団結街道

　韓国の大ヒット映画『タクシー運転手』はＤＶＤになっているので見た人も多いと思う。１９８０年韓国・光州。軍事政権下、民主化運動に立ち上がった市民を軍が鎮圧した。何と市民の側も２５００丁の銃で武装したことに驚く▼徹底した報道管制がしかれる中、光州に潜入して最初に真実を発信したのがドイツ人記者ヒンツペーターさんだ。傍観者から市民の側への心を寄せていく彼の運転手の気持ちは、映画を見ている私たちと一体だ▼ドイツ人記者を扱ったドキュメンタリー映画『５・18ヒンツペーター・ストーリー』が昨年韓国で公開され、このほど監督を招いて東京で上映された▼チャン・ヨンジュ監督はＫＢＳのプロデューサーで２００３年にヒンツペーターさんを取材したドキュメンタリー番組を作った。それ以来彼と親交を深めてきた。監督が学生時代に密かに見た『光州ビデオ』と彼が初めてつながったという。『タクシー運転手』の資料となった番組だ▼２０１６年にヒンツペーターさんが亡くなった後、膨大な光州蜂起の映像と共に、夫人やタクシー運転手キム・サボクさんの息子に取材してこの映画ができた。『タクシー運転手』と事実が異なっている点は、運転手が初めから積極的に記者を手助けしたことだ▼記者と監督を通して報道人のあるべき姿を見ると共に、闘って亡くなった無名の市民に今も熱く寄り添う２人の熱い思いが伝わってくる映画だ。