。空港の発着枠を産業政策の中に明記し、国家事業に位置付けたことは大きい。これは実質上、成田空港の深夜便拡大と第3滑走路建設を認め、周辺住民の声を踏みにじるものだ。
 この突出は朝鮮戦争準備に他ならない。大空港建設は、何よりも戦争のための輸送・出撃基地、軍事使用が目的だ。成田空港は、すでに米軍50万受け入れの兵站(へいたん)に位置づけられている。戦争情勢は、同時にアジアをめぐる勢力圏争いの激化である。旅行業・航空業は、勢力圏づくりと不可欠であり、帝国主義間争闘戦の延長であり結果である。基幹産業である航空宇宙産業を育成するためのインフラが空港だ。日帝は、それを阻んできた三里塚闘争をつぶすためにも、成田空港の巨大化を死活的に推進しているのだ。
 安倍の凶暴さは、危機の裏返しだ。改憲を東京オリンピック・天皇代替わりと一体的にやろうという中に、安倍の脆弱性がある。職場の労働者の団結を基礎に、安倍を打倒しよう。
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