羽田新ルート 実機試験飛行を強行 「騒音・落下物」に不安と怒り

週刊『三里塚』02頁(1034号02面04)(2020/02/24)


羽田新ルート
 実機試験飛行を強行
 「騒音・落下物」に不安と怒り



(写真 品川区住宅地真上を飛行!)


 2月2日、国土交通省は、羽田空港の新飛行ルートの「実機飛行確認」を開始した。実際に乗客を乗せて運航中の民間旅客機を使い、都心の上空を通過する実験を、住民の反対や懸念の声を無視して強行した。
 いつも通り東京の街を行き来していた人々は、ジェット機の騒音を聞いて空を仰ぎ、建物の陰から唐突に巨大な機体が現れ、機の細部までが肉眼で確認できる近さの上空を飛行する現実に向き合わされた。「威圧感がすごい」「こんなに低く飛ぶのか」という衝撃の声が多くの人々から発せられた。そして当然にも、「こんな騒音のもとで生活できるのか」「何かが落ちてきたらどうなるのか」「事故は起きないと言えるのか」という不安が膨れ上がった。
 この都心を通る新たな着陸ルート実験は、3月11日まで南風時の午後3〜7時のうち実質3時間運用される。A滑走路に1時間14本、C滑走路に30本が着陸。つまり一日130便以上が都心を低空飛行する。高度は北区で約1200㍍、新宿区で900㍍、渋谷区で750㍍、港区で450㍍、品川区では300㍍以下と東京タワーよりも低くなり、最後の羽田空港がある大田区で150㍍以下まで下げる。
 この新ルートでは「騒音対策」と称して、降下角度がこれまで世界の大空港で適当とされてきた3・0度から、3・45度に変更される。わずか「0・45度」とあなどることはできない。「世界一着陸が難しい」と言われた香港の啓徳空港(現在は廃止)でさえ、3・1度だった。操縦士にとっては降下時のコントロールが最も高度の緊張を強いられ、繊細な感覚が求められる時であり、「急角度降下」を実行することは事故発生の可能性をも急拡大する。
 米航空大手のデルタ航空は、この急角度降下について「安全性が社内で確認できていない」として、「実機飛行確認」での運用を見合わせている。また、エアカナダ機が飛行確認初日に羽田着陸を取りやめ、成田に目的地を変更した。
 これまで周辺地域住民との関係で守られていた、「海から入って海へ出る」という羽田離着陸の原則がついに破壊され、「成田並み」の騒音と落下物が東京都心に降り注がれようとしている。国交省の言う落下物対策は、「防止対策の基準を各航空会社に義務化」「報告制度を拡充」「事故後の補償の充実」----それだけだ。誰が安心できるというのか!
 3月29日から新ルートの運用が開始されようとしている。成田と一体での「首都圏空港機能強化」を東京五輪を口実として進めようとしている。羽田で起きていることは、まさに「成田並み」の住民無視、生活破壊そのものだ。
 闘う労働者・住民の連帯を強化し、命と生活を脅かす羽田新ルートと成田第3滑走路建設を、絶対に葬り去らなければならない。

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