B滑走路で重大事故 誘導路に誤侵入し立ち往生

週刊『三里塚』02頁(0997号01面02)(2018/08/13)


B滑走路で重大事故
 誘導路に誤侵入し立ち往生

(写真 市東さんの天神峰畑にあるやぐらから午後8時頃撮影。作業が続くが一向に機体は動かず【7月30日】)


 7月30日午後3時40分頃、成田空港B滑走路に着陸したエア・カナダ機(モントリオール発成田行きAC5便ボーイング787型機)が、建設工事中で使用できない誘導路に誤進入し、天神峰の市東さん宅の目と鼻の先で停止、身動きがとれなくなった。乗員乗客212人は5時間も機内にとどめられた。8時頃から牽引車で1時間ほどかけて駐機場に移動してやっと降りることを許された。B滑走路は3時44分から飛行機の供用制限時間である夜11時近くまで約6時間閉鎖され、その間はA滑走路のみの運用となった。大幅に乱れたダイヤを取りつくろうために午前1時を過ぎても発着を繰り返し騒音被害を拡大した。
 とんでもない重大事故だ。絶対に許すことはできない。
 問題の「工事中の誘導路」はB滑走路(2500㍍)南端付近部分で南風の時の「高速離脱誘導路」(着陸した航空機ができるだけ早く滑走路から離れるための誘導路)として建設中だった。
 国交省によれば「既設の高速離脱誘導路は、現在の航空機の性能等に最適な位置及び形状ではないため、整備を行い航空機の滑走路占有時間を短縮し、時間値の向上を図る」とのことで、AB滑走路合わせて数カ所の新誘導路を建設・整備している。その新誘導路の一つが今回事故が起きたところだ。鉄板を敷いていたが未舗装で、しかもぬかるんでいて牽引もままならなくなった。

安全無視の成田を廃港へ

 今回の大事故は、成田空港特有の構造的欠陥が原因だ。
 つまり、東峰・天神峰の「未買収地」を避ける形で不自然で複雑に曲がりくねった誘導路を何本も建設し、そこに住む農民・住民をその既成事実と殺人的騒音で圧迫し、追い出しを図るという、成田空港のあり方そのものが引き起こしたのだ。事故の責任は、地元住民と乗客の安全を無視し、乗務員に負担を強いている国とNAAにある。
 しかも2020年五輪に向けて発着回数を極限まで増加することを目指して、高速離脱誘導路や駐機場の整備をはじめ「空港機能強化」を進めてきたことがもたらした結果である。まさに新自由主義が元凶となって引き起こした事故だ。空港会社や航空資本のもうけのために、乗客・乗員や住民の命が危険にさらされ、奪われようとしている。この上第3滑走路の建設や、発着時間の拡張などどうして認めることができるだろうか!
 成田空港を廃港に追い込もう。「機能強化」を粉砕しよう。

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