明日も耕す 農業問題の今 「99%」の合流・連帯を 家族農業は世界の潮流

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週刊『三里塚』02頁(1028号02面05)(2019/11/25)


明日も耕す 農業問題の今
 「99%」の合流・連帯を
 家族農業は世界の潮流


 「国民の命、農村を犠牲にしてでも大企業を優先的に生き延びらせるのが安倍農政」。これにどう対抗するのか。前号に続き、「安倍農政とは何か」を解き明かした伊藤亮司さんの講演から示唆を受けた話を紹介したい。

 伊藤さんは、安倍農政についてその歴史的経緯や問題点を指摘した上で、「こういう路線は国民の利益に反するから、各国での国民の対抗は燃え広がりつつある」と切り出した。そして、小欄でも取り上げた国連の「家族農業の10年」(2017年)や「小農および農村で働く人びとの権利宣言」(2018年)を紹介した。
 世界の潮流は小農・家族農業であり、特に「小農」と「農村で働く人びと」がセットになっていることが大事だと強調された。アベノミクス的な農村産業(前号参照)ではなく、農家をはじめ農村集落に住む人たち全体が誇りある仕事をして豊かに生きていく権利を有するということだ。
 こうした動きに示されることは、資本の論理貫徹が進むほど、排除される人びとの運動が活発化する可能性であり、日本に引き寄せればTPP、アベノミクス、原発、米軍基地などさまざまな問題をめぐって、すべての運動が合流し、連帯して闘う条件が拡大しているということだ。
 「敵は1%にすぎない。99%が互いを認め合って連帯することが大事だ」という伊藤さんの言葉は、まさに「我が意を得たり」と感じた。

自動車は特別か

 さらに伊藤さんは問いかける。「そもそも日本は貿易立国なのか」と。
 「実はもう日本は輸出に頼っていない。昔は自動車の売れ行きが国を支えると言われたが、すでに自動車産業や電機産業は国外に逃げちゃった。日本車メーカーがどれだけ元気になったって国民には関係ない」
 「昔、民主党の前原国交大臣は『農業はGDPのたった1・5%じゃないか』と言ったが、自動車産業単体では、日本のメーカーを全部足してもGDPの2・5%。自動車産業を切り捨てて良いとはならないなら、農業だって同じ」

「農業や生活産業の方が雇用をつくってきている。農村産業と言うなら、農村で行われているサービス業や製造業など、さまざまな業種を地域に残していくことが消費をつくって国内経済を活発化することになる」

安倍のウソ暴け

 衝撃的な数字に、なるほどと思った。「自動車を輸出するために農業を犠牲にする」と筆者も農政批判をしてきたが、本当に一握りの資本家を儲けさせるためのものでしかないのだ。
 「きれいな言葉の裏側にある本当の危険性を丁寧に時間をかけて伝えていく」と、伊藤さんは最後に決意も込めて述べられた。
 人びとを欺き、分断を策す安倍の言葉のウソと数字のペテンをもっともっと暴き出そう。そして99%の団結を作り出して安倍を打倒しよう。
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