団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1009号01面07)(2019/02/11)


団結街道


 全学連行動隊から薦められ萩原慎一郎さんの歌集『滑走路』を読んだ▼著者は私立武蔵高校・早稲田大学を卒業した非正規の青年労働者。中学時代に野球部でいじめを受け心に傷を負う。17歳の秋に短歌と出会い数々の賞を受賞。初の歌集を出す決断をするも入稿後の2017年6月8日、自ら命を絶った。享年32▼歌集には、不安定かつ取り換え可能な存在として社会の中で生きることの孤独やむなしさ、叶わぬ恋を詠む歌が並ぶ。「頭を下げて頭を下げて牛丼を食べて頭を下げて暮れゆく」「夜明けとはぼくにとっては残酷だ 朝になったら下っ端だから」「こんなにも愛されたいと思うとは 三十歳になってしまった」▼「抑圧されたままでいるなよ ぼくたちは三十一文字で鳥になるのだ」「屈辱の雨に打たれてびしょ濡れになったシャツなら脱ぎ捨ててゆけ」「非正規の友よ、負けるな ぼくはただ書類の整理ばかりしている」▼あとがきで、「不本意な15年間だったことは、間違いない」と言い切り、お世話になった人たちに感謝「しなければなりません」という表現をくり返す著者と中島敦『山月記』の主人公・李徴が重なる。「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」から人との交わりを避け虎になる李徴▼「高いプライドと低い自己評価」の中でもがく一人の青年労働者。「ぼくが斬りたいのは悪だ でも悪がどこにいるのかわからないのだ」。共に悪を斬りたかった。
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