空港機能強化の手先・石井新二 利権ビラを芝山町に配布

週刊『三里塚』02頁(1021号02面01)(2019/08/12)


空港機能強化の手先・石井新二
 利権ビラを芝山町に配布

(写真 石井新二が発行する「未来あした4/5号」ビラ)

 7月半ば、元脱落派で空港推進へと転向した石井新二による「未来あした」と題するビラ(以下新二ビラという)の第4号が新聞折り込みで芝山町などに配布された。
 石井新二は、石毛博道、相川勝重芝山町長らと共に空港機能強化を芝山町に呼び込んだ張本人だ。にもかかわらず、被害者の味方面をして、得手勝手な騒音「対策」を並べ立てる新二を絶対に許すことはできない。

騒音被害を利用し金集めに奔走

 新二の狙いは、「騒音下被害者の悲痛な声」を利権獲得のためにとことん利用し、NAAの走狗となって成田空港の機能強化を実現することだ。「地域が生き残るために機能強化は必要」「機能強化の遅延は残念で悲しい」(新二ビラ4号)これが新二の立場だ。周辺住民が「今こそ機能強化に反対すべき」と立ち上がっているときに、真逆に立っているのだ。
 その彼が、「騒音下住民の切実な気持ちをくみ取れ」と言って、「補償要求」をする真意は何か。新二はこれまでのビラで、「共生協力金制度」なるものを創設しろと提案している。つまり、新制度を使って新たな利権を狙っているのだ。共生協力金とは、「特別防止地区1戸につき年間100万円、新たな新築1戸につき年間100〜50万円、防止地区や谷間地区に50万円」の戸別補償をNAAが経常利益の中から毎年供出する、というものである。
 前例のない戸別補償制度を、「福島原発事故では行っている」と幻想をあおり、署名運動まで行ったが、行政やNAAに相手されていない。
 そこで新たに4号で出してきたのが、①「交付金の正当な計算」=交付金の総額増大、②防止地区における新たな住宅建設での防音工事への助成、というものだ。②の利権の一角に新二は食い入ろうとしている。「(騒音地区は)土地は安い、防音工事も無償となれば新規住民の住宅建設は容易になる」との願望を述べ、それを呼び水とした土地ころがしをたくらんでいるのだ。
 そもそもビラの第1号と2号の発行者は、「株式会社地域振興協会 石井新二」と「ベストフォーチュン株式会社 手束某」であった。後者は、れっきとした芝山町大里の不動産業者である。前者は、「地域振興協会」と公益団体を思わせる名であるが、「株式会社」とあるように千葉県から建設業で許認可されている不動産を扱う会社である。しかも登記上の所在地は、「芝山町岩山1762」で、これは旧「椎の木村」の廃屋だ。「椎の木村」とは、石井新二が反対同盟から脱落した後に画策し、周辺住民とNAAの地域協力事業として食堂や物産展を立ち上げたものだ。NAAは、騒音地区の反対闘争の懐柔として岩山地区のNAA用地を貸与したが、事業としては瞬く間に破産。唯一のエピソードは、新二らがNAAの資金で海外の空港見学と称して大名旅行で豪遊し、世間の笑い者になったことだ。

スライド運用で地域崩壊不可避

 その利権屋の新二が、新しいビラで「交付金の正当な計算」と言っているのもおこがましい。周辺対策交付金は、本来は、空港利用者が空港使用料として支払っている一部だ。これらは、被害住民の損害賠償に当てられるべき金である。利権団体や共生財団などの中間収奪こそ、許せるものではない。同じ穴のムジナである新二はこの点に口をつぐんでいる。
 機能強化によって、最終的にどの地区でも飛ぶ航空機の数は倍増する。国やNAAが行おうとしている滑走路ごとに深夜早朝の運用時間をずらす「スライド運用」で騒音被害は解決できない。6時間の静穏時間確保の実現といっても、二つの滑走路に挟まれる「谷間地区」はより一層騒音が拡大する。航空機が飛ばない時間は、午前0時半から午前5時の4時間半となり、地域崩壊は不可避だ。航空機騒音は重篤な健康被害をもたらすものであり、直ちに中止させなければならない。「金さえもらえれば24時間、何万回飛んでもいいのか」という住民の怒りの声を聞け。
 この現実を変えることができるのは空港反対の闘いだ。白紙撤回へ共に立ち上がろう。
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