明日も耕す 農業問題の今 「種子を守れ」の声が拡大 大企業に支配させない

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週刊『三里塚』02頁(1011号02面05)(2019/03/11)


明日も耕す 農業問題の今
 「種子を守れ」の声が拡大
 大企業に支配させない

(写真 反モンサントデモ )

 いま種子をめぐる動きが熱い。2018年4月に主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことに対し、独自の種子条例をつくって種子づくりを守ろうとする動きが広がっている。そして世界に目を転じれば……。
 昨年、小欄を始めたときの最初のテーマが種子法の廃止問題だった。あれから1年。
 今年の1月までに、新潟、兵庫、埼玉、富山、山形、宮崎の6県が種子条例を制定した。さらに北海道、長野、岐阜、福井でも条例制定の動きがある。市町村や有志の団体による条例制定への働きかけは枚挙にいとまがない。

農民先頭にデモ

 種子法は、主要農作物(イネ、麦類、大豆)の優良な種子の安定供給を都道府県に義務づけたものだが、「民間の品種開発を阻害している」という理由で廃止された。
 廃止によって、地域の優良な種子が得られなくなるのではないか、種を独占されて企業の言いなりになってしまうのではないかといった農民の不安や怒りが条例制定の背景にある。
 こうした中で2018年12月18日、国連総会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言(小農の権利宣言)」が採択された。
 これは、家族経営など小農の価値と権利を明記し、国連加盟国全体に小農を評価し、その生活水準を保つことやそのための財源確保や投資を促すというものだ。この小農宣言では農家が自家採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利をうたっている。
 国連人権理事会などで10年にわたる議論を経て採択に至ったが、採択の結果は賛成121、反対8、棄権54で、アメリカ、イギリスなどは反対し、日本は棄権した。
 小農の権利宣言が採択に至った背景には、多国籍大企業の種子ビジネスに対する民衆の激しい抵抗がある。農文協ブックレット『種子法廃止でどうなる? 種子と品種の歴史と未来』によれば、農家と種子の関係を破壊する通称「モンサント法案」が襲いかかる中で、コロンビアでは法の施行の日から農民が全国の幹線道路を封鎖し、学生もその闘いに呼応した。グアテマラでは2014年6月、農民と市民による連日のデモで、ついには憲法裁判所がこの法律を違憲とし、国会で撤廃法案が成立したという。
 宣言は、長年にわたるこうした各国の闘いで積み上げられた力に押されたものだ。

国際連帯の力で

 もちろん、これで企業の種子支配がひっくり返るはずもない。
 種子条例はほとんど「地域に適した品種の維持は行政が責任を持つ」というレベルの表現にとどまっている。国連の小農の権利宣言も国際法に位置づけられたわけではなく法的拘束力はない。
 種子の支配は新自由主義による命の支配であり、必ず農民・人民の怒りはもっと爆発する。
 問われているのは国境を越えた労働者・農民による企業の種子支配を打ち破る国際連帯だ。
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