大地と共に 元全学連委員長が語る 10・20三里塚十字路戦闘(下) 全世界に希望与えた衝撃映像 民衆の実力闘争が社会変える

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週刊『三里塚』02頁(1010号02面01)(2019/02/25)


大地と共に
 元全学連委員長が語る
 10・20三里塚十字路戦闘(下)
 全世界に希望与えた衝撃映像
 民衆の実力闘争が社会変える

(写真 一歩も引かず闘う全学連【1985年10月20日】)

(写真 高原恭平全学連委員長【左】と鎌田雅志元委員長)


 高原恭平全学連委員長から鎌田雅志元委員長に質問をしていただいた。
     ◆
 高原 1985年の10・20三里塚十字路戦闘で労働者・学生・民衆が機動隊を打ち破る動画を見て、感動したという外国の学生も多くいます。
 鎌田 世界の人たちは日本という国を摩訶不思議な国だと見ている。一番の問題は天皇制。万世一系なんて意味がわからない。天皇の「臣民」だから日本人は闘わないんだと。だけど、天皇制の国でこんな闘いがあったのかとびっくりする。韓国の民主労総の活動家から、86〜87年の民衆抗争の時のゲバルトは10・20戦闘のニュース報道の動画をくり返し見て真似たんですよと言われた。黒っぽい服装、ヘルメットに鉄パイプ。非常にびっくりしたけど空気入った。いろんなインパクトが国際的にもあった。
 高原 80年代学生運動の高揚局面を切り開いた背景や教訓について。
 鎌田 80年代は中曽根政権が「戦後政治の総決算」を掲げて登場し新自由主義攻撃が始まった。二度と70年安保闘争のようなことはさせないという日帝の国家意志が、破防法弾圧体制を敷きカクマルの白色襲撃を引き出した。70〜80年代はそれとの攻防でした。その中で重要なのは三里塚闘争が大衆的に圧倒的な権威をもって存在していたことです。三里塚闘争があったから、権力にもカクマルにも負けなかった。
そして動労千葉の存在です。農民だけではなく、ジェット燃料の貨車輸送をストライキで阻止する国鉄の労働組合がある。ものすごく感動しました。三里塚闘争が労農連帯でがっちり闘われている。そこに自分たちも合流して労農学の運動をつくろうと。これが中曽根の戦争政治を打ち砕く闘いだと訴えました。
 他方で、キャンパスでは大学の郊外移転統合を契機にした学生自治会や寮闘争、サークル運動をつぶしていく攻撃がかけられていました。いわゆる筑波大学化攻撃。学生は抵抗し、78年〜79年の横浜国立大学と筑波大学の大学祭実力開催の闘いが起きる。権力やカクマルと対決する実力闘争なんですよ。実力闘争と言えば手本は三里塚。大学で集会をやるときは、三里塚反対同盟と動労千葉両者を招いて講演してもらいました。三里塚闘争に直接参加しなくても、学生の共感はすごくあった。キャンパスで常にビラをまき看板を出しオルグをし続けたことが重要でした。
 今の学生自治破壊との関連で言うと、ビラまき立て看規制は大学の戦争協力だとストレートな論理で訴えることが重要なんじゃないか。もちろん軍事研究もあるけど、一番は学生運動や学生自治破壊。最もシンプルに意志を表現する手段さえ許さないのは戦争・改憲のための攻撃だ。

軍事行動として

 高原 10・20は、どのように準備し指揮したのでしょうか。
 鎌田 日常的に部隊で行動して闘うとか、カクマルや権力と闘う思想で武装されていたということが大きい。70〜80年代というのは国家権力と共にカクマルとの内戦の時代。だから大学で展開する時は、入構から撤収まで全部軍事行動として部隊を作り防衛隊を配置して作戦としてやっていた。日常活動も政治的に、軍事的に点検・総括。そういう感覚とか思想とかが土台的にあったわけだよね。
 10・20当日、武装した行動隊というのは500人。その武装部隊を背後から機動隊に襲われないようにするために第一公園から三里塚十字路までの間を完全に制圧した。白ヘル部隊2千人がいろんな任務に分かれる。すべての路地に一定の部隊を配置して、そこでバリケード戦をやる。あと石や火炎瓶を前線に運ぶ部隊も必要になる。3人の小隊規模でも責任者がいて、まとまったところでまた責任者がいてという。指揮命令系統はちゃんとできていた。
 政治的な行動、大衆運動は全学連が先頭で担うようになるし、権力やカクマルとの攻防も学生戦線が最大の焦点になっていた。だから集会やデモの時の防衛隊長は学生で、軍事的な責任は全部学生が取っていました。
 10・20は警察が完全に粉砕されて負けたから、こちらの部隊がどう形成されていて、指揮命令系統だとか何も解明できなかった。みんな完全黙秘している。当日私の行動についても向こうが分かっているのは集会で5分間演説したということだけ。あの演説をしたんだから全部やってたんだろうと「凶器準備結集罪」で逮捕された。集合罪は集まってくる人たち。結集罪はそれを集めた責任者だということで集合罪よりも罪が重い。

人生かけた決起

 鎌田 10・20で機動隊を大衆的な武装闘争で打ち砕いたという勝利感、解放感を参加したみんなが持ったことは大きかった。その上で強調しておきたいことは、4大産別を先頭に労働者が大勢決起したこと。特に70年闘争を経験した人たちはゲバが強かった。被告団の中にも全逓労働者とか自治体労働者がいるし、起訴されなくても首になった教育労働者がいた。国鉄労働者は浅草橋戦闘にも決起している。労働者が人生をかけて10・20に膨大に立ち上がった。
 高原 今三里塚闘争は決定的に重大な局面にきていますね。
 鎌田 市東孝雄さんの農地を守る攻防と空港機能強化、第3滑走路との攻防が安倍の戦争政治、戦争・改憲の攻撃を打ち砕く闘いと完全に重なった。あらためて三里塚闘争が今存在していて意気軒高と闘われていることの意義を感じます。これまでの全蓄積を生かして絶対に勝ちたい。
 高原 今年の5・1のメーデーは天皇制をもって圧殺する攻撃があり、4月統一地方選、7月参院選と政治攻防が続きます。その中で、一瞬でも油断すればいきなり改憲の発議ということもありうる情勢です。歴史の大転換点にある今の時代に実力闘争を復権させることが必要です。全学連は、社会を根本的に変えるために先頭に立ち、三里塚決戦を全力で闘います。

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